序 章 紛争の影響を分析する
はじめに──世論調査が浮き彫りにする三つの矛盾した意識──
1 イラクにおける紛争研究とその問題
2 紛争の影響をはかるための理論的枠組み
3 本書の構成と方法論
第1章 国家建設の蹉跌と非国家アクターの台頭25
はじめに
1 戦後イラクの紛争を概観する
2 機能しない国家機構
3 サブナショナルな非国家アクターの台頭
4 トランスナショナルな非国家アクターの台頭
おわりに
第2章 政治不信・強いナショナリズム・国家への期待61
はじめに
1 広がる政治不信
2 信頼・期待されない非国家アクター
3 統合政策への支持と強いナショナリズム
4 国家の役割に対する期待
おわりに
第3章 国民統合の政策とその変化
──新旧学校教科書の比較分析から──
はじめに
1 イラク戦争と教科書編纂
2 統治者の正当性と祖国──英雄から法治国家へ──
3 祖国防衛のナショナリズム──外敵の喪失──
4 ネーションのプライド──新たな「国史」の模索──
5 受け入れられる新たな「国史」
おわりに
第4章 対立が扇動されるとき
──政党支持構造から宗派対立のサイクルを描き出す──
はじめに
1 仮説──いかなる条件で宗派対立が広がるのか──
2 宗派主義が台頭するとき
3 宗派主義が減退するとき
4 宗派主義を超える要素はあるのか
おわりに
第5章 IS は国民の分断を促進したのか
──旧バアス党勢力との和解への支持から紛争のインパクトを描き出す──
はじめに
1 戦後の国民形成は何をめぐる対立なのか
2 仮説とモデル
3 IS がもたらしたネガティブなインパクト
4 社会の回復力をはかる──社会集団間の相違と経年変化──
おわりに
第6章 宗派主義の強さをはかる
──計量テキスト分析でIS のインパクトを描き出す──
はじめに
1 IS の台頭と宗派主義をめぐる状況の変化
2 リサーチ・デザインと方法論
3 分析──辞書分析・LSS・計量分析──
4 IS のインパクトをはかる──宗派主義の報道トーン分析──
5 拡大する宗派主義を克服した国民統合への支持──世論への波及を考える──
おわりに
終 章 紛争が再編する国家と国民