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シリーズ・遺伝子から探る生物進化 4

新たな魚類大系統

遺伝子で解き明かす魚類3万種の由来と現在

著:宮 正樹
監:斎藤 成也
監:塚谷 裕一

紙版

内容紹介

▼世界の海や川には33,462種の魚がいる!

遺伝子を比較して魚の過去を復元したところ、教科書を書き換える予想外の結果が次々と得られた。分子系統学が解き明かす魚類5億年の進化史。

▼既成概念への挑戦! シリーズ第4弾。

ミトコンドリアゲノム全長配列の高速決定法開発に成功 ―― それがきっかけとなり、長いことその道の権威の独壇場だった魚類系統学に身を投じた。無謀にもみえた挑戦だったが、著者は数々の困難を乗り越え、魚類3万種の大系統の概要を世界に先駆けて発表。さらには「深海魚の3つの科が1つに」「ウナギの祖先は深海魚」「生きている化石ムカシウナギの発見」「(マグロを含む)新分類群ペラジアの発見」など、国内外で大きな反響を呼んだ研究成果を次々に発表した。文字どおり魚類学の教科書を書き換えた15年間のストーリー。

目次

<b>第1章 系統学事始め</b>
 1.1 “Connecting the dots”(点と点をつなげる)
 1.2 系統学における“connecting the dots”
 1.3 現生種は共通祖先を通じて結ばれる
 1.4 遺伝子と分子系統学
 1.5 系統学における「既成概念」
 1.6 研究のフロンティアとインパクト
 1.7 サイエンスにおける発見の喜び

<b>第2章 研究の世界との出合い</b>
 2.1 釣りにのめり込んだ少年時代
 2.2 大学入学
 2.3 アカデミアの世界を知る
 2.4 深海魚との出合い
 2.5 大学院入試と卒論

<b>第3章 深海性オニハダカ属魚類の研究へ</b>
 3.1 深海性オニハダカ属魚類の生態研究
 3.2 系統学理論の勉強
 3.3 比較形態に基づくオニハダカ属の系統解析
 3.4 博物館への就職
 3.5 西田睦さんとの出会い
 3.6 科研費の壁
 3.7 分子生物学実験入門
 3.8 オニハダカ属魚類の分子系統樹
 3.9 オニハダカ属魚類の進化史再構成
 3.10 外洋における種分化
 3.11 終わりの始まり

<b>第4章 新たなミトコンドリアゲノム全長配列決定法
―― ロングPCRの応用</b>
 4.1 きっかけは深海魚
 4.2 ミトコンドリアとミトコンドリアゲノム
 4.3 脊椎動物のミトゲノム
 4.4 これまでの実験法
 4.5 ロングPCR
 4.6 PCRの原理
 4.7 ヨコエソのミトゲノム増幅 ―― 最初の挑戦
 4.8 プライマーの再設計で仕切り直し
 4.9 新たなミトゲノム全長配列決定法
 4.10 ユニバーサルプライマーの開発
 4.11 ユニバーサルプライマーの検証
 4.12 DNA塩基配列決定法の原理
 4.13 ヨコエソのミトゲノム全長配列決定

<b>第5章 魚類大系統解明へ向けた基盤形成</b>
 5.1 ミトゲノムデータの有用性の検証
 5.2 大きいことはいいことだ!
 5.3 問題解決能力の検証 ―― 下位真骨類の大系統
 5.4 新たなマーカーの発見
 5.5 プロジェクトの発進
 5.6 条鰭類の大系統解明 ―― その第一歩
 5.7 魚類とは何か
 5.8 問題の歴史的背景その1:進化に対する段階群的(類型的)認識
    の時代
 5.9 問題の歴史的背景その2:進化的段階群の解体
 5.10 問題の歴史的背景その3:分岐学理論の登場
 5.11 問題の歴史的背景その4:分岐学理論のエッセンス
 5.12 問題の歴史的背景その5:権威主義の横行と分子系統第一世代の
    挑戦
 5.13 問題の歴史的背景その6:分子系統第二世代の挑戦
 5.14 分子系統第三世代の挑戦 ―― ミトゲノム全長配列による上位真
    骨類系統の解明

<b>第6章 条鰭類の大系統解明 ―― 全体像を4つに分けて示す</b>
 6.1 下位条鰭類
 6.2 ニシン・骨鰾類
 6.3 原棘鰭類(下位正真骨類)
 6.4 上位(正)真骨類

<b>第7章 スズキ類の大系統 ―― 混沌から見えてきたもの</b>
 7.1 スズキ類に対する3つのアプローチ
 7.2 スズキ類論文で味わった挫折と再出発
 7.3 スズキ類における10個の包括的単系統群
 7.4 「ベラ亜目」の実体とオヴァレンタリアの発見
 7.5 「トゲウオ目」の実体とヨウジウオ目の創設
 7.6 フグの仲間のユニークな進化
 7.7 ペラジアの発見と外洋における適応放散

<b>第8章 新天地を求める魚たち、新天地に連れて行かれる魚たち</b>
 8.1 白亜紀末の深海魚から進化したペラジア
 8.2 表層から深層へ―― 三変化する深海魚
 8.3 ルアーを武器に深層へ
 8.4 ウナギの祖先も深海魚
 8.5 淡水魚の進化と大陸移動
 8.6 シーラカンス2種の進化と大陸移動

<b>第9章 魚の過去から現在・未来へ</b>
 9.1 悪夢の科研費不採択
 9.2 窮余の策「環境DNA」
 9.3 魚類環境DNAメタバーコーディングの技術開発
 9.4 魚の過去から現在・未来へ

おわりに
参考文献
索引

ISBN:9784766422986
出版社:慶應義塾大学出版会
判型:4-6
ページ数:236ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2016年10月
発売日:2016年10月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSV