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子どもが道草できるまちづくり

通学路の交通問題を考える

編:仙田 満
編:上岡 直見

紙版

内容紹介

交通事故、大気汚染、肥満、自立への悪影響。クルマ社会は子どもを危険にさらしている。クルマ優先が前提の従来の対策・教育では根本的な解決に繋がらない。安心な通学路、子どもの遊び空間を取り戻すことで、子どももまちも豊かに育つ。人間優先社会に転換する具体的な政策・事例も交え、通学環境と子どもの安全を問い直す。

目次

はじめに──道を子どもたちに返そう  仙田 満
序 通学路はどんな場なのか  椎名文彦
  1 伝統を受け継ぐ通学路
 2 学校に通じる道
 3 形成力を秘めた道
 4 通学路での子どもの歩き
第Ⅰ部 劣化した通学環境
第1章 クルマ優先社会と通学路  今井博之
 1 なぜ道草ができなくなったのか
 2 モータリゼーションが子どもの命を奪ってきた
 3 子どもが遊べる空間は100分の1に
 4 子どものための「道」
第2章 クルマ社会が子どもにもたらす害  今井博之
 1 大気汚染・騒音・地球温暖化
 2 肥満
 3 子どもの交通事故の現状
第3章 遊びの喪失と発達への影響  今井博之
 1 子どもにとって遊びとは
 2 道遊びの意義─チューリヒ・スタディ
 3 「子どもにやさしい道」の提言
 Column1 デルフト宣言  今井博之
第4章 「安全・安心」フィーバーに巻き込まれる子ども  水月昭道
  1 「安全・安心」のフィーバーとどう向き合うか
 2 監視社会と子どもの行動
 3 岐路に立つ「通学路」
第Ⅱ部 失われつつある「道草」
第5章 子どもの遊びの質の変化  木下 勇
  1 地域の変化と子ども
 2 道草・道と子どもの成長
 3 遊び場の四世代の変化
 4 子ども道・猫道
第6章 現代の道草ウォッチング  水月昭道
 1 ある初夏の日に体験した道草
 2 道草の意義
 3 どんな通学路が「いい道」なのか
第Ⅲ部 社会は通学路をどう扱ってきたか
第7章 学校と通学対策  椎名文彦
  1 事故防止を抱えた道
 2 通学対策が内包する課題
 3 通学対策の要件
 4 通学路の再生は脱クルマから
第8章 交通教育と交通施設による安全確保  久保健太
 1 「安全」を確保しなければならない場としての「通学」路
 2 「教育」による交通事故防止の時代
 3 「施設」による交通事故防止の時代
 4 「道路分化」による交通事故防止と道草の復活
 Column2 交通「事件」被害者の経験から  佐藤清志
第9章 これまでに行われてきた面的対策  寺内義典
  1 面的対策の経緯とこれから
 2 欧米における面的な交通安全対策
 3 日本における面的な交通安全対策
 4 面的な交通安全対策の成果と課題
 Column3 偽の「青」信号─分離信号の必要性  佐藤清志
第10章 クルマ依存社会からの脱却  谷口綾子
  1 モビリティ・マネジメントの取り組み
 2 学校教育におけるモビリティ・マネジメント
第Ⅳ部  通学路を子どもの手に
第11章 子どもの参画で子どもにやさしいまちづくりを  木下 勇
 1 子ども参画の重要性
 2 子どもにやさしい都市
 3 子ども参画のまちづくり
 4 子どもが動いて地域が変わる
 Column4 自動車内における子どもの受動喫煙問題と喫煙運転の危険性  鈴木一之
第12章 アクションプラン──提言と実践  木下 勇、久保健太、椎名文彦
 1 アクションプランへの提言
 2 学校から遊び場を広げる
 3 「道路分化」への展望
 4 各地の実践例

 おわりに─シンポジウムを開催するまで  足立礼子

著者略歴

編:仙田 満
放送大学教授。1941年神奈川県生まれ。東京工業大学教授等を歴任。長年にわたり子どもの成育環境に関する研究を行い、建築設計、都市計画等に実践している。こども環境学会を創設し、広範な分野に渡り成育環境の改善に取り組むことを提唱。
編:上岡 直見
環境自治体会議環境政策研究所主任研究員。1953年 東京都生まれ。2000年まで民間企業に勤務し設計や安全性解析を担当。以後、NPOに転職し自治体の環境・交通政策の研究に従事。著書に『自動車にいくらかかっているか』(コモンズ)他。

ISBN:9784761524630
出版社:学芸出版社
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2009年07月
発売日:2009年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JND