なぜ私たちは、一人ひとり異なる今のような自分になったのか。子どもから大人へと成長する過程でどのような力が働き、その後の人生が形づくられるのか。数千人規模で出生から中年期までを追跡調査し、それらの問いへの実証的な答えを探し求めた、世界的に著名な4人の心理学者による「人間の発達をめぐる冒険」の書。
――杉山登志郎先生 推薦!!
子どもとそのそだちを巡る問題は山積みであり、多くの疑問が日々問われている。子どもの時の様々な問題は、成人まで続くのだろうか。続くとしたらどの様な形で現れるのだろうか。遺伝的な素因と環境因とは、それぞれが発達や成長のどの部分に強い影響を及ぼすのだろうか。決定的なマイナスの要因が幼児期にあった場合、子育てや教育によって克服することが可能なのだろうか。さらに幼児教育や学校教育は、そんな子ども達の発達軌跡に些かなりとも影響を与えるのだろうか。読者はこういった疑問の一つひとつに明確な答えが既に出ていることに一驚するのではないだろうか。そして、子どもの発達を支えるために何が必要なのか、子どものレジリエンスを高めるためにわれわれがなすべきことは何であるのか、明確な指針を得ることができる。本書を、子どものそだちに関心を持つ全ての人に推薦したい。(杉山登志郎/精神科医・福井大学子どものこころの発達研究センター客員教授)
目次より
第I部 はじめに
第1章 時を超えた生命
第II部 子どもは大人の父である
第2章 世界への反逆,世界からの逃避
第3章 自制的であるか否か
第4章 児童期と成人期のADHD
第III部 家族
第5章 なぜ親は自分のやり方で子育てするのか?
第6章 問題を抱えた家庭と不良少年
第7章 早くに成熟してしまう少女,問題のある家庭環境,そして不良少年
第IV部 家族を超えて
第8章 保育所に関する良いニュースと悪いニュース
第9章 近隣はどうですか?
第10章 いじめ
第11章 大麻――早期の使用,持続的な使用
第V部 遺伝
第12章 喫煙は遺伝子によって決定されるか?
第13章 人生の成功は遺伝子によって決定されるか?
第14章 子どもの不適切養育,遺伝子型,男性の暴力的行動
第15章 ライフストレス,遺伝子型と若年者の抑うつ
第16章 エピジェネティクス,あるいは従属変数としての遺伝子
第VI部 歳をとるということ
第17章 小児期逆境体験と成人期の身体的健康
第18章 小児期逆境体験の生物学的影響
第19章 歳をとるのが速い人,遅い人
第VII部 結語
第20章 眠りにつく前に進むべき道のりがある