フリードマンの貨幣数量説
著:吉野 正和
内容紹介
20世紀後半の主要な保守派経済学者であるフリードマン(Milton Friedman)だが、
その貨幣数量説(マネタリズム)は難解なため、日本では十分に理解されているとはいえない。
本書は、「市場万能主義」に代表されるフリードマンへの誤解を解き、
今日の経済にも多大な影響を及ぼしているマネタリズムの理論におけるフリードマンの真の主張を解明する。
目次
第1章 フリードマンの貨幣数量化説
1.はじめに / 2.アーヴィング・フィッシャーの貨幣数量説 / 3.フリードマンの貨幣数量説
/ 4.ケインズと貨幣数量説 / 5.ケインズからの影響 / 6.篠原三代平名誉教授の貨幣数量説批判
/ 7.誤解された貨幣数量説 / 8.むすびにかえて
第2章 フリードマンの貨幣需要関数
1.はじめに / 2.フリードマンの貨幣需要関数 / 3.貨幣需要関数の安定性
/ 4.フリードマンの貨幣需要関数批判 / 5.むすびにかえて
第3章 フリードマンの貨幣数量供給理論
1.はじめに / 2.フリードマンの貨幣供給 / 3.貨幣は外生変数か
/ 4.フリードマンのトランスミッション・メカニズム / 5.貨幣と所得の因果関係
/ 6.貨幣だけが重要か / 7.むすびにかえて
第4章 フリードマンのインフレーション理論
1.はじめに / 2.インフレーションの定義 / 3.インフレーションの理論
/ 4.インフレーションはいつでもどこでも貨幣的現象 / 5.貨幣需要の安定性 / 6.タイム・ラグ
/ 7.政府の弁解 / 8.インフレーションの克服 / 9.インフレーションによる政府の収入
/ 10.サミュエルソンとソローの見解 / 11.狂乱物価
/ 12.フリードマンのインフレーション理論の批判 / 13.むすび
第5章 フリードマンのトランスミッション・メカニズム
1.はじめに / 2.フリードマンのトランスミッション・メカニズム
/ 3.ブラック・ボックス / 4.望月昭一教授の見解 / 5.清水啓典教授の見解
/ 6.土井省吾教授の見解 / 7.フリードマンの見解 / 8.むすびにかえて
第6章 フリードマンのX%ルール
1.はじめに / 2.自由裁量 / 3.X%ルール / 4.100%準備の提案
/ 5.ハイパワード・マネーの凍結提案 / 6.共通の思想 / 7.ルールと自由裁量の相違
/ 8.むすびにかえて
第7章 1980年代のフリードマン
1.はじめに / 2.ハイパワードマネー凍結提案 / 3.なぜ、提案したか
/ 4.連邦準備制度の悪い業績と高い名声 / 5.ハイパワード・マネーのゼロ成長
/ 6.ゼロ成長は健全な経済と両立するか / 7.ゆっくりとした改革
/ 8.X%ルールと矛盾しないか / 9.X%ルールとの共通点 / 10.理想主義者
/ 11.フリードマンの主張は極端か / 12.むすびにかえて
第8章 フリードマンの真の主張
1.はじめに / 2.フリードマンの主張の存在 / 3.フリードマンの主張の理由 / 4.X%ルール
/ 5.土井教授によるX%ルールの解釈 / 6.本当に正しいか / 7.むすびにかえて
第9章 フリードマンの自然失業率仮説
1.はじめに / 2.フィリップス曲線 / 3.自然失業率仮説 / 4.短期と長期
/ 5.フリードマンの3段階説 / 6.垂直なフィリップス曲線論争 / 7.自然失業率と完全雇用失業率
/ 8.ルール / 9.批判 / 10.問題点 / 11.むすびにかえて
第10章 フリードマンの恒常所得仮説
1.はじめに / 2.恒常所得仮説 / 3.恒常所得の意味 / 4.変動所得と変動消費
/ 5.恒常所得仮説と貨幣需要関数 / 6.批判 / 7.評価 / 8.むすびにかえて
第11章 貨幣面におけるバブルと不況
1.はじめに / 2.バブルと平成不況 / 3.貨幣の増減 / 4.マネーサプライ論争 / 5.歴史は繰り返す
