第一部 新聞
Ⅰ 新聞メディアの変遷
近代的新聞の始まり
§1 明治期
新聞の誕生/大新聞と小新聞の発展/戦争と新聞
§2 大正期
大正デモクラシーの担い手/関東大震災と新聞
§3 昭和戦前期
軍ファシズムと新聞の屈服/戦時下の新聞
§4 昭和戦後期
占領時代の検閲/60年安保からベトナム戦争まで/新聞時代からテレビ時代へ/コンピューター化された新聞
Ⅱ 新聞の現場
§1 取材する現場
ニュースとは何か/ニュースの効率的な収集/記者クラブの誕生/記者クラブの弊害/記者クラブの変革/02年新見解
§2 取材される現場――人権意識の高まり
犯人視報道/被害者のプライバシー侵害/メディア・スクラム
§3 技術革新と新聞の現場
デジタル化の波/ネットと新聞ジャーナリズム
Ⅲ 新聞産業の構造と特質
§1 新聞の二重性
公共性と企業性
§2 新聞産業の構造と特質
新聞産業の規模/大きな企業間格差/多層的な競争
§3 新聞産業の収支構造
規模の経済/収入構造/費用構造
§4 新聞産業の今日的課題
販売/部数減,若者の新聞離れ,再販問題/広告/新聞広告の不振と多メディア化/広告データヘのニーズ
§5 新聞産業の展望
メディアの融合
Ⅳ 新聞ジャーナリズムの課題
§1 新聞ジャーナリズムヘの風圧
平成の3大誤報/誤報を認めたがらぬ体質/調査報道の停滞/記者会見の衰弱
§2 新聞ジャーナリズムの対応
報道被害の顕在化/新・新聞倫理綱領の制定/メディア規制の動き/第三者機関の設置/第三者機関の役割
§3 新聞ジャーナリズムの再構築
原点としてのスクープ/全体像の提示/社会の紐帯として
Ⅴ 放送メディアの変遷
§1 ラジオの時代
放送の世紀/日本でのラジオ誕生/監督と規制下での放送/マイクの開放/民放の誕生
§2 テレビの時代
テレビ本放送の開始/テレビも高度成長/主役になったテレビ/衛星中継とカラー化
§3 多メディアの時代
衛星放送の開始/激動の時代の放送/テレビ批判と自律/公権力の介入と規制/デジタル時代へ
Ⅵ テレビの現場
§1 放送番組と現場の自由
現場の判断/現場の責任/TBS坂本弁護士ビデオ問題
§2 報道の現場
テレビ報道の影響力/現場を驚かす力/テレビ報道番組の現状/テレビ報道の流れと組織/テレビ報道の問題事例と今後の課題
§3 製作の現場
だれも知らなかったテレビ――番組制作の曙/製作者の情熱と製作条件番組制作の組織と仕事の流れ/製作者の環境の変化と今後の役割
§4 テレビのデジタル化と製作現場
デジタル化とコストの削減/製作会社の苦悩
§5 番組規制の動きと製作現場
法律による規制の動き/放送界の対応
Ⅶ 放送産業の構造と特質
§1 公共放送と商業放送の二元体制
二元体制が世界の大勢/相互補完による情報の多元化/全国放送と県域放送/民放テレビ・ネットワークの存存/ラジオ・ネットワーク
§2 制度的メディアとしての放送
電波法と放送法の存在/免許事業/免許事業の法的意味/放送法による番組規制/放送事業者の自律/放送の「概念」の曖昧化
§3 規制緩和と放送産業
ハード・ソフトの一致/分離/マスメディア集中排除原則/集中排除原則の緩和
§4 デジタル放送の時代
衛星デジタル放送の普及/地上波テレビ放送のデジタル化
Ⅷ 放送ジャーナリズムの課題
§1 戦争報道
フリー記者の活躍/歴史の記録壱/同行取材/フセイン銅像の引き倒し/米軍が仕組んだ?/検証報道/真相は?
