はじめに
第1章 本をツナグ/知をツナグ? ―大英図書館のソファから
1 本棚の歴史と鎖でつながれた本
2 「ツナグ」とは ―『源氏物語』柏木の妄執と猫の綱
3 本を「ツナグ」とは ―デジタルライブラリーと同時代性
4 海外と「ツナグ」 ―バイアスこそ文化なれ
第2章 『平家物語』と『ハイドリオタフィア』 ―夏目漱石とベネディクト・アンダーソンを「ツナグ」もの
1 夏目漱石というベストセラー
2 『想像の共同体』の国民文学 ―『平家物語』と『ハイドリオタフィア』
3 『ハイドリオタフィア』と夏目漱石
4 『ハイドリオタフィア』と音楽のメタファー
5 擬人化という問題へ
第3章 煙たい月は泣いているのか? ―日本文化と擬人化の一面
1 月の顔の擬人化
2 顔を描く月と近代
3 宮澤賢治の下弦の月
4 二つの月 ―信仰の月と科学の月
5 月世界旅行をめぐって
6 月との距離 ―古典文学の月
7 近代の月/煙たい月
8 花王石鹼の月 ―月の顔の近代と現代
9 宮沢賢治の泣きながら昇る月 ―花王石鹼との重なり
10 月の光と繁栄の証しとしての煙
第4章 視覚文化と古典文学 ―スパイラルなクロニクル
1 一九五一・五二〜六三年というエポック
2 映画と絵巻のアナロジー
3 カラーであること/カラーではないこと ―絵巻と説話文学
4 伝承と文字との出会い ―躍動する民衆の時代性
5 柳田國男と〈笑い〉
6 映像メディアと説話文学
第5章 芥川龍之介と『今昔物語集』の風景
1 『羅生門』の玉手箱 ―「鈴鹿本今昔物語集」のことなど
2 『今昔』説話と芥川龍之介『羅生門』そして黒澤映画との関係
3 芥川龍之介「今昔物語鑑賞」というエポックと月の兎の捨身譚
4 芥川龍之介の書架と『今昔物語集』の世界の好悪
5 孝と捨身と ―震旦と天竺の思想の齟齬
6 『今昔物語集』天竺部の親子観と孝養
7 『今昔物語集』に見る孝養と菩薩行の連続と非連続
8 菩薩行と孝養の反転する機制
9 芥川の晩年と捨身譚 ―宗教との相克
第6章 〈妊娠小説〉としての『源氏物語』とブッダ伝
1 「妊娠小説」という定義と『源氏物語
2 『源氏物語』の妊娠小説 ―その一 桐壺帝・光源氏・藤壺
3 『源氏物語』の妊娠小説 ―その二 光源氏・柏木・女三の宮
4 ブッダ伝と光源氏
5 ブッダ伝と「妊娠小説」
6 『源氏物語』と羅睺羅懐胎との直接的関連
7 南伝の伝承が示唆すること ―ブッダ伝に秘められたもう一つの「妊娠小説」
8 〈妊娠小説〉から夢の文化へ
第7章 夢と日本文化
1 夢ということば ―それはビジョンかドリームか
2 聖者の夢/古代の夢 ―夢の日本文化概観
3 夢を描く―夢文化の歴史性
4 日本の近代文化と夢 ―フロイトの出現
5 フロイトの衝撃から現代の夢の視覚化へ
6 フキダシをめぐる夢の形象 ―現代的表象と歴史的背景
7 フキダシの絵と文字
8 フキダシの未来学と問題提起など ―おわりに代えて
付記 旅のフローチャート ―描きかけの地球儀から
おわりに