スケッチで学ぶ美術解剖学
著:加藤 公太
内容紹介
昨今、数100ページを超える美術解剖学書が人気である。資料集、トリビア集、ポーズ集など、編集内容はさまざまだが、ページ数の多さを利用した豊富な情報が記載されている。情報量が多くなった反面、情報の重要度が分からなくなってしまったり、覚えなければならない量に苦労したりしている読者も多い。
本書は、160ページというコンパクトな内容で美術解剖学をまとめた入門書である。
PART1では美術解剖学で必要な内容について42ページでまとめている。骨格の学習では、あらゆる部位名称を解説するのではなく、体表から確認できる主要な部分のみに絞っている。色分けされた筋肉図では、上肢を構成する43種の筋を9種の筋群(グループ)にまとめ、学習の負荷を大幅に軽減させた。
PART2ではPART1をさらに深める内容として、美術にしばしば使用される解剖学的なTIPS(見方のコツのこと)を解説している。体表のスケッチに筋肉を描きこんだり、概念的な模式図を示したり、複雑な骨格を簡単なディテールに置き換えたり、解剖学的な見方のバリエーションを紹介した。
PART3では、解剖学をさまざまなポーズのスケッチに応用できる練習方法と見方を紹介した。本書の練習方法を学ぶと、すでにある美術解剖学書でも練習できるようになり、下図を描く際に無闇に手を動かす時間が大幅に減少させることが可能になる。
PART4はPART3の応用編で、着衣の上からヌードを推測して描く方法と見方を紹介している。この方法では着衣の人物像やキャラクター表現などの内部構造のチェックが行えるようになり、美術解剖学を学習するための重要な目標の一つである「外側から中身を推測する目」を養うことができる。
本書の内容は、「要点を知る」「知識を深める」「実践する」「応用する」という学習の基本に従ってまとめられている。この流れによって、情報を受け取るだけでなく、自分で自分なりに考え、取捨選択できるようになる。
目次
◇Part1
最短で学ぶ美術解剖学
◯人体の基本区分
中枢と抹消、運動の種類
◯全身の骨格
◯体幹の骨格とランドマーク
◯上肢の骨格とランドマーク 下肢の骨格とランドマーク
◯体幹の関節と主な動作
◯上肢の関節と主な動作
◯下肢の関節と主な動作
足関節・手足の軸指
◯全身の筋
◯体幹の筋群
全体
顔面、頸部
胸部、腹部
背部
◯上肢の筋群
全体
肩、腋窩、回旋・外転筋群、肩甲骨内側縁 前腕、手
◯下肢の筋群
全体
腰部、殿部
大腿部
下腿、足
手足の詳細
◯胴体の断面
◯腕の断面
◯脚の断面
◯皮静脈
◯橈側・尺側皮静脈、大・小伏在静脈
◯脂肪体・腺
耳下腺、顎下腺
脂肪体、脂肪量
◯体表用語
◯顔の区分
◯眼、まぶた
◯鼻、耳
◯口、喉
◯毛流、ひげ
◇Part2
◯美術解剖学的TIPS
◯全身
簡易骨格図の描き方
歩行、走行の簡易骨格アニメ
階段を登る、ジャンプの簡易骨格アニメ
逆立ちの簡易骨格アニメ
体が柔らかい人の骨格
筋の収縮と伸長の法則
輪郭のジグザグ、流線型
筋腱境界部
断面の使い方
◯頭部
頬骨の出っ張り
鼻のバリエーション
歯列
◯頚部
胸部乳突筋
曲げ伸ばし、回旋
◯胸部
胸骨の名称
ヒーローの胸部
女性の胸部
◯腹部
ローマン・アーチ
腹直筋の腱画と臍の関係
ひねった腹部の捉え方
◯腋窩
腋窩の筋配置
上腕三頭筋の長頭
前鋸筋
◯側腹部
広背筋の前縁
側腹隆起
◯背部
肩甲骨の探し方
クリスマスツリー
背中を曲げる
◯腰部
ミハエリス菱形窩、ヴィーナスのえくぼ
骨盤の性差と体格、女性の腰部脂肪体
◯肩部
肩の上げ下ろし
鎖骨上窩と三角筋胸筋三角
◯上腕
力こぶ
鎖状形態
◯肘
肘の折りじわと位置
肘の過伸展(女性)
◯前腕
回内回外のバリエーション
屈筋と伸筋の配置
◯手首
手首の腱
◯手
手の解剖スケッチ
腱固定
力を入れた手
指の関節と皺、指の長さ
◯殿部
座部端綱
◯大腿部
脚の重心
大腿三角
内股の筋配置
鼠径部の折りじわ
◯膝
リシェ支帯
鵞足、膝小僧
反張膝(膝の過伸展)
◯下腿
アキレス腱のくびれ
下腿の回旋
◯足
足首の角度と歩行様式 爪先の形状のバリエーション
◇Part3
◯解剖クロッキー集
◯解剖クロッキーの方法
◯全身
立ち男性
直立姿勢と逆立ち
ポーズあり全身
◯胴体
男性
女性
◯上肢
男性
女性
◯下肢
男性
女性
◯古典作品
古代ギリシャ・ローマ
ルネサンス
バロック
近代
手のポーズ集
◇Part4 着衣ヌードスケッチ
◯着衣象からヌードを推測する方法
◯コラム
◯プロポーション
プロポーションの概説
年齢別プロポーション
付属物
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