出版書誌データベース

今の政治や経済、社会の停滞のメカニズムを分かりやすく解き明かし、アベノミクスや「反緊縮」とは前提を異にする、まったく新しい見地からの経済政策と社会のビジョンを提示する。人口減少時代を迎え、従来の人口増加時代の経済認識やアプローチを転換させることが不可欠であり、インフレ誘導や国債発行などの対症療法ではなく、政策決定過程の透明化や民主化等を通じた根治的な経済・社会の体質改善が迫られていることを丁寧に説く。
もう「野党支持者には対案が無い」なんて言わせない！

はじめに――人口減少を受け止めない日本

第１章　なぜ人口が減少しているのか？

① 有史以来初の人口減少
② 人口減少が続くとどうなるか
③ 希望と現実のギャップ
④ 婚姻のボトルネック
⑤ 出産のボトルネック
⑥ 出生率の回復に成功した３か国
⑦ 的を外す少子化対策
⑧ 少子化と引き換えの経済の回復
⑨ 少子化を助長する大都市集中
⑩ 既存の経済構造が人口減少を招いている

【論争コラム１】子どもの社会保障をどうするか？

第２章　なぜ人口減少をもたらす経済になってしまったのか？

① 高度経済成長を実現した戦後経済
② 成長と下落を繰り返した平成経済
③ アベノミクス前哨戦だったバブル後の経済政策
④ 総力戦のアベノミクス
⑤ 景気拡大とデフレの矛盾
⑥ 景気変動の問題なのか
⑦ 人口構成の変化
⑧ 国際環境の変化
⑨ 基盤技術の変化
⑩ 逆説の経済成長

【論争コラム２】消費税をどうするか？

第３章　なぜ誤った経済政策を続けてきたのか？

① 経済成長と人口増加を前提とする部分最適の行政
② 部分最適を前提にした内閣システム
③ 部分最適の擁護者たる自民党と支持団体
④ 政府と与党を統制できない未成熟な国会システム
⑤ 中間団体を前提とする選挙制度
⑥ 構想と能力が不足する野党
⑦ 非自民政権の教訓
⑧ 安倍政権とはなにか
⑨ タテマエとホンネの国家方針
⑩ 政権交代と経済政策の転換は一体不可分

【論争コラム３】選挙制度をどうするか

第４章　政治を変えれば社会は良くなるのか？

① 必要条件としての政策転換
② 少子化なのに保育園が足りないわけ
③ 心筋梗塞・脳梗塞で倒れるわけ
④ 不動産価値が目減りするわけ
⑤ 再生可能エネルギーでトラブルが起きるわけ
⑥ 気候変動に伴う環境制約
⑦ 市場のデザインと運営
⑧ 十分条件としての個人の行動：人々の参画と行動を必要とする社会
⑨ 歩く民主主義
⑩ あらゆる現場での自立した個人による変革

【論争コラム４】住宅の集約化をどうするか？

第５章　どのようにして低成長と人口減少に適応するのか？

① カギは経済政策の転換
② 野党が準備すべきこと
③ 政策転換の条件整備とアベノミクスの総括
④ 賃金・所得アップによる安定需要の確保
⑤ 政策プロセスの透明化・公正化による効果的な資源配分
⑥ 公正な市場デザインによる活力の創出
⑦ エネルギーを突破口にするイノベーションと産業転換
⑧ 人口減少社会に必要なインフラ投資と地域経済の安定化
⑨ 権力と学びが比例する社会への転換
⑩ 国際ルールをレビューし、グローバリゼーションと上手につきあう

【論争コラム５】予算をどうするか？

【論争コラム６】気候変動と相次ぐ激甚災害。防災をどうするか？

おわりに――社会を変えるのは、あなた

あとがき

著：田中　信一郎
千葉商科大学基盤教育機構准教授、博士（政治学）。
明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程修了。
国会議員政策秘書、明治大学助手、横浜市、内閣府、内閣官房、長野県、自然エネルギー財団などを経て、2019年４月から現職。著書に『国会質問制度の研究』（日本出版ネットワーク）、『信州はエネルギーシフトする』（築地書館）などがある。