Ⅰ 「祖国」への細い道
「活動家家族」の祖国訪問手続き
家を出発、東京の中央本部へ
中央本部の“免疫予防注射”
感慨と不安と──「万景峰号」乗船
“社会主義的差別”を初体験
清津到着「これが祖国」と涙ぐむ
公式歓迎の政治ショーはじまる
巨大な金日成銅像を初見学
Ⅱ 美しい風景、ふくらむ疑問
大都会・清津を歩く牛車
駅構内でも“生身の人間”に会えぬ
車窓に映る美しい田園風景
“死人の目”の人民に大衝撃
淋しい東海岸線と美しい夜空
寝台車でみた肉親との対面の夢
Ⅲ 学習、学習、また学習
いつも最初に“おじぎ事業”
“馬に人参”辛抱してコース回る
金日成“生家参り”で断絶感
自己陶酔調の銅像解説員
“外華内貧”の朝鮮革命博物館
現実味ない絵を大量に陳列
金日成の後継ぎ推戴写真も
見学への拒絶反応、病人も出る
“子分の御陵”、死人にも序列!
兵士と遮断機で護衛の“宮殿”
万国車博覧会、米国製ジープも
黒塗り車優先の“交通仁義”
「パリ」模倣した「凱旋門」
虚飾のむなしさ「主体思想塔」
平壌大劇場に二種類のトイレ
善玉悪玉の旧式「革命歌劇」
見学学習から思想学習へ
「食べた餅かえせ」の奇妙な論法
ひとりでは旅館の外に出られず
Ⅳ 肉親への想いつのる
信川博物館と戦争犠牲者の墓
片腕切断男の悲しい身の上話
悲痛な沙里院での親子再会
妙香山いき車中で歴史を習う
お中元センター「国際親善館」
外国人の“贈り物”考現学
スターリンからの乗用車も陳列
姉はひと言「私、醜くなった」!?
別離前の肉親のパントマイム
暗闇を走る“悲しみ乗せたバス”
“日本円天国”の平壌外貨商店
盗聴器に注意喚起する帰国同胞
六十年代初めの人民裁判・公開処刑
帰国同胞をカモにする少年ドロボウ
Ⅴ 絶景・金剛山への切ない旅
盗聴器に向かって公式宣伝をぶつ男
“汽車はつねに夜走る”
“アメ玉少女”と“金持ち叔父さん”
ムショの国で富士山を考える
自宅訪問受けるキポ(帰胞)の特別待遇
「数字を食って生きている」?
新しい涙の連絡船「三池淵号」
“首領さま”と呼ばない人民大衆
「働けど働けど楽にならざり」
三大革命小組という名の無頼漢
伝説の湖・三日浦に魅せられる
満月の金剛山でのホームシック
ある老活動家の故郷回顧談
主峰・万物相で共和国との絶縁を決意
“傷だらけの金剛山”に怒り
トウモロコシのキビを燃やす“石炭車”
ロボット人間の画一的な講義
南に向かうソ連製“戦車の行列”
Ⅵ 期待と不安の家族訪問
案内員という名の監視役
またも先に金日成銅像参り
ついに肉親たちと涙の再会
兄だけはすでに帰らぬ人に!
深夜まで居座る“お目付け役”
“夢の宝の箱”への熱い期待
二十年ぶりの“資本主義の味”
兄の死因と人民差別医療制度
帰国当初の飢えと寒さ
風変わりな監視つきドライブ
“意地悪問答”でやぶ蛇の自己批判
“地獄の沙汰もカネ次第”を痛感
繁栄する地下経済に衝撃
「この国には品物がないんだぞ!」
強制供出と“増産闘争”
肉親にやらせる“主体式たかり”
“人質”を利用する独特の献金工作
逃亡者の心境で肉親と別れる
静粛を“学習”と取り繕う
カネ、カネ……カネがすべて
この国にこそ真の革命が必要
Ⅶ 主体(チュチェ)の国よ、永遠にさらば!
老班長、朝鮮の牛を語る
予告なしに清津に現れた姉
肉親と同席できぬ最後の食事
清津出港、見送る姉の悲しい目
主体の国よ、永遠にさらば!
解説 本書の意義と背景 佐藤勝巳