/ 6.マネーサプライのコントロール / 7.先行性 / 8.日銀の責任 / 9.澄田智日銀総裁
/ 10.外 圧 / 11.予めの警告 / 12.むすびにかえて
第12章 マネーサプライ論争
1.はじめに / 2.岩田・翁論争 / 3.加藤・翁論争 / 4.歴史は繰り返す
/ 5.ケインジアン―マネタリスト論争 / 6.貨幣と金利の関係 / 7.望まれる貨幣量
/ 8.マネーサプライのコントロール / 9.流動性のわな / 10.調整インフレ論
/ 11.政策提言 / 12.むすびにかえて
第13章 1930年代の大不況に関する諸種の解釈
1.はじめに / 2.フリードマン=シュヴァルツ説 / 3.キンドルバーガーの批判
/ 4.ケインズの大不況の説明 / 5.フィアランの見解 / 6.ブルンナー・メルツァーの主張
/ 7.ガルブレイスの批判 / 8.むすび
第14章 フリードマンの貨幣仮説批判
1.はじめに / 2.マンキューの主張 / 3.フリードマンとIS-LM分析 / 4.フリードマンの貨幣と利子率
/ 5.実際の利子率 / 6.1929年から1931年 / 7.ケインズとフリードマン / 8.大不況に関する論争
/ 9.むすびにかえて
第15章 フリードマンのマーケット・メカニズム
1.はじめに / 2.フリードマンのマーケット・メカニズム / 3.アダム・スミスの後継者
/ 4.自由主義は社会主義に勝ったのか / 5.不平等 / 6.差 別 / 7.大恐慌 / 8.批 判
/ 9.日本の場合 / 10.マーケット・メカニズムと貨幣数量説 / 11.むすびにかえて
第16章 フリードマンの小さな政府
1.はじめに / 2.フリードマンの小さな政府 / 3.無政府主義ではない / 4.不必要な大きな政府
/ 5.福祉国家の末路 / 6.消費者保護 / 7.流れは変わるか / 8.減 税 / 9.日本の場合
/ 10.むすびにかえて
第17章 フリードマンの行政改革
1.はじめに / 2.潮流の変化 / 3.選 挙 / 4.証明書 / 5.減 税 / 6.憲法修正条項
/ 7.指導者 / 8.フリードマンの行政改革 / 9.ケインジアンの大きな政府 / 10.日本の場合
/ 11.むすびにかえて
第18章 フリードマンの負の所得税
1.はじめに / 2.フリードマンの負の所得税 / 3.勤働意欲 / 4.現 金 / 5.社会的恥辱感
/ 6.単 位 / 7.支払時期 / 8.財 源 / 9.批 判 / 10.問題点 / 11.日本の場合
/ 12.むすびにかえて
第19章 フリードマンの「変動為替相場」
1.はじめに / 2.フリードマンの理論 / 3.投機は変動相場を安定させるか / 4.国際収支の調整
/ 5.インフレの隔離効果 / 6.固定相場 対 変動相場 / 7.管理フロート / 8.マネタリズム
/ 9.なぜ、実現が遅れたか / 10.むすびにかえて
第20章 フリードマンのインデクセーション
1.はじめに / 2.意 味 / 3.歴 史 / 4.背 景 / 5.インフレーションによる政府の収入
/ 6.メリット / 7.デメリット / 8.インデクセーションはインフレ的か
/ 9.スタグフレーションの改善策 / 10.インデクセーションとマネタリズム / 11.問題点
/ 12.むすびにかえて
第21章 フリードマンの実証的経済学の方法論
1.はじめに / 2.フリードマンの実証的経済学の方法論 / 3.仮定論争 / 4.反証主義
/ 5.道具主義 / 6.むすびにかえて
ISBN:9784762019500
。出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
。判型:A5
。ページ数:352ページ
。定価:3500円(本体)
。発行年月日:2009年04月
。発売日:2009年04月05日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCA。