児童養護施設の生活環境のダイナミクス
家庭で暮らせない子どもの育ちと職員の実践
著:山口 季音
内容紹介
家庭で暮らせない子どもが生活する児童養護施設。
そこでは子どもたちはどのように生活を紡いでいっているのだろうか。
筆者は、近畿圏都市部の施設でのフィールドワークから、
暴力問題や教育問題の背景にある子どもの仲間文化や職員の支援の課題とともに、困難のなかで、
子どもや職員が施設の生活環境をどのように形成しているのかを丁寧に描きだした。
家庭で暮らせない子どもの「育ち」の実態に迫るフィールドワーク調査研究の書。
「優越志向の仲間文化、関係の貧困、即興の支援、無意識的に展開されるジェンダーステレオタイプなかかわり。
社会的養護のもとで生活する子ども、およびその支援の特性から著者は児童養護施設の現状を分析する。
そのまなざしは、子どもの今だけでなく、未来の幸せに向けられている。
―― 関西大学教授 山縣文治」
目次
第1章 家庭で暮らせない子どもの育ちと貧困
1 子どもの育ちと貧困問題
2 「子どもの貧困と教育」研究の課題
3 家庭で暮らせない子どもの生活環境―児童養護施設に着目して
第2章 児童養護施設の子どもの生活環境はどのようにとらえられてきたのか
1 児童養護施設とは
2 児童養護施設の目的とその実践
3 児童養護施設研究における施設の集団生活の課題
4 児童養護施設の生活環境をとらえるエスノグラフィックなアプローチ
第3章 児童養護施設におけるフィールドワーク
1 調査概要
2 調査の経緯・データの性質・倫理的配慮
第4章 児童養護施設における子どもの暴力と仲間文化
1 児童養護施設における子ども間の暴力
2 児童養護施設における暴力の傾向―A県管轄下施設における暴力調査から
3 他者に対する優越を志向する仲間文化
4 子どもたちにとっての暴力の意味
第5章 児童養護施設における学習支援の様相
1 児童養護施設の子どもの教育達成と学習支援
2 児童養護施設における子どもの学習状況
3 フィールドにおける学習支援の阻害要因
4 学習環境を維持する職員の合理的な働きかけ
第6章 児童養護施設職員の「即興の支援」―ジェンダー・ステレオタイプの使用を中心に
1 児童養護施設における支援とその困難
2 施設職員のジェンダー・ステレオタイプの使用と「即興の支援」
3 「即興の支援」をとらえた意義
第7章 児童養護施設の生活環境からみえるもの―本書の結論として
1 児童養護施設の生活環境形成のダイナミクス
2 児童養護施設の生活環境から子どもの教育をとらえる必要性
3 社会的養護の小規模化・家庭化推進のなかで
4 貧困の連鎖を食い止める社会的養護の可能性と課題
5 残された課題
ISBN:9784762030949
。出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
。判型:4-6
。ページ数:256ページ
。定価:2500円(本体)
。発行年月日:2021年07月
。発売日:2021年07月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。