序 章
1 現代北米先住民文学の 「夜明け」―N・スコット・ママデイとレスリー・マーモン・シルコウ
2「パワー文学」 と神話と 「神聖な言葉の世界」
3 「神聖な言葉の世界」 の自然観―土地と共同体
第一章 『言葉でできた人』 の意味するもの
1 ママデイの言語観と口承伝統
2 人と言葉│存在と想像力
3 カイオワの物語と言語
4 白人社会と言葉
5 ママデイと言語
第二章 南西部の口承物語ー思考と創造と存在
1 物語の始まりと想像/創造の力
2 『儀式』という物語と部族神話と神話的アイデンティティ
3 現代の物語と神話的アイデンティティ
4 口承伝統の継承と現代の物語
5 土地に根差した部族の物語とママデイの演劇集
6 歴史の語り直しと口承物語の継承
第三章 南西部の 「双子の兄弟の物語」 と 「治癒への旅の物語」
1 「カインとアベルの物語」 としての 『夜明けの家』
2 南西部の 「双子の兄弟の物語」と『夜明けの家』
3 シルコウの 「双子の兄弟の物語」ー「治癒への旅の物語」 としての 『儀式』
4「英雄伝説」 としての 「治癒への旅の物語」
5 『死者の暦』 と癒しをもたらす 「双子の兄弟の物語」
第四章 大地を中心とする物語
1 アメリカの 「土地の倫理」ー人と土地の関係性
2 大地に根差したアイデンティティと自己回復
3 土地の物語│創世神話と移動の物語と現代の土地の物語
4 土地との関係の変容と 「非・場所」 の意味するもの
5 語り直される「大地を中心とする物語」ー土地の再神話化
第五章 空に親族を持つということ│天体表象を通して見る北米先住民の自然観と宇宙
1 『夜明けの家』 と 『儀式』における 「太陽の物語」 と太陽信仰
2 シルコウとママデイの作品を通して見る 「太陽の物語」
3 「星と星座にまつわる物語」 と 「民族的な記憶/血の記憶」―混沌から秩序へ
4 「月の物語」 と再生と循環│永遠回帰のシンボルとしての月
5 天体表象と 「神話的なこころ」―「生きた神話」 と 「神話の知」
第六章 熊物語に見られる北米先住民の自然観―ママデイとシルコウの 「熊物語」
1 『夜明けの家』 の 「熊物語」
2 『いにしえの子』 と 「熊になった少年の物語」
3 シルコウの 「熊物語」
4 「熊物語」の伝えるもの
第七章 人であること・熊であること―『いにしえの子』 とベア・アイデンティ
1 自己喪失と自己アイデンティティの模索
2 セットの 〈変身〉 の意味するもの
3 「ピーガン族の野営地を訪れた謎の少年の物語」
4 近代的自己アイデンティティーと「人であること」と「熊であること」
第八章 蜘蛛という表象と多文化共存社会への展望
1 「アナンシの物語」 から 「ウサギどんの物語」 へ―表象の推移とその背景
2 「蜘蛛の女」 と 「蜘蛛のお祖母さん」
3 「蜘蛛のお祖母さん」 とシルコウの作品
4 「蜘蛛のお祖母さん」 とママデイの作品
5 「蜘蛛の巣」 とストーリーテリングと他民族共存の社会
第九章 蛇の表象―南西部の蛇と 〈パラダイス〉 の蛇
1 〈石の蛇〉 のメッセージ│ラグーナ・プエブロと核開発
2 「エデンの園」 の蛇と 『砂丘の中のガーデン』 の蛇と前キリスト教時代の蛇
3 再生と治癒の象徴としての蛇
4 蛇と水と木
5 蛇と共に生きる
第十章 至高の霊鳥としての鷲と囚われの鷲―鷲の表象に見る 〈二つのアメリカ〉
1 飛翔の鷲と囚われの鷲
2 鷲の表象における相違・
3 〈二つのアメリカ〉 ―アメリカ合衆国と北米先住民社会
4 「囚われの鷲」 と 「囲まれる土地」、 そして現在
第十一章 「聖なる水の物語」 と 「汚染された水の物語」
―トキシック・ディスコースと 「聖なる水」 への回帰
1 『儀式』│人と水の物語
2 水の惑星、地球│その汚染と破壊
3 自然の自浄作用と蘇る水
4 「聖なる水」 への回帰
第十二章 砂丘の中の 〈エデン〉―『砂丘の中のガーデン』 と 「ポスト・エデン」 としてのユートピア
1 「耕作」と農業│食料生産のためのガーデンと 「西部のエデン化
2 「緑の楽園」│観賞用の庭・植物園・公園
3 アメリカにおけるエデン回復ナラティヴの実態―「ユートピア」 から 「ディストピア」へ
4 旅とユートピア小説
5 「砂丘の中のエデン」―「緑の楽園」 から 「砂色のエコトピア」 へ
第十三章 部族主義から汎部族主義へ―抑圧の歴史と汎部族主義
1『夜明けの家』 と 『いにしえの子』 における汎部族主義
2 『三作の演劇』│寄宿学校における同化政策と汎部族主義的共闘への動き
3 寄宿学校における同化教育の 〈成果〉 と二つの世界の相克
4 シルコウの作品に見られる汎部族主義と「負の汎部族的集団」
5 汎部族主義と未来への展望
第十四章(終章) 環太平洋を巡る「血の記憶」と惑星的未来への展望
1 アジアから南北アメリカ大陸へ
2 汎部族主義から地球主義へ
3 円環的な時間を生きる
4 「土地の物語」の再生―口承文化の再活性化
5 「世界の再魔術化」 と 「新しい神話」 の創成
結び
注
あとがき
参考文献
初出一覧
索引
著者略歴