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リベラルなイスラーム

自分らしくある宗教講義

著:大川 玲子

紙版

内容紹介

現在進行形のイスラーム

時代が変わり、クルアーンの読み方も変わりつつある。ムスリムとして、一人一人が生きやすい社会をつくろうと奮闘する姿から、その最前線を見る。

なぜ男性が優位な社会なのか?
なぜ過激派はテロを起こすのか?
その根拠は、イスラームの聖典クルアーンにあるとされている。
しかし、新たな解釈を試み、男女平等やテロ抑制に取り組むムスリムたちも出てきている。
本書では、クルアーンという豊かなテクストを「リベラル」な解釈へと開き、変革を期す者たちに着目。
他者を認め、自分らしくあることを目指す「読み」の奥深さと、その実践を見ていく。

目次

ガイダンス
 1 この講義で話したいこと
 2 イスラーム教徒は危険?
 3 どうしてイスラームがリベラル?
 4 講義の目的と流れ

第1講 どうして聖典が重要なの?――クルアーンの力
 1 クルアーンの影響「力」とは?
 2 新しい解釈がなぜ必要なの?

第2講 クルアーンは戦争を命じている?――聖典の表と裏
 1 カンボジアでのムスリムの「闘い」
 2 宗教・聖典のなかの暴力・戦争
 3 クルアーンではなぜ戦争と平和が説かれている?
 ――ムハンマドの生涯から
 4 戦いを強調する解釈者たち

第3講 平和を説くムスリムって?――インドでの模索
 1 日本は平和の象徴的モデル?
 2 インドのムスリムとクルアーン解釈
 3 ワヒードゥッディーン・ハーンの思想と活動
 4 ハーンの平和主義・精神主義的クルアーン解釈

第4講 クルアーンはテロに反対している?――ムスリム国際NGOの挑戦
 1 モロッコ政府の反テロとクルアーン
 2 テロに立ち向かうムスリムNGO
 3 反テロを説く
 4 反テロ・平和を教える

第5講 女性は離婚を言い出せない?――宗教マイノリティと男女平等
 1 インドのボホラ派とエジプトのハーキム・モスク
 2 人権とイスラーム
 ――テロと男女差別の共通点
 3 アスガル・アリー・エンジニア
 ――インド・ムスリムの近代的改革
 4 モダニスト的クルアーン解釈

第6講 同性愛者は認められる?――英国紙ガーディアンのクルアーン解釈
 1 イースト・ロンドンのムスリムたち
 2 ズィアウッディン・サルダール
 ――イギリスのムスリム文化評論家
 3 ポストモダン時代のクルアーン解釈

最終講 リベラルなイスラーム――人類の共生する世界
 1 「リベラルなイスラーム」とクルアーン解釈
 2 他者と共に生きる世界をどうつくるか?
 ――アイデンティティの保ち方
 3 イスラーム主義の後にくる……かもしれないもの


講義を終えて――あとがきに代えて
参考文献

著者略歴

著:大川 玲子
明治学院大学国際学部教授。イスラーム思想専攻。
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)修士号取得。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。文学博士。
著作に、『クルアーン――神の言葉を誰が聞くのか』(慶應義塾大学出版会、2018年)、『チャムパ王国とイスラーム――カンボジアにおける離散民のアイデンティティ』(平凡社、2017年)、『イスラーム化する世界――グローバリゼーション時代の宗教』(平凡社新書、2013年)などがある。

ISBN:9784766427134
出版社:慶應義塾大学出版会
判型:4-6
ページ数:288ページ
価格:2000円(本体)
発行年月日:2021年01月
発売日:2021年01月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRP