精神分析学による日本近代文学の読み直し―学際研究の成果― 須田千里
精神分析で描く文学変容の歴史 新宮一成
はじめに
序章 フロイトと近代日本
一、精神医学と精神分析
二、明治期の精神分析研究と文学
三、大正期の精神分析研究
四、大正期の文学における精神分析
五、昭和初期の精神分析研究
六、昭和初期の文学における精神分析
七、戦時中の大槻憲二
八、戦後の精神分析と文学
九、まとめ
第一章 森鷗外によるフロイトの神経症論への言及
一、鷗外のフロイトへの言及の年月
二、鷗外によるフロイトへの言及の背景
三、「性欲雑説(男子の性欲抑制)」のフロイトへの言及
四、「避妊」のフロイトへの言及
五、鷗外文庫所蔵のフロイト著作
六、鷗外とフロイトの「不安神経症」論文
七、まとめ
第二章 中村古峡「殻」における統合失調症の描写とエピ‐パトグラフィー
Ⅰ 中村古峡と「殻」
一、中村古峡の経歴
二、自然主義文学としての「殻」
三、「殻」について
Ⅱ 考察
一、為雄の統合失調症
二、為雄の症状における「父」
三、古峡とエピ‐パトグラフィー
四、まとめ
第三章 内田百閒の精神分析的考察 ―「創造の病」における二人の父―
Ⅰ 内田百閒の経歴
一、百閒と父久吉
二、漱石との交流
三、漱石門下
四、漱石死後の「冥途」
五、「死の不安」
六、父久吉の十三回忌
七、借金癖
八、『冥途』の完成
九、『冥途』以後
Ⅱ 考察
一、「死の不安」
二、「空想(ファンタジー)世界」
三、ドッペルゲンガー
四、「創造の病」
五、まとめ
第四章 佐藤春夫「更生記」における精神分析と精神医学
一、「更生記」について
二、「更生記」におけるフロイトのヒステリー論への言及
三、「更生記」とクレペリン『精神医学』
四、クレペリン『精神医学』の典拠
五、「更生記」における遺伝因論と性病因論
六、まとめ
第五章 中上健次におけるフロイトとベイトソン―『魔女ランダ考』の受容をめぐって―
一、中上健次の物語論とフロイト
二、「母と子の身体の遊戯」とエディプスコンプレクス
三、ベイトソンと中村雄二郎『魔女ランダ考』
四、『地の果て至上の時』「火まつり」における魔女ランダ
五、「イクオ外伝」におけるダブルバインドと魔女ランダ
六、まとめ
終章 精神分析受容と文学の方法論
一、明治期の精神分析受容 ―森鷗外と中村古峡―
二、大正期の精神分析受容 ―内田百閒、芥川龍之介、佐藤春夫―
三、昭和期の精神分析受容 ―中上健次―
四、まとめ
〔注〕
参考文献目録
あとがき
精神医学・精神分析学用語索引