凡例
序章 井上靖研究史
第一章 井上靖文学の出発
第一節 文壇登場
Ⅰ「猟銃」論―「孤独」の絵模様―
はじめに 「猟銃」における「孤独」 白い河床 三つの核となるイメージ おわりに
Ⅱ「闘牛」論―「賭け」と敗北のモチーフ―
はじめに 新大阪新聞社主催「南予闘牛大会」と小説「闘牛」 登場人物それぞれの「賭け」と敗北
主人公津上の「賭け」と敗北 敗戦後の日本社会 おわりに
第二節 習作期における井上靖文学
Ⅰ『井上靖 未発表初期短篇集』解説―小説「猟銃」への序章―
はじめに 「昇給綺談」「就職圏外」 「復讐」「黒い流れ」「白薔薇は語る」
「文永日本」 戯曲「夜霧」 おわりに
Ⅱ未発表探偵小説「溟濛の吹雪に」考―「氷壁」「猟銃」の萌芽―
Ⅲ未発表舞踊劇脚本「村はずれ」考―ユーモアと「しろばんば」のモチーフ―
Ⅳ「流転」成立考―資料収集と物語の創造―
はじめに 「流転」とオーストリア映画「未完成交響楽」
平凡社版『大百科事典』と伊原敏郎『近世日本演劇史』 江戸芸人世界の創造 おわりに
第二章 現代小説の展開
第一節 井上靖文学における大衆性―「氷壁」に描かれた遭難を通して―
はじめに 遭難のロマンチシズム 遭難ブームと松濤明『風雪のビバーク』 おわりに
第二節 「聖者」論―イシク・クル湖伝説と現代―
はじめに イシク・クル湖伝説 泉の信仰
〈聖者〉と「若者」 昭和四十年代前半の日本社会 おわりに
第三節 「四角な船」考―時事的装飾と人物造形―
はじめに 洪水思想 「終末論ブーム」と〈ノアの洪水〉
甍の人物造形 おわりに
第四節 「星と祭」考―主題の重さと読者サービス―
はじめに 子を喪った親の悲しみ 殯 紀行小説 おわりに
第三章 歴史小説の世界
第一節 学術志向と勇敢な生
Ⅰ 「天平の甍」考―「学問」と「冒険」―
はじめに 学問小説 冒険小説 井上靖文学における二つのモチーフ おわりに
Ⅱ 「敦煌」論―井上靖の学問観―
はじめに 趙行徳の西域への旅立ち 趙行徳像と井上靖 趙行徳の成長 おわりに
第二節 歴史に託す父子関係
Ⅰ「補陀落渡海記」の創造―井上靖のモチーフと「両親のための渡海」―
はじめに 「補陀落渡海」と創作史料 金光坊、清源と若き日の井上靖 おわりに
Ⅱ「蒼き狼」と井上靖―〈血統〉〈家系〉および父子関係―
はじめに 「蒼き狼」のモチーフ 井上靖の〈血統〉〈家系〉への関心 井上靖と父隼雄 おわりに
第三節 井上靖文学における「歴史小説」と「時代小説」―「敦煌」「蒼き狼」と「風林火山」を中心に―
はじめに 「歴史小説」と「時代小説」の区分 「歴史小説」の内実 「時代小説」の内実
創作資料と創作方法 批評家による評価 おわりに
第四節 〈「蒼き狼」論争〉を超えて
Ⅰ「風濤」論―被支配国の視点と内面描写―
はじめに 「風濤」の創作史料 元宗と世祖フビライの人物造形 忠烈王の人物造形
「風濤」のモチーフと〈「蒼き狼」論争〉への回答 おわりに
Ⅱ「おろしや国酔夢譚」―井上靖のモチーフと史料活用の方法―
はじめに 昭和十二年版『北槎聞略』の活用 大黒屋光太夫とニビジモフの造形
人生・運命の虚しさ おわりに
Ⅲ「本覚坊遺文」論―千利休像と作家井上靖―
はじめに 本覚坊の語り 千利休像 冷え枯れた磧の道 おわりに
Ⅳ「孔子」に描かれた現代―核なき世界を求めて―
はじめに 平和への希求と乱世 「孔子」構想期間と国際ペンクラブ東京大会
孔子の時代と核状況下における現代 おわりに
第四章 井上靖文学の位置
第一節 現代文学史上における井上靖―宮本輝へ与えた影響について―
はじめに 評価の類似性 両作家の作品比較検証 おわりに
第二節 国語教育における井上靖文学―詩「出発」授業試案―
はじめに 教材としての詩「出発」 学習指導案 模擬授業 おわりに
結に代えて
資料篇 井上靖未発表作品
未発表探偵小説「溟濛の吹雪に」
未発表舞踊劇脚本「村はずれ」
初出一覧
あとがき