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廃墟の残響

戦後漫画の原像

著:桜井 哲夫

紙版

内容紹介

水木しげるは南方戦線で左手を失い、赤塚不二夫やちばてつやは中国大陸で幼年時代を過ごして敗戦後の戦地での修羅場を経験し、手塚治虫は大阪大空襲で瓦礫と死体の山を見た。
戦争の時代を生きた漫画家にはどこか心に闇をかかえ、破滅志向がある。戦後生まれの大友克洋の作品にも廃墟の残響が聞こえる。では、「新世紀エヴァンゲリオン」は……。戦後漫画がもつ滅亡のイメージから、近代の文明・文化を考える。

目次

序 章 水木しげるの「戦争」
 劣等生、召集される
 「総員玉砕せよ!」

第一章 満洲の崩壊のなかで
 敗戦前の満洲国
 帝国の崩壊
 敗戦後の日々
 母ちゃんがあぶない
 葫蘆島に向かう無蓋列車の記憶

第二章 廃墟にたたずむ手塚治虫
 手塚治虫の昭和二十年
 敗戦間際の死
 終戦後の習作漫画
 漫画家デビュー

第三章 赤本ブームから貸本文化へ
 漫画雑誌と赤本漫画
 手塚治虫と酒井七馬
 『新宝島』の衝撃
 『ロスト・ワールド』にみる廃墟の想念
 「紙芝居」と水木しげる

第四章 尖端にたつ――白土三平とその父
 白土三平の生い立ち
 ウサギを飼う少年
 紙芝居画家「ノボル」
 漫画家・白土三平の誕生

第五章 若者たち――トキワ荘グループと劇画工房
 『漫画少年』の創刊
 トキワ荘に集まった若者たち
 表舞台から消えた寺田ヒロオの存在
 劇画工房と三洋社

第六章 青年漫画の時代
 『忍者武芸帳』と長井勝一
 『ガロ』と『COM』
 「青年漫画」とは何か
 一九七〇年代の漫画界
 『童夢』から『AKIRA』へ

終 章 「廃墟」に向き合う
 「新世紀エヴァンゲリオン」における廃墟の不在
 「滅亡について」

著者略歴

著:桜井 哲夫
1949年生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部教授。専攻は近・現代史、現代社会論。著書に『戦争の世紀』『「戦間期」の思想家たち』(ともに平凡社新書)などがある。

ISBN:9784757143425
出版社:NTT出版
判型:4-6
ページ数:249ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2015年03月
発売日:2015年03月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:XA