慶應義塾大学教養研究センター選書 19
『修身論』の「天」
阿部泰蔵の翻訳に隠された真相
著:アルベルト・ミヤン マルティン
紙版
内容紹介
▼明治期の翻訳教科書から、教育の歴史をひも解く。
明治期、近代的知識の導入にあたり、先進国の教科書が多数翻訳された。その一つ『修身論』は、ウェーランド著『道徳科学要論』を原本とし、道徳や聖書に関する倫理理論と共に、基本的人権・自由主義・平等主義に基づく近代社会制度を論じた。訳者の阿部はこれら近代的倫理観をいかに訳したのか。明治教育史の一端を明らかにする。
目次
はじめに
第1章 近世から近代へ――「文明開化」と「学制」の夢
1.国家の近代化:「智識を世界に求める」
2. 教育の近代化:「必ず邑に不学の戸なく家に不学の人なし」
第2章 アメリカから日本へ――ウェーランドと福澤諭吉の出会い
1.ウェーランドと『道徳科学要論』:新世紀のための思想
2.福澤諭吉と『道徳科学要論』:原書の影響、訳書の普及
第3章 英語から日本語へ――阿部泰蔵のジレンマ
1.阿部泰蔵と『修身論』:キリスト教の消失
2.阿部泰蔵の訳し方:「読む人にわかるように」
第4章 Godから「天」へ――知らぬ神より馴染みの「天」
1.「天」の同質的要素
2.「天」の異質的要素
3.「天」の限界:排除された要素
第5章 『修身論』の「天」――その意味と機能
おわりに
文献案内
ISBN:9784766425994
。出版社:慶應義塾大学出版会
。判型:4-6変
。ページ数:120ページ
。価格:700円(本体)
。発行年月日:2019年03月
。発売日:2019年04月05日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN。