出版社を探す

時間学の構築 Ⅳ

現代社会と時間

監:山口大学時間学研究所
編:時間学の構築編集委員会

紙版

内容紹介

現代社会に生きる我々にとって、等速的かつ不可逆的でただひたすら未来へ向かって進むのみの時間は、社会的な構造物でありながら、あたかも日々の営みの外にある客体的な存在としてある種の歪みをもってとらえられている。時計とカレンダーに具現化された時間というイメージへの従属は、近代社会のなかでどのように培われてきたのか?本書では、現代社会の様々な断面を切り取って、そこから、無自覚なまま時間の虜囚となった現代人の新たな側面を焙り出す。

目次

第1章 近代社会における質的な時間体験
(右田裕規)
1.本書の問題関心
2.雇用労働
3.移動・移住
4.国家的な出来事
5.都市の景観の変化

第2章 司馬遼太郎ブームとビジネス教養主義
―ポスト高度成長期における「歴史」と「誤読」
(福間良明)
1.はじめに
2.司馬作品と戦前期の体験
3.ポスト・キャッチアップの時代
4.「司馬史観」の広がり
5.おわりに

第3章 集合的アイデンティティの経時的変化
―ASEAN諸国のサッカー代表選考の動向から
(阿部利洋)
1.海外出身選手のIターンによる自国代表チームの強化
2.海外出身Iターン選手の代表選出に関するASEAN諸国の動向
3.なぜ今、ASEANでこの動きなのか―協会・選手・ファンのニーズの一致
4.ナショナル・アイデンティティの変容?―海外出身2世選手のIターン受け入れにみる社会変化の構造的背景

第4章 フォレンジックスの複数の時間
―エヤル・ヴァイツマン『フォレンジック・アーキテクチャ』の時間論的読解
(近森高明)
1.フォレンジックスのまなざし
2.フォレンジック・アーキテクチャ
3.フォレンジックスの複数の時間
4.同期のテクニック
5.極大の時間―気候変動と砂漠の汀
6.極小の時間―スプリット・セカンド
7.フォレンジックスのフォレンジックス

第5章 泥酔者たちの時間
―東京人の余暇とアルコールの歴史
(右田裕規)
1.余暇とアルコール
2.カフェーとサラリーマン
3.銀座
4.新宿
5.浅草
6.戦後の泥酔者たち

第6 章 「懐かしさ」の時間学
―戦後引揚者による語りから
(仁平千香子)
1.序
2.故郷、時間、ノスタルジー
3.「懐かしんではならぬ」―引揚者の孤独と精神的ディアスポラ
4.歴史の断絶と脆弱な社会
5.おわりに

ISBN:9784769916758
出版社:恒星社厚生閣
判型:A5
ページ数:196ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年01月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDX