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実務家のための外国税額還付の手引書

著:髙橋 幸之助

紙版

内容紹介

外国人や海外の企業に対し支払うサービス又は技術等の提供の対価には、支払いの際に、源泉徴収の対象となるものがある。また、日本の企業が海外から支払を受ける所得については、二重課税を回避するための外国税額控除が税法に規定されているが、外国での税額が軽減又は免除される場合には、軽減額を超える税額又は免除される税額は外国税額控除の対象とはならない。

米国の場合には、租税条約に基づく税額の免除の手続きがされていない場合には支払額の30%が源泉所得税として課税されることになる。この税額の軽減又は免除は同租税条約に基づく取扱いである為、事後(源泉徴収後)においても、申告書の提出により同条約による取扱いが可能であり、源泉徴収された税額の還付を受けることができる。

本書は、我が国から非居住者又は外国法人にサービス又は技術等の提供の対価を支払う際に、課税上、留意すべき事項及び外国税額控除の対象とならない外国税額の外国政府に対する法人の還付申告書の作成について、実際の還付事例を基に解説する。

目次

課税実務編

1 居住者・非居住者の区分と国内源泉所得について
〈ガイダンス〉
⑴ 居住者と非居住者の区分
演習事例1 居住者・非居住者の判定
演習事例2 居住者・非居住者の判定(滞在期間が確定していない場合)
演習事例3 居住者・非居住者の判定(海外滞在期間が延長された場合)
演習事例4 居住者・非居住者の判定(国内滞在期間が延長された場合)
演習事例5 生活の本拠地とは
⑵ 国内源泉所得とは
イ 所得源泉地とは
ロ 国内源泉所得の内容
ハ 租税条約で異なる定めがある場合の所得の源泉地について

2 租税条約について
〈ガイダンス〉
⑴ 租税条約の意義と目的
⑵ モデル条約と我が国が締結した租税条約の比較(所得源泉地)
⑶ 租税条約の実務(条約の読み方)
イ 使用地主義
ロ 債務者主義
ハ 特典条項(日米租税条約の場合)
ニ 「導管取引」を規制する規定(日米租税条約の場合)
⑷ 租税条約の規定ぶり(使用料について)
[事例1]使用料を免除としている条約の事例
[事例2]使用料の課税を認めている条約の事例
[事例3]債務者主義により使用料の所得源泉地を置き換えている条約の事例
[事例4]著作権等の譲渡を使用料として規定している条約の事例
[事例5]著作権等の譲渡を国内法で課税すると規定している条約の事例
[事例6]人的役務提供の対価を使用料等として規定している条約の事例

3 非居住者と外国法人に対する課税実務
⑴ 不動産賃借料に対する課税(所法161①7)
〈ガイダンス〉
演習事例6 非居住者に対する不動産賃貸料の支払い
⑵ 使用料に対する課税(所法161①11)
〈ガイダンス〉
演習事例7 海外の企業にソフトウエアの開発費用を支払う場合の税金
演習事例8 設計図の対価に対する源泉所得税
演習事例9 英国S社との間の開発委託契約に関する課税関係
演習事例10 導管取引について
演習事例11 機械、装置及び用具の使用料と債務者主義
演習事例12 米国の有限責任会社と源泉所得税
⑶ 人的役務に対する課税(所法161①7)
〈ガイダンス〉
演習事例13 短期滞在者免税(その1)
演習事例14 短期滞在者免税(その2)
演習事例15 短期滞在者免税(その3)
演習事例16 内国法人の役員としての国外での勤務

4 租税条約の手続きに関する事例
〈ガイダンス〉
演習事例17 税金が軽減又は免除される場合(租税条約の適用)
演習事例18 税金が軽減又は免除されない場合(エジプトとの租税条約)
演習事例19 「租税条約に関する届出書」を継続して提出する場合の留意事項
演習事例20 改正租税条約により免税となる源泉所得税
演習事例21 租税条約による還付請求
演習事例22 租税条約に基づく還付請求をする場合の留意点
演習事例23 租税条約に基づき課税の免除を受ける給与等がある場合の「法定調書」の記載方法
(参考)租税条約(情報交換協定について)
(参考)租税条約(税務行政執行共助条約について)

5 来日外国人に対する課税
〈ガイダンス〉
演習事例24 中国人留学生に支給するアルバイト賃金
演習事例25 インドネシアからの留学生に支給するアルバイト賃金
演習事例26 外国人技能実習生に対する課税上の取扱いについて
演習事例27 JETプログラムにより来日した外国人英語教師に支払う報酬の取扱い
演習事例28 経済連携協定(EPA)に基づき受け入れる外国人看護師・介護福祉士候補者に支給する報酬の取扱い



課税実務編[米国版]

〈ガイダンス〉
1 個人に対する課税
⑴ 米国に居住する外国人の課税上の分類
⑵ 米国における外国人の課税の範囲(非居住外国人の場合)
演習事例29 留学資金の課税上の取扱い

2 外国法人に対する課税(個人と外国法人に対する源泉徴収)
⑴ 米国における非居住者(個人)と外国法人等(会社等)に対する源泉徴収制
演習事例30 米国での源泉所得税課税、租税条約による軽減・免除と法定調書



還付請求実務編[日本版・米国版]

〈ガイダンス〉
1 源泉所得税の還付
⑴ 日本において非居住者及び外国法人が源泉所得税の還付をうける場合の手続きと必要書類(支払相手国が米国の場合)
⑵ 米国において日本の居住者及び法人が源泉所得税の還付を受ける場合の手続きと必要書類

2 外国法人確定申告書(Form 1120-F)について
⑴ Form 1120-F (U.S.Income Tax Return of a Foreign Corporation)の作成目的
⑵ 主な申告対象者

3 外国法人確定申告書(Form 1120-F)の作成手順
演習事例31 米国で源泉徴収された税金の還付方法

Form1042-S(外国法人確定申告書)作成までの手続き
手続1 法定調書(源泉徴収の証明)の準備
手続2 FormW-8BEN-Eの作成
手続3 Form8833の作成
手続4 居住者証明書の取得
手続5 米国歳入庁(IRS)宛のレターの作成(参考文例)
手続6 外国法人確定申告書・2014年分の作成
外国法人確定申告書・2015年分の作成
外国法人確定申告書・2016年分の作成
その他資料(⑪と⑫を記入する際の資料)



参考法令等
○所得税法
○所得税法施行令
○所得税法基本通達
○法人税法
○法人税法施行令
○租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
○租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令



索引

ISBN:9784754726782
出版社:大蔵財務協会
判型:B5
ページ数:310ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年07月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:LNU