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研究叢書

研究叢書546 風土記考説

著:廣岡 義隆

紙版

内容紹介

風土記について、総論・常陸國風土記・出雲國風土記・播磨國風土記・逸文に章を分かって考究する。今後、文庫本と註解書の刊行を念頭に置いた、基礎作業的側面を有する論考集である。

目次

 はじめに
 凡例

  第一章 風土記総論
第一節 漢文脈と倭文脈
 一 はじめに―「古風土記」の文体―
 二 「訓読」とは
 三 風土記における文献性格の差異とその訓読
 四 おわりに―訓読の功罪―
第二節 風土記の原形態について
 一 はじめに―解式について―
 二 播磨國・肥前國・豊後國の風土記写本について
 三 三条西家本「播磨国風土記」
 四 三條西家本『播磨國風土記』における「妋」字
 五 猪熊本『肥前國風土記』
 六 冷泉家本『豊後國風土記』
 七 おわりに―逸文から集約できる原初形態―
第三節 原本系・副本系
 一 はじめに―風土記副本―
 二 『播磨國風土記』について
 三 『常陸國風土記』について
 四 「国名」を本文明示する逸文について
 五 おわりに―原本系『風土記』と副本系『風土記』―
第四節 風土記本文の復元について
 一 はじめに―風土記逸文研究の現在―
 二 良質のテキスト
 三 國史大系本『釋日本紀』に依拠することの問題点
 四 『塵袋』の場合
 五 残存本文における汚染
 六 おわりに―相互に関連を有する拙稿について―
第五節 残存本文について
 一 はじめに―「逸文」の概念規定と「残存本文」について―
 二 『常陸國風土記』松下見林本について
 三 『出雲國風土記』倉野本について
 四 『播磨國風土記』三條西家本について
 五 『肥前國風土記』猪熊本について
 六 『豊後國風土記』冷泉家本について
 七 おわりに―残存本文の価値―
第六節 風土記の文字世界―書評―
第七節 「伊香小江」と「竹生嶋」
 一 はじめに―『帝王編年記』に載る該当本文―
 二 古風土記ではない
 三 「伊香刀美」について
 四 A・B二文の点綴
 五 「天羽衣」の語について
 六 Cの「竹生嶋」条
 七 おわりに―逸文ではない古伝―
第八節 古代の天女説話
 一 はじめに―風土記の逸文について―
 二 「伊香小江」と「竹生島」の話
 三 「天の羽衣」という語
 四 「領巾」について
 五 おわりに―天女―
  第二章 常陸國風土記考説
第一節 「俗」字と割注について
 一 はじめに―四風土記における「俗」字―
 二 『常陸國風土記』における「俗」字
 三 『常陸國風土記』中の「俗」字と割注の機能
 四 逸文中に見られる留意してよい事例
 五 おわりに―漢文体作品として―
第二節 「ころもでひつ」考
 一 はじめに―国号由来三条―
 二 「衣袖漬つ」か「衣袖漬ちの國」か
 三 常陸国について
 四 三通りの「ヒタチ」の地名由来
 五 おわりに―『萬葉集』の枕詞例について―
第三節 にひばりの をつくはのやま
 一 はじめに―行方郡香澄里条「新治洲」―
 二 「新治洲」の所在
 三 山の行政所属
 四 「新治のクニ」の「筑波山」
 五 にひばりの をつくはのやま
 六 おわりに―隠れ古伝―
第四節 道のくち・道のしり
 一 はじめに―国名呼称として―
 二 郡単位の事例
 三 地点表示の用例
 四 普通名詞の用法
 五 『古事記』『日本書紀』の応神天皇条の事例
 六 おわりに―広狭の三義―
第五節 『常陸國風土記』における地名掲出
 一 はじめに―各国風土記における地名掲出―
 二 『常陸國風土記』の概要
 三 『常陸國風土記』における地名記載様式について
 四 行方郡に省略が存在しない理由
 五 おわりに―前任国司の指示―
  第三章 出雲國風土記考説
第一節 副本としての『出雲國風土記』
 一 はじめに―国府における副本について―
 二 副本ということについて
 三 「編纂序」について
 四 「記」ということについて
 五 「名号由来」条について
 六 おわりに―「解」から「記」への変貌―
第二節 蓬左文庫本『出雲國風土記』について
 一 はじめに―蓬左文庫本『出雲國風土記』―
 二 親本のままに書写すること
 三 「透き写し」に関わる問題
 四 書写時誤写の修訂
 五 頭書について
 六 押紙と紙面の汚損
 七 おわりに―尾張徳川藩の学問―
 八 付言―蓬左文庫本『出雲國風土記』の価値―
第三節 『出雲國風土記』の会話文体
 一 はじめに―会話の三様式―
 二 双括式会話文体から
 三 頭括式会話文体から
 四 尾括式会話文体から
 五 おわりに―『出雲國風土記』における会話の三様式のまとめ―
第四節 郷家における素稿の作成
 一 はじめに―「郷家」について―
 二 秋鹿郡恵曇郷に関わる記述
 三 「改恵曇字叄」の解明
 四 郡家における編集
 五 おわりに―地域の文化―
第五節 現地産品と行政文書
 一 はじめに―その多彩な産品―
 二 「無魚」の意味
 三 「有魚」について
 四 「礒」が意味するもの
 五 「鳥獣」記述について
 六 ブランド産品
 七 「土體豊沃」について
 八 おわりに―行政文書による執筆―
第六節 「嚴堂」について
 一 はじめに―「嚴堂」の用例―
 二 諸注釈書から―「嚴堂」について―
 三 諸注釈書から―「教堂」について―
 四 「嚴堂」と「金堂」
 五 「嚴堂・金堂」について
 六 おわりに―「不立嚴堂」について―
第七節 仁多郡三澤郷条の複層的存在
 一 はじめに―写本用字上の問題―
 二 三澤郷条について
 三 会話文体から見えてくること
 四 「尒時」の使用から
 五 原説話について
 六 おわりに―『常陸國風土記』の一条―
第八節 佐太大神条をめぐって
 一 はじめに―佐太大神縁起―
 二 佐太大神誕生譚の展開
 三 佐太御子社について
 四 『出雲國風土記』の編纂
 五 郡提出草稿の分断
 六 おわりに―佐太大神縁起の移設―
第九節 『出雲國風土記鈔』の本文について
 一 はじめに―『出雲國風土記鈔』とその本文―
 二 『鈔本文』の年代について
 三 補訂本文について
 四 欠脱本文について
 五 一行の字詰から
 六 その他の日御碕本との関連事項について
 七 おわりに―『鈔本文』の位置付け―
第一〇節 士清本『出雲國風土記』について
 一 はじめに―士清本について―
 二 「川」字と「田」字から
 三 「蓬左文庫本――日御碕本」の独自本文から
 四 「日御碕本」の独自本文から
 五 留意される他の事項
 六 『鈔本文』について
 七 おわりに―「Y本」について―
第一一節 河村本『出雲國風土記』について
 一 はじめに―河村秀穎旧蔵書―
 二 不思議な「河村本」と「X本」
 三 「河村本」における「日御碕本」の影
 四 おわりに―他に留意される事項―
  第四章 播磨國風土記考説
第一節 『播磨國風土記』の国府編集
 一 はじめに―国府における編纂の手―
 二 「尒時」と「於是」
 三 おわりに―国庁での第一次編集と未精撰稿の問題―
第二節 異剣譚寸考
 一 はじめに―釼について―
 二 仲川里条の釼の話
 三 層をなす時の列挙
 四 時の観念―行政における文書管理―
 五 おわりに―パーマー・エドウィーナ氏の発表など―
  第五章 風土記逸文考説
第一節 風土記逸文の考究
 一 はじめに―「逸文」とは―
 二 「逸文」本文の採択
 三 引用態度
 四 文体的特質
 五 西海道風土記における甲類乙類
 六 おわりに―逸文に見られる独自性―
第二節 乙類風土記から甲類風土記へ
 一 はじめに―乙類風土記について―
 二 四字句が基本の文体―乙類風土記―
 三 甲類風土記について
 四 おわりに―再度の編纂に関する臆測―
第三節 「冬葍」の語について
 一 はじめに―「瑦舸水門」条の「冬葍」の語―
 二 諸注の情況
 三 「冬葍」について
 四 おわりに―漢方と果実―
第四節 「海臣之勲」寸攷
 一 はじめに―「肥後国号」の本文―
 二 「侶」か「臣」か
 三 「海臣」について
 四 おわりに―山の民と海の民―
第五節 「嶋子説話」―生成と展開―
 一 はじめに―幻の原話―
 二 嶼子説話における『別巻』について
 三 逸文「筒川村」条の分析
  三a 会話による叙述展開
  三b 神仙小説としての位置
  三c リアリティをもたせた表現
  三d 一般的な説話性
  三e 海洋文学としての性格
 四 倭歌の増補について
 五 高橋虫麻呂の作品について
 六 おわりに―創作された漢文作品とその流伝―
第六節 二島と江川―紀行小文―

収録論文の原拠について
おわりに
書後に

要語索引

ISBN:9784757610316
出版社:和泉書院
判型:A5
ページ数:624ページ
定価:12500円(本体)
発行年月日:2022年05月
発売日:2022年05月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