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現代コミュニティの社会設計

新しい《コミュニティ形成・まちづくり》の思想

著:和田 清美

紙版

内容紹介

日本の過熱化するコミュニティブームを踏まえ,「現代コミュニティの社会設計」の社会学的解明を
目的とする。

分析枠組みである3つの分析視点(「社会組織・集団論」,「機能論(=住民・市民活動論)」,
「政策論」)とアプローチの方法としての「コミュニティ形成・まちづくり」を提示し,
第?部では「現代コミュニティの視座」,
第?部では「コミュニティ形成・まちづくりの組織分析」,
第?部では「コミュニティ形成・まちづくりの多元的世界」,
第?部では「コミュニティ政策の国際比較―日本と台湾」をテーマとして,
現代日本の社会変動に伴うこれらコミュニティの諸側面―つまり,視座,組織と形態,住民・市民活動
(機能),政策の「現代性」を明らかにした。

コミュニティの底流に新しい共同性の思想があることを明らかにし,住民と行政の共同設計による
地域の個性を生かした《まちづくり》を追求する。

目次

 序 章 現代コミュニティの社会設計を考える
  ―コミュニティ形成・まちづくりからのアプローチ
  1 コミュニティブームが投げかけていること
  2 本書の課題と分析枠組み
  3 本書の構成

第Ⅰ部 現代コミュニティの視座
 第1章 コミュニティ概念の現代的再検討
  ―現代コミュニティの社会設計の視座のために
  1 コミュニティの再認識
  2 海外研究者のコミュニティ概念の検討
  3 日本におけるコミュニティ概念の今日的検討
  4 現代コミュニティの社会設計への視座

 第2章 日本都市社会学における「コミュニティ研究」の展開―2020年代に繋ぐ
  1 コミュニティ論の登場とその意味
  2 都市社会学における「コミュニティ研究」の展開―実証研究を中心に
  3 2020年代都市のコミュニティ研究を展望する

 第3章 発想としての「福祉コミュニティ」―コミュニティ論とセツルメント論の架け橋
  1 地域共生社会と福祉コミュニティ
  2 発想としての「福祉コミュニティ」の起点
   ―東京都社会福祉協議会「福祉コミュニティ構想」研究委員会調査(1989~1991年)
  3 日本における「セツルメント運動」の展開
   ―興望館,善隣館,セツルメント診療所のフィールドワークから
  4 福祉コミュニティの意味すること

 第4章 福祉コミュニティの現代的地平―構想から実態へ,そして深化へ
  1 今,何故,福祉コミュニティなのか
  2 福祉コミュニティの道程
  3 現段階における到達点―福祉コミュニティの連続と新展開

第Ⅱ部 コミュニティ形成・まちづくりの組織分析
 第5章 都市町内会の組織分析―地縁型コミュニティとの関連で
  1 分析の視点
  2 都市社会学における町内会論の展開
  3 都市町内会の組織分析
  4 町内会・自治会とコミュニティ形成・まちづくり

 第6章 NPO・市民活動団体の組織分析―テーマ型コミュニティとの関連で
  1 分析の視点
  2 戦後日本都市におけるNPO・市民活動団体の系譜と展開
  3 NPO・市民活動団体の組織分析
  4 地縁型NPOの出現と今後の展望

 第7章 多元型コミュニティの組織化論
  ―二元型コミュニティの認識枠組みを超えて
  1 現代コミュニティの社会設計への組織論的アプローチ
  2 多元型コミュニティの提案
   ―現代コミュニティの形態とコミュニティ組織化のモデル・シフトの検討をとおして
  3 多元型コミュニティの組織化のために
  4 多元型コミュニティを支える「公」と「私」

第Ⅲ部 コミュニティ形成・まちづくりの多元的世界
 第8章 地域共生社会とコミュニティ形成・まちづくり
  1 「地域共生社会」の提言とその意味すること
  2 高齢者支援とコミュニティ形成・まちづくり
  3 子ども支援とコミュニティ形成・まちづくり
  4 障害者(児)支援とコミュニティ形成・まちづくり
  5 福祉コミュニティ形成・まちづくりのさらなる展開に向けて

 第9章 多文化共生とコミュニティ形成・まちづくり
  1 地域における多文化共生とは
  2 多文化共生施策の展開とコミュニティ形成・まちづくりの諸問題
  3 多文化コミュニティ形成・まちづくりの活動実態
  4 多文化コミュニティ形成・まちづくりに向けて

 第10章 防犯・防災とコミュニティ形成・まちづくり
  1 コミュニティの防犯力・防災力
  2 「防犯活動」の現状と活動状況
  3 「防災活動」の現状と活動実態
  4 「コミュニティの防災力」の課題
  5 防犯・防災コミュニティ形成・まちづくりへの道筋と可能性

 第11章 空き家・空き店舗,個人住宅の活用とコミュニティ形成・まちづくり
  1 コミュニティ形成・まちづくりの核としての施設・装置
  2 空き家活用の背景
  3 コミュニティ形成・まちづくりにおける空き家・空き店舗,個人住宅の活用実態
  4 コミュニティ形成・まちづくりの核としての「空き家・空き店舗,個人住宅」の活用の可能性

第Ⅳ部 コミュニティ政策の国際比較-日本と台湾
 第12章 日本におけるコミュニティ形成・まちづくりの系譜と展開
  ―コミュニティ政策の日台比較研究のために
  1 日本におけるコミュニティ形成・まちづくりの系譜
  2 コミュニティ形成・まちづくりの展開
  3 コミュニティ政策の日台比較研究に向けて

 第13章 日本におけるコミュニティ政策の展開
  1 第二次コミュニティ施策ブームの到来
  2 1970年代のコミュニティ政策
  3 コミュニティ政策をめぐる位相の転換
  4 コミュニティ政策の意義と課題―2010年代から2020年代へ

 第14章 台湾の社区営造政策の展開と台北市の取り組み
  1 分析視角
  2 社区営造政策の展開と現状
  3 台北市の展開
  4 課題―コミュニティ政策の日台比較研究のために

 終 章 都市成熟化社会における《コミュニティの社会学》
  1 変化する現代社会と《コミュニティの社会学》
  2 ポストコロナ時代に向けての課題

著者略歴

著:和田 清美
(わだ きよみ)東京都立大学名誉教授。

ISBN:9784762031328
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:280ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB