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以文叢書 5

☆新版☆ ピグミーチンパンジー

未知の類人猿

著:黒田 末寿

紙版

内容紹介

アフリカの森に生息し、雌同士の性器のこすり合い(ホカホカ)などの性行動が、挨拶や興奮を鎮めたり植物分配の手段に使われるなど、従来の動物観を覆えさせられるような不可思議な類人猿の参与観察記録。第三四回読売文学賞受賞作品の新版。

目次

Ⅰ ピグミ-チンパンジーを追って
1 森のワンバ
     ワンバをめざして ワンバ到着 最初の出会い 未知の類人猿
2 ビーリャの住む森
     森の案内人コイとエレメ イオンジェ道を行く 原生林の中へ 森の中でのビーリャとの出会い 森を横断する 夕暮れの歌
3 観察の始まりと餌づけの試み
     のんびり屋のビーリャ 朝日の逆光に浮かぶビーリャと巨大な性皮 ワンバの人びとと生活 薮のなかのビーリャを追う 餌づけの試みと失敗
4 森歩きのディプローマ
   ブセンゲの果季 老雄モパカ 樹上の行列 ビーリャの六つのまとまり 森を歩くこと 夕暮れの森
5 一九七五年元旦
     ワンバの正月 フェミニストたち 抱きあった交尾 四つの単位集団 キンシャサにて
6 森からきた養女、ココ
     二つの旅 エーリャの子どもエーリャ、生き返る マーマ・ナ・エーリャ ココ、森へ帰る
7 開かれはじめたビーリャの社会
     ボケラ集団の全容 交尾の相手を変えるオス ベッドづくり ゾウが餌づく 温和な攻撃行動 一夜をともにしたオスとメス 小川でミミズを食べる
8 ビンボー事件
     食べ物を分配するビーリャ 性器をこすり合わせるメスたち メスに寛大なオス オスにもの乞いするメス ビンボーを奪い合うメスたち 発情と非発情の差
9 森の祭り
     食糧を保証する湿地林 豊饒なリーマ季 攻撃の逆転と小さな優劣の差 小さな性皮のメスたちの交尾 性行動と生殖の分離 遊ぶビーリャ 子どもたちの性行動 さようなら、ワンバ
Ⅱ ピグミーチンパソジーの社会構造
1 再びワンバへ
     餌づけ成功の知らせ なつかしい人びと 豊かなザイール・フォレスト
2 類人猿の社会
  類人狭の社会と生態 半閉鎖系としての単位集団
3 集団の構造             
エランガ集団と三つの単位集団 エランガ集団とボケラ集団の出会い ボケラ集団とコホラ集団の出会い 単位集団間を動く若いメスエランガ集団とプランテーション集団の出会い エランガ集団のメンバーたち サブ・グループの存在 集侍の血縁的基軸 サブ・グループ間関係 単位集団の二重構造
4 性行動
     餌場の情景 性行動の日常化 積極的なメスたち 性の社会交渉手段化 多彩な性行動 ホカホカ考 母と子の性的交渉 性行動とコミュニケーション
  5 社会関係
     順位関係 オスたちの交渉 メスたちの秩序 オスとメスの対等性子どもたちをめぐって さまざまな結合力
  6 道具使用
  7 社会構造再考
あとがき                                                       
新版によせて

著者略歴

著:黒田 末寿
1947年岡山県生まれ。1971年京都大学理学部卒業。1981年理学博士。1982年「ピグミーチンパンジー―未知の類人猿」(筑摩書房)によって第34回読売文学賞受賞。京都大学理学部助手・助教授を経て、現在滋賀県立大学人間文化学部教授。1974年から87年にかけてコンゴ民主共和国(旧ザイール)のワンバにてピグミーチンパンジーを調査、89年からコンゴ共和国、ガボン共和国にてチンパンジーとゴリラを調査中。
著書:『人類の起源と進化』(共著、有斐閣)などがある。

ISBN:9784753102112
出版社:以文社
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:1999年11月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSVM