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事例検討会のすすめ

他著:中村 留貴子
他著:岩倉 拓
他著:菊池 恭子

紙版

内容紹介

事例検討会の形式はいろいろあります。そのいずれにも共通するのは,複数のメンバーが集うことによって,そこには一定の社会的な構造が存在することでしょう。個人スーパービジョンとは異なる面持ちの空間になりますし,グループスーパービジョンとも少し違うようです。メンバーの数だけ臨床感覚や理解の仕方,技法の選択などがありますので,同質のものにも異質なものにも触れる機会となります。とりわけ異質なものに出会ったとき,私たちの臨床的感覚と理解は一段と進化するように感じます。自分では思ってもいなかったような視点が提示されることもありますし,アセスメント自体も修正を余儀なくされたり,良かれと思ってしたことが否定されたりという経験は皆が共有するところです。自分自身の人間性や臨床家としての資質そのものにダメ出しをされたように感じて,深刻に落ち込むこともあります。そういう苦しいけれども意義ある体験に開かれていくことが,クライエントに対するセラピストとしての姿勢にもつながり,さらなる可能性を開いてくれると思います。(「はじめに」より抜粋)

目次

はじめに

第1章 事例検討会の位置づけ
 1 事例検討会のすすめ―理解というものは常に誤解の総体に過ぎない
  コラム  グループに関する概念の紹介
 2 事例検討会を通しての体験―今ここで考え,言葉にすること
  コラム  精神分析的心理療法セミナーの成り立ち
  コラム  個人スーパービジョン体験との比較検討

第2章 事例検討会の実際
 1 仕事の場面での対人緊張を主訴に来談したケース―同一化による膠着からの解放
  コラム  助言者を担当して―ライブとしての事例検討会
 2 恋愛関係の悩みから情緒不安定になったケース―密室の出来事をオープンにすること
  コラム  参加者からの助言と外部の先生からの助言
 3 過食嘔吐と自傷を繰り返す女性のケース―事例検討会という場で生成されるもの
  コラム  事例検討会の記録者として考えたこと

第3章 心理療法家としての学び―専門家を目指して
 1 精神分析的な治療者の育ちと集団《グループ》の役割
  コラム  事例検討会での体験―初心の頃と比較して
 2 自己愛の傷つきの場としての事例検討会
  コラム  治療者の主体性,そして自律性の養成の場として

第4章 座談会―なんでもしゃべってみよう

おわりに

著者略歴

他著:中村 留貴子
日本大学文理学部心理学科卒業。臨床心理士。日本精神分析学会認定心理療法士・スーパーバイザー。山梨日下部病院(精神科)、慶應義塾大学医学部精神神経科教室、東京国際大学人間社会学部臨床心理学研究科などを経て,現在は千駄ヶ谷心理センター(SPC)において心理療法,スーパービジョンを行う。
他著:岩倉 拓
横浜国立大大学院教育学研究科修士課程修了。臨床心理士。精神分析学会認定心理療法士。電話相談員,精神神経科クリニック,スクールカウンセラー,大学病院心理士,保健所・乳児院コンサルタント等を経て,現在あざみ野心理オフィス主宰。 著書 スタートライン臨床心理学(分担執筆,弘文堂),パーソナリティ障害の精神分析的アプローチ(分担執筆,金剛出版),子どものこころの理解と援助―集団力動の視点から(分担執筆,日本評論社),心理臨床家の成長(分担執筆,金剛出版)
他著:菊池 恭子
1999年東洋英和女学院大学大学院課程修了。臨床心理士,精神科クリニック,中学校スクールカウンセラー,大学学生相談室,産業領域などでの臨床を経て,現在は主に西新宿臨床心理オフィスにて個人心理療法を行う。

ISBN:9784753311910
出版社:岩崎学術出版社
判型:A5
ページ数:152ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM