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臨床心理学における科学と疑似科学

他著:S.O.リリエンフェルド
監訳:厳島 行雄
監訳:横田 正夫

紙版

内容紹介

臨床現場などの実務場面で,あるいは出版やTV番組,広告の中で,研究に基づいた確固たる基礎を持たないまま使用されている治療や心理技法が存在する。これらについて,実証主義的な科学的根拠に基づき公平なジャッジが下される。本書は,科学的に支持された技法から,そうでないものを区別するという重要な役割を果たす。

目次

 緒言 科学者-実践家のギャップの広がり:架け橋からの視点
 序文

 第1章 臨床心理学における科学と疑似科学:思考の出発点,展開,改善策
  科学者-実践家の溝とその源
  過度の開明派と過度の懐疑派の間での妥協案
  なぜ疑似科学的な技法が害を与える可能性を持つのか
  科学と疑似科学の差異:入門
  問題を処理する建設的な努力
  本書の到達点
第Ⅰ部 評価と診断における論争
 第2章 臨床家が疑似科学的手法を用いる理由:臨床的な判断に関する研究からの知見
  臨床経験や訓練の真価
  経験から学ぶことの障壁
  まとめと議論
 第3章 論争の的になる疑わしい査定技法
  心理検査
  検査構成と精神測定原理
  査定技法の妥当な使用と妥当でない使用の特徴:あるいは,検査が検査でないとき
  問題があり疑わしい評価技法:いくつかの例
  ロールシャッハテスト
  主題統覚検査
  投映描画法
  解剖腑分け人形
  マイヤーズ・ブリッグズのタイプ指標
  結論と提案
 第4章 専門家証言の科学と疑似科学
  法廷における科学的証拠の許容性
  専門家証言の一般的領域
  異論のある症候群と診断
  現存する基準のもとでの適切および不適切な専門家証言の同定
 第5章 解離性同一性障害:多重人格と複雑な論争
  解離性同一性障害:歴史の概略
  解離性同一性障害:記述的特徴と関連
  病因:競合する2つのモデル
  解離性同一性障害の社会的認知モデルを支持する証拠
  病因:幼児虐待論争
  結論
第Ⅱ部 心理療法における一般的な論争
 第6章 科学的心理療法研究:現況と評価
  定義と専門用語
  効力と効果
  心理療法の効果と効力研究の参入
  否定的結果
  研究を意味あるものにする方法:メタ分析
  プラセボ統制と共通因子
  疑似専門家の治療と経験的支持のある治療
  影響力を発揮する心理療法家とそうでない心理療法家
  効果研究
  科学的な心理療法研究のすすめ
  結論:心理療法の科学は可能か?
 第7章 ニューエイジ療法
  ニューエイジ療法評価の基盤としての説明責任
  「第3の革命」
  ニューエイジ療法の歴史的な文脈
  「どこに行っても,あなた自身がいる」―ヨギ・ベラ
  ニューエイジ療法の魅力
  ニューエイジ療法の説明責任とクオリティに関する問題
  ニューエイジ療法に関する法的なケース
  結論
 第8章 過去の出来事の想起:心理療法における問題となる記憶回復技法
  臨床的技法
  個人差
  文献批判
  誤った記憶創造の仮説的道筋
  心理療法家は記憶回復に携わるべきか
  結論
第Ⅲ部 成人の特定の障害への治癒論争
 第9章 心的外傷後ストレス障害の新奇で論争となっている治療法
  外傷とその影響
  PTSDの認知行動理論
  認知行動理論に基づくPTSDのための治療
  不安と外傷のための新奇な治療
  結論
 第10章 アルコール依存症の治療法に関する論争
  アルコール症者自主更生会:本当に効果があるのか?
  ジョンソン介入法
  ジスルフィラム薬物療法
  節酒の訓練と統制された飲酒
  プロジェクトDARE
  アルコール症の効果的な治療:科学の地位
  社会的学習理論:認知/社会技能訓練
  再発の防止
  オペラント条件づけ:コミュニティ強化アプローチ
  動機づけ強化療法
  夫婦・家族療法
  短期介入
  結論
 第11章 ハーブ治療と抗うつ薬治療:類似データ,拡散的結論
  抗うつ薬治療
  精神疾患のハーブ治療
  抗うつ薬治療とハーブ療法の類似点
第Ⅳ部 特定の子どもの障害の治療における論争
 第12章 注意欠陥/多動性障害の子どものための実証済みの治療法,有望な治療法,および実証されていない治療法
  実証済みの治療法
  有望な治療法
  支持されていない治療法
  支持されていない治療法に関する挑戦と問題
  結論
 第13章 異論のある多くの自閉症治療法:効果に対する決定的評価
  自閉症の特徴
  一般的な治療方法の再検討
  自閉症に対する効果的な治療法
第Ⅴ部 自助とメディアに関する論争
 第14章 自助療法:科学と心理学をばらまく商売
  1970年代における自助への心理学の貢献
  自助の限界
  出版ラッシュ
  1980年代および1990年代の心理学と自助
  いくつかの成果
  アメリカ心理学会と自助
  自助の将来
  心理学者と消費者のためのガイドライン
 第15章 精神保健問題の商業化:娯楽,広告,心理学の助言
  現代の助言産業
  市場価値
  広告
  市場価値の妨害
  広告と専門的な心理学
  結論
 第16章 臨床心理学における科学と疑似科学:結論的考察と構成的改善策

ISBN:9784762825750
出版社:北大路書房
判型:A5
ページ数:480ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2007年08月
発売日:2007年09月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM