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すでに多くの資源を持ち競争優位にある多国籍企業が、新興国市場においては思うように成功できないのに対して、後発でありながらも新興国企業は急成長と躍進を遂げている。本書は、ゲームチェンジャーになるまでに成長を遂げた中国自動車産業の経営進化と戦略的・組織的変化の実態を詳細に分析。新興国市場で必要とされる新しい市場戦略を提起する。

序 章　なぜ，「新興国企業」の成長過程を問題にするのか
　１　はじめに
　２　問題の所在
　　――モザイクな市場構造下の「新興国企業」の成長戦略――
　３　本書で捉えようとする「新興国企業」とは
　４　分析対象と分析手法
　５　本書の構成

第Ⅰ部　異質性をもたらしうる初期条件
　　――市場成熟度，政策介入，制度不備，そして固定観念――

第１章 市場の発達段階と消費者の価値観構造
　１　はじめに
　２　市場発達の段階性分析
　　――日本の自動車大衆化過程から得る経験則――
　３　2000年代の新興国市場の競争構図と発達段階との相関性
　４　価値実現に対する市場発達段階の規定性　
　５　おわりに

第２章　産業政策とその「意図せざる結果」
　１　はじめに
　２　「閉鎖的自主発展期」の中国自動車産業
　３　政府介入の強化と「三大・三小・二微」体制の成立
　４　「三大・三小・二微」体制による「意図せざる結果」
　５　おわりに

第３章　制度の「すきま」と新興国企業の企業成長
　１　はじめに
　２　中国自動車製品管理体制とその不備
　３　1994年以後における中国自動車市場の変化
　　――高まる「国民車」需要――
　４　民族系メーカーの歴史的登場
　５　おわりに

第４章　環境適応競争下の競争構造及び固定観念の影響
　１　はじめに
　２　環境適応競争の幕開け
　　――2000年以来の数量的拡大と構造的変化――
　３　外資系メーカーの間に繰り広げた環境適応競争
　　――「V字回復」現象を解読――
　４　民族系自動車メーカーの上級化挑戦
　５　おわりに

第Ⅱ部　新興国企業の成長過程に対する動態分析
　　――資源内部化と組織ダイナミックス――

第５章 競争優位の創出と資源の囲い込み
　１　はじめに
　２　外部資源の功罪
　３　制約要因の克服
　　――経営資源の内部化――
　４　制約要因克服へ導かれる深層動因
　　――内部進化の必要性・緊迫性――
　５　おわりに

第６章　経営資源の効率化と組織ダイナミックス
　１　はじめに
　２　規模拡大に伴う部門間の組織能力の不均衡問題
　３　おわりに

第７章　持続進化と組織ルーチンのダイナミックス　
　１　はじめに
　２　参入初期の競争力優位の源泉
　３　戦略的構造転換
　　――資源内部化と組織学習――
　４　おわりに

終　章　グローバル時代の持たざる者の成長戦略から見る「新興国市場戦略」の新展開
　１　本書のメッセージ
　２　強力な成長志向
　３　持たざる者たちの集団進化
　　――「群れ戦略」――
　４　新しい新興国市場戦略の可能性
　５　おわりに

あとがき
初出典拠一覧
調査先一覧
索　　引