刊行の趣旨:倉員正江・鈴木 彰・源健一郎
第一章 戦争・いくさ物語と絵画表象
布施と捨身――『平家物語』灌頂巻における建礼門院の宗教的役割――(山本 聡美)
『男衾三郎絵巻』と吉見義世――観世音菩薩による救済と修羅道のはざまで――(横田 隆志)
絵入り版本が語る〈歴史〉――源平合戦の絵入り版本を中心に――(出口 久徳)
正保三年版『曽我物語』挿絵考――太刀の表象に注目して――(宮腰 直人)
遠山記念館蔵「源平武者絵」の存在が示すこと(龍澤 彩)
第二章 戦争と文化交流
武者のをりふし――西行和歌の「いくさ」語り――(平田 英夫)
『太平記』巻四「俊明極参内事」の諸相(森田 貴之)
『蔗軒日録』と『碧山日録』が記録する乱世
――五山僧の学問事情の一齣として――(田中 尚子)
「北川次郎兵衛筆」の成立とその背景(堀 智博)
キリシタン塚からヌエバ・エスパーニャまで
――『老媼茶話』「薬師堂の人魂」をめぐる考察――(南郷 晃子)
第三章 戦争に連なる論理
『太平記秘伝理尽鈔』における人倫・国家観――「報国ノ忠」をめぐって――(山本 晋平)
いくさ語りと禅僧
――『蔭涼軒日録』『碧山日録』から『明徳記』の問題に及ぶ――(源 健一郎)
モノが語る戦乱――刀剣説話「荒波」と記憶の行方――(ピエール カルロ・トンマージ)
大島忠泰『高麗渡』にみるいくさの論理
――秀吉と「高麗」をめぐる「因縁」と八幡大菩薩――(鈴木 彰)
〔コラム〕「女子と云はるる我等が面伏せにあらずや」――楠正行母顕彰――(榊原 千鶴)
第四章 中世のいくさ物語と近世・近代の生活文化
堀田正信著『忠義士抜書』に見る菊池氏三代像
――『九州軍記』『太平記大全』との関係を中心に――(倉員 正江)
島原・天草一揆の記憶――『天草軍談』の特徴――(菊池 庸介)
芸能における治承四年の高倉宮以仁王・源頼政の挙兵と宇治川合戦
――能〈頼政〉と浄瑠璃〈源三位頼政〉――(岩城賢太郎)
曲亭馬琴と『将軍家譜』(三宅 宏幸)
自己表現としての歴史詠へ
――明治三十年代、「新派」歌人たちの試行をたどる――(松澤 俊二)
第五章 いくさ物語を支える時間と空間
『将門記』試論――「大害」に至る諸段階の「少過」をめぐって――(久保 勇)
宇治川合戦譚の形成と『平家物語』(川合 康)
〈武〉の表現史における『平家物語』の源義経
――戦う貴人の創出が意味するもの――(佐倉 由泰)
『太平記』が語る戦場(和田 琢磨)
明治中期の石山合戦譚――四民平等の時代のいくさ語りについて――(塩谷 菊美)
あとがき/執筆者一覧/索引(書名・資料名、人名)/英文題目