本書はスミソニアン・フリーア&サックラー・ギャラリー キュレイター/現コルビー大学美術館 ランダー・インスティテュート・フォー・アメリカンアート ファウンディング・ディレクターのリー・グレイザー博士の協力を得て企画。
画家・彫刻家・作家として長きにわたり国際的に活動してきたウィンザー・イニスの集大成として、小説と絵画作品を組み合わせた意欲的書籍となる。
本書は極めてユニークな内容で構成されている。
前半には、作家としてのイニスによる書き下ろし小説「ホイッスラーと私」を掲載。
ある日からイニスの画室に現れるようになった19世紀を代表する画家の一人ホイッスラーの幽霊と交わされる対話(ホイッスラーへの質問、言い争い、雑談、旅行)を通じて、巨人ホイッスラーが残した遺産をどう捉えるか、今日の芸術がそこから何を得て継承していくべきか、等の芸術論を展開する。
小説部分には物語とともに100点以上のフリーア美術館所蔵のホイッスラー作品が掲載され、後半の画集部分ではイニス作品から厳選された121点が構成されている。
また、巻末には「川の道」と称したイニスのエッセイと共に、同じくフリーア美術館が所蔵する北斎・広重の作品を23点掲載。
物語と絵画で構成された、自由でダイナミックな芸術集である。