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このポケット・ガイドは、ナショナル・ギャラリーが所蔵する宗教画のコレクションをとおして、聖人の意味や彼らがヨーロッパ絵画の歴史の中で果たした役割を説明する。著者エリカ・ラングミュアは、どのようにして聖人がキリスト教会の一部となっていったのかを記述し、さまざまな聖人のタイプについて分類し、中世に聖人の遺物の重要性が増大していった過程を考察している。本書はまた、どのようにして聖人がつくりだされたかについて———宗教的慣習による列聖のプロセスや聖人予備軍の聖人昇格———も説明する。また本書は、謎に満ちた悔悛者マグダラのマリアや特定の都市でだけ守護聖人として崇められていた無名の殉教者、また聖ヒレロニムスやアッシジの聖フランチェスコのような、説教や行為についての記録の現存する国際的に名の知られた人物に至るまで、さまざまな聖人を紹介している。聖人は、たとえキリスト教を信じていないとしても、宗教絵画の中で馴染みの深い存在であろう。しかし、このポケット・ガイドは、聖人たちがかつて宗教的実践や個々人のおよび共同体の生活において果たした役割について、自信をもって、しかもわかりやすく説明している。

緒言
序文
聖人を見分けること
聖人をつくること　I
殉教者と証聖者
聖人の崇拝
聖遺物とイメージ
聖人をつくること　II
列聖と列福
聖人と家庭内のイメージ
保護者と模範的な形姿
信心と美術
私的な見解と公的な問題
信心とジェンダー
守護者と調停者
困ったときの聖人、ほんとうの聖人
さらに理解を深めるための読書