§2 ダイオキシン報道の最高裁判決
ダイオキシン報道/最高裁判決/判断の拠り所/番組から受ける印象/テレビとチェック機能
第三部 出版
Ⅸ 出版メディアの変遷
§1 「出版」の成立――ヨーロッパを中心に
文字の発明、「本」の誕生/巻物と冊子体/活版印刷循/「グーテンベルク銀河」の諸相/霊感+商品=本という図式/近代産業となる「出版」
§2 近代出版流通システム、というアポリア――日本
近世と近代のはざま/書庫の世界一近世的な出版体制/明治初期の出版離陸/取次の誕生と近代出版流通システムの成立/マス化する「出版」/日配から戦後的体制へ/読者階級・教養主義・人文書
§3「出版」の「歴史」を語るということ
Ⅹ 出版の現場
§1 編集のシステム
出版社/出版社の仕事/編集
§2 製作・販売のシステム
業務・製作と販売・広告/出版の流通・販売
§3 読者の実態
読者の拡大と娯楽志向
Ⅺ 出版産業の現状
§1 デジタル革命のインパクト
活字メディアの終焉?/出版産業の枠組みのゆらぎ/流通経済システムの制度疲労/2重構造
§2 出版産業の構図
出版大国・日本/出版産業を支える関連事業者/右肩上がりの神話の崩壊
§3 変化する出版業
出版業は「情報通信業」に分類/総合出版社と書籍出版社/講談社・音羽グループのパワー
§4 出版物の流通・小売部門の現状
変化する取次業/出版物小売業の現状/出版物の流通経路/注目されるオンライン書店
Ⅻ 出版ジャーナリズムとしての総合雑誌
§1 マスコミとジャーナリズム
巨大になり過ぎた新聞と放送/天皇報道にみる相違/ジャーナリズムとしての機能
§2 現実を動かした総合雑誌
『文藝春秋』と『世界』の場合/松川事件と『中央公論』/最初は無関心だった広津和郎/広津和郎がとった行動
§3 新聞報道に抗する雑誌編集者
笹原金次郎の果たした役寄/第2審判決と広津総合雑誌を受け継ぐ出版社系週刊誌
第四部 電子メディア
ⅩⅢ 電子メディアの登場
§1 ニューメディアヘの期待と挫折
新技術とともに変遷するメディア/新聞社にとってのニューメディア/キャプテン/CATVと衛星放送
§2 インターネットの衝撃
待たれた技術の成熟/インターネットで「情報革命」実現
ⅩⅣ 電子メディアの新展開
§1 電子メディアの諸相
電子メール/メーリングリスト/ホームページ/メールマガジン/ブログ/パソコン/ケータイ/ゲーム機・PDA・書籍専用端末/CD-ROM・DVD・フラッシュメモリー・ストレージ/電子ペーパーとICタグ
§2 電子メディアの特質
融通無碍/シームレスー境界の喪矢/インタラクティプ/解体と再構成/危うさとはかなさ/無料の情報と情報の自由
§3 オンライン・ジャーナリズムの可能性
インターネットはメディアの革命/電子新聞の可能性/メールマガジン・メーリングリスト・インターネット放送
§4 総メディア社会」の中で
ジャーナリズムの危機
第五部 表現の自由とメディア・リチラシー
ⅩⅤ 表現の自由と責任
§1 日本における「表現の自由」の保障
§2 メディアを取り巻く法制度
取材の自由/公的情報へのアクセス/報道の自由/権利侵害の予防救済制度/伝達・配布の制限/インターネット規制
§3 相次ぐ表現規制立法
個人情報保護法による表現規制の可能性/人権擁護法案に潜む問題点
§4 メディア産業法枠組みの変化
マスメディア集中排除原則/地上デジタルで変わる所有ルール/言論報道機関の一般化
ⅩⅥ メディア・リテラシー
§1 私たちの情報環境
民主主義社会の一員として
§2 メディア・リテラシーの視点
市民の視点/ジェンダーの視点/マイノリティの視点/その他のマイノリテイ/ 批判的」視点の基盤――現代的人権
§3 メディアを読み解く概念
§4 メディア・リテラシーの発展過程
情報選択過程/思考過程/表現過程/発信と伝達/その体験がまたメディア・リテラシーになる