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シリーズ転換期の国際政治 15

国際関係論のアポリア

思考の射程

編著:市川 ひろみ
編著:松田 哲
編著:初瀬 龍平

紙版

内容紹介

国際問題における「行き詰まり」を理論的思索と事例研究から読み解く.

国際関係の難問によって生じる混乱と困惑.解決への道筋が見えない「行き詰まり」.これら難問に立ちすくむことなく取り組むには,どのように考えればよいのだろうか.国際問題についてアポリア的視点から思索をめぐらせ,事例を通して分析する.

目次

序 章 国際関係論とアポリア──アポリア的思考の可能性──
 は じ め に
 国際関係論のアポリア認識
 本書におけるアポリア概念
 「アポリア」の発展的応用
 おわりに

補 論─古代ギリシア哲学とアポリア

第Ⅰ部 理論・思想からのアプローチ

第1章 国際政治哲学はいかなる「理想」を語りうるか
 はじめに
 理想理論と非理想理論
 非理想状態としての国際社会
 非理想理論としての国際政治哲学

第2章 国際政治における「アポリア」の起源──精神史的序説──
 はじめに
 国際政治理論から「精神史としての国際政治思想史」へ
 精神的営為としての政治・国際政治
 「アポリア」の起源
 おわりに

第3章 京都学派哲学者の第二世代の言説における多元主義的アポリア──関係性論・時間論から見る非西洋主義──
 はじめに
 現代国際関係理論における儒教と仏教に内在する関係性
 京都学派第二世代政治哲学の積極的な戦争関与
 第二世代の政治哲学
 京都学派第二世代のアポリア
 おわりに

第4章 新自由主義的経済学における市場万能論のアポリア──ソクラテス的対話の必要性──
 はじめに
 新自由主義思想の概要
 市場万能論をめぐる肯定論と否定論 ──市場万能論のアポリア──
 市場万能論を転換させる政治
 おわりに

第5章 戦時性暴力撲滅はアポリアか?──思索と事例の狭間で──
 はじめに──戦時性暴力の撲滅は「アポリア」問題なのか?──
 戦時性暴力の現状 ──誰が少女と女性を壊すのか?──
 戦時性暴力を支える家父長制社会の価値観
 家父長制の価値観を放棄できるか?
 おわりに

第Ⅱ部 事例からのアプローチ

第6章 歴史認識をめぐるアポリア問題と歴史和解──日韓「歴史問題」をめぐる論点を中心に──
 はじめに
 日韓請求権協定における「請求権」とは何か
 請求権協定に関する日本政府の見解とその変遷
 請求権協定に関する韓国政府の見解とその変遷
 おわりに──日韓歴史認識問題の脱アポリアに向けて──

第7章 平和とデモクラシーの間のジレンマの検証──「神話」は崩壊したのか?──
 はじめに
 平和とデモクラシーの「神話」の成立と崩壊?
 平和とデモクラシーのジレンマの構造
 平和とデモクラシーのジレンマの検証
 おわりに

第8章 人道支援のアポリア──人道支援の行動規範に対する擁護と反発の観点から──
 はじめに
 人道支援の基本概念
 人道支援のアポリア
 人道支援のアポリアを解決するための「新しい人道主義」
 新しい人道支援のアポリア
 おわりに

第9章 難民保護のアポリア?──ノン・ルフールマン原則と国家安全保障──
 はじめに
 ルフールマンの実態
 ケニアにおける難民政策と難民の安全保障化
 難民保護と国家安全保障をめぐるジレンマの検証
 おわりに──越えられるアポリアと越えられないアポリア──

第10章 核兵器の非人道性をめぐるアポリアの再検討
 はじめに
 用語の確認と議論の範囲
 核兵器の非人道性をめぐるアポリア
 核兵器の非人道性をめぐるアポリアの再検討と再提起
 おわりに

第11章 兵役拒否をめぐるアポリア──アポリアの認定・無視・粉飾と回避・緩和・解決──
 はじめに
 兵役拒否とは
 アポリアの認定・無視・粉飾
 徴兵制に内在するアポリア
 軍隊に内在するアポリア
 おわりに

終 章 難問への向き合い方としてのアポリア的思考
 はじめに
 アポリア的思考
 アポリア的思考による解決への道筋
 おわりに

著者略歴

編著:市川 ひろみ
京都女子大学法学部教授
編著:松田 哲
京都女子大学現代社会学部教授
編著:初瀬 龍平
神戸大学名誉教授

ISBN:9784771035218
出版社:晃洋書房
判型:A5
ページ数:250ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS