日本史研究叢刊 41
鎌倉殿祭祀の歴史的研究
鎌倉幕府の将軍と家政
著:竹ヶ原 康弘
内容紹介
鎌倉幕府の宗教政策の研究に一石を投じる
鎌倉幕府が行った年中行事、あるいは天変や疾病の際に実施していた祈禱の特徴について整理し、摂関家との比較を踏まえ一権門としての鎌倉幕府の性格を確認した。また、鎌倉幕府の儀礼がどのように運営されたかを多面的に分析するため、儀礼の場を重視した鎌倉殿と、儀礼に関係する御家人たちの意欲・経済状態といった視点からも考察し、鎌倉幕府の宗教政策を闡明にした。
目次
序 文 追塩千尋
はじめに
序論
第一節 本書の課題
第二節 先行研究と本書の立場
第三節 本書で使用する史料について
第四節 本書の構成
第一編 鎌倉幕府初期の鎌倉殿と鎌倉殿祭祀
第一章 源頼朝挙兵前後の鎌倉殿家祭祀
第一節 鶴岡八幡宮の整備と祖廟
第二節 鎌倉幕府儀礼の整備と円暁
結 義経への対応と祈禱
第二章 源頼朝期における鎌倉幕府祭祀創出
第一節 頼朝の上洛と祖廟
第二節 鎌倉幕府における年中行事
第三節 文治五(一一八九)年鶴岡八幡宮放生会
第三章 頼朝後の鎌倉幕府祭祀
第一節 頼家期の祭祀について
第二節 実朝期の鎌倉幕府年中行事
付章 鎌倉幕府における平癒祈願祈禱
序
第一節 源実朝期までの疾病への対策
第二節 鎌倉における疾病への対応
結
第二編 鎌倉幕府中期の鎌倉殿と鎌倉殿祭祀
第一章 九条頼経期の鎌倉幕府祭祀
第一節 本章の課題
第二節 九条頼経と鎌倉幕府の「祭祀」
第三節 (四)期、及び結論
第二章 鎌倉幕府における占断
序
第一節 鎌倉幕府における占の実施
第二節 九条頼経期の占について
第三節 陰陽師間の意見対立
結
第三章 鎌倉幕府の地震観
序
第一節 平安期にみる異変と価値観
第二節 文治元(一一八五)年の地震について
第三節 鎌倉幕府における地震認識
結
第四章 鎌倉幕府における祈雨祈禱
序
第一節 鎌倉期以前の朝廷における祈雨祈禱
第二節 鎌倉幕府における祈雨祈禱の受容
結
第五章 鎌倉幕府における宗教儀礼の受容
序
第一節 雷公風伯祭の実施について
第二節 仁王会の実施と東国国家論について
結
第三編 鎌倉幕府後期の鎌倉殿と鎌倉殿祭祀
第一章 親王将軍期の鎌倉幕府祭祀
序
第一節 親王将軍の官歴、就任・退任
第二節 鎌倉幕府年中行事と親王将軍
結
第二章 鎌倉幕府における御家人の所役拒否
序
第一節 九条頼嗣期までの御家人の所役拒否
第二節 宗尊親王期における御家人の所役拒否
結
付章 説話文学における「貧」―「過差」禁制との関係から―
序
第一節 『今昔物語集』における「貧」
第二節 『沙石集』における「貧」
結
結論
鎌倉幕府における鎌倉殿家政と年中行事
序
第一節 源氏将軍期の鎌倉幕府年中行事と家政
第二節 摂家将軍・親王将軍期の鎌倉幕府年中行事
結
おわりに
あとがき