序章
一 本書の立場と目的
二 和漢混淆文についての記述
三 和漢混淆文の言語的特質
四 和漢混淆文の研究動向と本書の内容
第一部 連文による翻読語から見る和漢混淆の諸相
第一章 連文による翻読語の文体的価値―「見れど飽かず(飽き足らず)」の成立と展開―
一 問題の所在
二 連文と同義的結合の複合動詞
三 同義的結合の複合動詞の概観
四 「あきだる」の場合
五 翻読語と漢語サ変動詞の歴史的展開
第二章 『万葉集』における連文の翻読語―「春さりくれば」から「春されば」へ―
一 はじめに
二 翻読語と漢語の検討
三 まとめ
第三章 『続日本紀宣命』の複合動詞と翻読語
一 複合動詞の構成と連文
二 連文の訓読による複合動詞の検討
三 結び
第四章 『源氏物語』の翻読語と文体―連文による複合動詞を通して―
はじめに
一 対象とする複合動詞と分類方法
二 長単位検索による複合動詞の概要
三 同義的結合・類義的結合・反義結合の複合動詞
四 『源氏物語』の翻読語の特質
五 並列形容語との文体面での連続性
六 まとめ
第五章 『源氏物語』における漢文訓読語と翻読語
―「いよいよ」「悲しぶ」「愁ふ」「推し量る」「いづれの御時にか」―
一 はじめに
二 『源氏物語』に頻用される漢文訓読語「いよいよ」
三 漢文訓読語「悲しぶ」の和文・和漢混淆文での活用
四 漢文訓読語「愁ふ」とその翻読語
五 高頻度の翻読語「推し量る」
六 まとめ―(付)気づかない翻読語「いづれの御時にか」―
第六章 『今昔物語集』における翻読語と文体
一 はじめに
二 『今昔物語集』における複合動詞の翻読語
三 『今昔物語集』における翻読語の諸相
四 まとめ
第七章 『打聞集』における漢字表記の生成―連文漢語の利用をめぐって―
一 はじめに
二 『打聞集』の成立と漢字使用の問題
三 『打聞集』の表記への漢文の影響
四 『打聞集』の表記の多様性
五 連文を用いた熟字訓の表記
六 連文の応用による単漢字の表記
七 連文による翻読語と表記
八 「安持」と「持(おく)」の場合
九 おわりに
第八章 『平家物語』の翻読語と個性的文体―延慶本と覚一本の比較―
一 翻読語と文体の問題
二 『平家物語』の翻読語の概要
三 平安和文にも広く見られる語―「おしはかる」―
四 和漢混淆文に多く見られる語―「いでく」「いできたる」―
五 『平家物語』に特徴的に見られる語―「をめきさけぶ」「せめたたかふ」―
六 文体指標としての翻読語
第二部 和漢混淆文の語彙・語法
第九章 和漢混淆文の動詞語彙―『今昔物語集』の特徴語―
一 はじめに―『今昔物語集』の語彙と文体をめぐる研究史―
二 『今昔物語集』の高頻度語の特徴
三 漢文出典との比較から見る『今昔物語集』の語彙
四 『今昔物語集』の複合動詞の特徴
五 『今昔物語集』の漢語サ変動詞の特徴
六 『今昔物語集』の動詞の用法の特質
七 まとめ
第十章 「べし」の否定形式の主観的用法―「否定推量」の発生と定着―
一 「べし」の否定形式の問題点
二 「べし」の否定形式の主観性
三 「べし」の否定形式の推量用法
四 中古の「べし」の否定形式
五 中世の「べし」の否定形式
六 まとめ
第十一章 古典語動詞「う(得)」の用法と文体―漢文訓読の用法と和漢混淆文の用法―
はじめに
一 問題の所在
二 用法の分類
三 「得」の意味用法と漢文訓読の影響
四 まとめ―文体指標としての「得」の用法―
第三部 和漢混淆文の文章構造
第十二章 『覚一本平家物語』の「き」「けり」のテクスト機能
―枠づけ表現と係り結び―
一 本章の目的
二 『平家物語』の文章の分析方法
三 始発機能の表現
四 「にけり」「てんげり」の終結機能
五 「ぞ〜ける」の終結機能
六 「こそ〜けれ」の終結機能
七 「ぞ〜し」の終結機能
八 係り結びとテクスト機能
第十三章 『屋代本平家物語』の「き」「けり」のテクスト機能―覚一本との比較―
一 「き」「けり」の機能と『平家物語』の文章
二 「き」「けり」の概観
三 終結機能の諸相
四 まとめ
第十四章 過去・完了助動詞による枠構造の史的展開―国字本『伊曽保物語』への展開―
一 物語の始まりや終わりに用いる表現
二 テクスト機能を持つ古典語助動詞
三 物語言語における主体のあり方と「けり」の意味・機能
四 『伊曽保物語』に見る枠構造
五 おわりに
第十五章 『雨月物語』『春雨物語』の過去・完了の助動詞と文章構造
一 問題の所在
二 物語の文章構成とテクスト機能
三 過去・完了の文末表現と文章構造の問題
四 『雨月物語』『春雨物語』の文末表現の概観
五 『雨月物語』の文章構造と文末表現
六 『春雨物語』の文章構造と文末表現
七 『春雨物語』における過去の助動詞の機能
八 おわりに
あとがき
索引(主要語句、事項・書名、人名)