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「入門・社会学」シリーズ

入門・環境社会学 5

現代的課題との関わりで

編:牧野 厚史
編:藤村 美穂
編:川田 美紀

紙版

内容紹介

環境、とくに水に関わる人々の悩みに焦点を当て、
身近な世界から水をテーマに、環境社会学の見方、問題の調べ方を紹介する。

日本の水の課題やアジアの水環境、「流域社会」についてとりあげ、
過疎地の多い上流と下流との関係、労働、ツーリズムという、
現代日本社会の水利用と関連する各トピックスを紹介。
水環境ガバナンス、災害リスク回避、地域づくりといった
水の政策と関連する社会の動向も論じていく。
水の問題を調査する人に向けて参考になる指摘も掲載。


【執筆者】
牧野厚史、藤村美穂、川田美紀、Ariyawanshe I.D.K.S.D、森本美穂、野田岳仁、帯谷博明、
五十川飛暁、楊 平

目次

 はじめに

第1章 水から何をみるのか(牧野 厚史)
 1 環境社会学の視点
 2 今,世界と日本の水はどうなっているのか
 3 水と人との関係の疎遠化が引き起こす環境問題
 4 「水がある」状態はどのように維持されてきたのか
 5 現代コミュニティの水利用とその課題
 6 流域という広がりで「水がある」状態はいかに維持されるか

第2章 アジア途上国の水問題の諸相(Ariyawanshe I.D.K.S.D,森本 実穂,藤村 美穂)
 1 アジア社会と水
 2 辺境の少数民族が経験する水問題(ラオス)
 3 移民の村の水問題(インドネシア)
 4 伝統的な水のシステムが直面する問題(スリランカ)
 5 外部からの変化の波
 6 水問題研究の課題

第3章 流域社会の現在(藤村 美穂)
 1 水と流域社会
 2 水のない川が生み出す水社会
 3 農民の水の使い方
 4 水社会変容の背景
 5 量の視点・質の視点
 6 水社会から流域社会へ

第4章 上流社会が抱える課題(牧野 厚史)
 1 上流からの呼びかけ
 2 川の環境問題における上流社会の位置
 3 下流からのテーマ化を相対化しNPO化する上流社会
 4 上流社会の向かう方向

第5章 労働からみる水と人のかかわり(川田 美紀)
 1 2種類の労働
 2 労働を通じた環境とのかかわりの変化と環境問題
 3 農業を通した水とのかかわり
 4 水利用施設を維持するための労働
 5 家事労働を通した水とのかかわり
 6 意図せざる結果として失われた労働
 7 その地の暮らしに根差した固有の労働がつくる社会

第6章 観光地化を目指さないアクアツーリズム(野田 岳仁)
 1 マスツーリズムを問い直す
 2 「舟屋のまち」の観光地化
 3 地域を揺るがしたホテル建設計画
 4 「漁業のまち」から構想される観光
 5 水辺景観の保存と観光地化への懸念
 6 重要文化的景観選定の受け入れの論理
 7 伊根浦と針江集落のアクアツーリズムからみえてくるもの

第7章 水環境ガバナンス―市民参加の制度化とその限界(帯谷 博明)
 1 水環境をめぐる社会課題
 2 水への注目とSDGs
 3 ガバナンス概念の登場と展開:統治の場の「広がり」と「プロセス」の重視
 4 水とガバナンス:多様なセクター/アクターの相互作用
 5 日本の河川管理の特徴と変化
 6 ガバナンスの変化1.:住民活動の登場
 7 ガバナンスの変化2.:ネットワーキングの形成とNPO
 8 ガバナンスの変化3.:計画決定過程の開放と参加の制度化
 9 ガバナンスの変化4.:市民活動の衰退と制度の形骸化・変更
 10 市民参加の制度化の限界

第8章 地域社会におけるリスクと人びとの対応(五十川 飛暁)
 1 環境変化にどう対応するのか
 2 計算可能な危険としてのリスク
 3 リスクの複雑化と普遍化
 4 リスクマネジメントによる予防とその限界
 5 近代河川行政の考え方とリスク対応
 6 河川敷における重層的,可変的なつきあいと不確実性
 7 離島の観光対応にみる生活経験の応用
 8 人びとの経験に基づいた暮らしの更新

第9章 利用価値の変化にともなう水環境との関係の再構築(楊 平)
 1 水のある環境を利用し続けること
 2 住民と北川の付き合いの歴史
 3 川の管理を担う地域組織
 4 住民にとっての北川という存在
 5 水環境を大切にしている琵琶湖湖西の地域
 6 まちづくりと地域の水環境
 7 変化のないかかわり
 8 地域の水環境の新たな可能性

第10章 水と人の関係は何を教えるのか(牧野 厚史・藤村 美穂・川田 美紀編)
 1 環境社会学のフィールドワーク
 2 人間にとって環境とは何か(牧野 厚史)
 3 複数のアクターの相互作用とそのプロセスをとらえる(帯谷 博明)
 4 スケールを考える(藤村 美穂)
 5 不合理にみえる人びとの合理性に光を当てる(野田 岳仁)
 6 人びとの判断から考える(五十川 飛暁)
 7 ルールを考える(川田 美紀)
 8 継続的かかわりを考える(楊 平)
 9 アジアの村の現場から考える(Ariyawanshe I.D.K.S.D)
 10 水と人との関係の未来

索 引

著者略歴

編:牧野 厚史
(まきの あつし)熊本大学大学院人文社会科学研究部・文学部総合人間学科(地域科学コース)教授。

編:藤村 美穂
(ふじむら みほ)佐賀大学農学部生物資源科学科(国際・地域マネジメントコース)教授。

編:川田 美紀
(かわた みき)大阪産業大学デザイン工学部環境理工学科准教授。

ISBN:9784762032578
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:216ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年05月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB