序章 本書の目的と方法
一 院政鎌倉期の言語の研究
二 説話作品を取り上げる意図
三 「けり」による「テクスト機能」と「視点」の研究
四 説話の語彙・意味の研究
五 宣命書きの変遷の研究
第一部 「けり」のテクスト機能をめぐる論
第一章 今昔物語集の「けり」のテクスト機能
―冒頭段落における文体的変異について―
一 問題の所在
二 「けり」の文章論的研究
三 「けり」の用いられる巻の傾向と変異
三・一 「けり」使用の概観
三・三 「人物・事物の存在提示」
三・四 「名称説明」その他の解説的な表現
三・五 「日常的行為」の解説
三・六 「移動表現」による場面説明
四 まとめ
第二章 今昔物語集の「けり」のテクスト機能―終結機能を中心に―
一 問題の所在
二 今昔物語集説話の話型と枠構造
三 枠構造のモデル
四 終局部・後日談の慣用表現
五 「けり」の終結機能
第三章 今昔物語集の「にけり」―テクスト機能の諸相―
一 問題の所在
二 説話の文章構造と「にけり」
三 「にけり」の文末用法の特質
四 段落構成機能・場面連結機能
五 テクスト機能の背景と広がり
六 場面焦点化機能
七 まとめ
第四章 宇治拾遺物語の「けり」のテクスト機能―今昔物語集・古事談との比較―
一 はじめに
二 宇治拾遺物語における枠構造の検証
三 今昔物語集との比較
四 古事談との比較
五 まとめ
第五章 古本説話集の「けり」のテクスト機能―「にけり」「係り結び」の終結機能―
一 まとめ
二 話型の分類と枠構造
三 文章構造における「けり」の使用状況
四 係り結び・連体形終止文の作る枠構造
五 「にけり」「てけり」の作る枠構造
六 まとめ
第六章 発心集の「けり」のテクスト機能―係り結びの使い分け―
一 はじめに
二 「けり」の分布
三 冒頭部の様相
四 展開部の様相
五 終局部における「ぞ」「なむ」の選択
六 まとめ
第七章 沙石集の「けり」のテクスト機能―枠づけ表現の多様化―
一 問題の所在
二 沙石集の文章構造の分析方法
三 冒頭第一文の表現
四 終局部の表現
五 評語部・教説部の表現
六 まとめ
第二部 説話の文章・文体・表記に関する論
第八章 今昔物語集の接続語―「而ル間」「其ノ時ニ」を中心に―
一 目的と方法
二 各巻や部毎の概観
三 接続語の使用順序の傾向
四 各部の接続語の使用傾向
五 接続語と表現される内容との相関
六 宇治拾遺物語の類話との比較
七 まとめ
第九章 今昔物語集の複合動詞―和漢混淆文の特徴語として―
一 はじめに
二 今昔物語集の複合動詞の分析方法
三 和文との一致度
四 訓点語を含む複合動詞
五 転倒による複合動詞
六 まとめ
第十章 今昔物語集の「カナシブ」「アハレブ」―仏教的感動をあらわす一用法―
一 問題の所在
二 辞書・古辞書に見られる「悲」「哀」と「カナシブ」「アハレブ」
三 「カナシブ」「アハレブ」の先行研究について
四 中国・日本の漢文の用法
五 物語・日記・随筆・説話の用法
六 今昔物語集の用法
七 出典漢文からの影響と意訳
八 まとめ
第十一章 物語テキストの視点と文末表現
一 表現者と語り手
二 語り手の立場の表現
三 物語テキストの視点の解析
三・一 文末表現の概観
三・二 文末表現の用法
四 物語テキストの問題点
第十二章 今昔物語集の視点と文末形式―巻一六を例として―
一 はじめに
二 文末形式の概要
三 巻一六における文末形式の様相
四 まとめ
第十三章 宇治拾遺物語の文章構造―話末評語を手がかりに―
一 はじめに
二 説話の話末文の文末形式
三 話末評語の内容と文末形式
四 冒頭句と話末評語との対応の検証
五 宇治拾遺物語説話の文章構造について
第十四章 宇治拾遺物語の語彙と文体―古事談との比較を通して―
一 はじめに
二 古事談から宇治拾遺物語への翻案
三 まとめ
第十五章 打聞集の表記と単語意識―宣命書きの例外表記を中心に―
一 片仮名宣命書きと打聞集の表記
二 「振り仮名」「捨て仮名」「送り仮名」の機能
三 付属語の大書例について
三・一 Iのグループの助動詞の大書について
三・二 IIのグループの助動詞の大書について
三・三 助詞の大書について
四 自立語の小書例について
四・一 動詞・補助動詞の小書について
四・二 形容詞の小書について
四・三 名詞・形式名詞の小書について
五 打聞集の表記の特徴
第十六章 法華百座聞書抄の宣命書きについて
一 法華百座聞書抄の表記の問題
二 捨て仮名の機能
三 送り仮名の諸相
四 付属語の大書・小書
四・一 助詞の大書・小書
四・二 助動詞の大書・小書
五 自立語の小書
六 まとめ