エリア・スタディーズ 210
アジア系アメリカを知るための53章
編著:李 里花
内容紹介
2020年代、アメリカでは新型コロナウイルスの拡大とともに、アジア系の人々に対するヘイトクライムが相次いだ。しかし、アジア系に対する差別や偏見は19世紀から繰り返されてきていた。エスニシティが多様化する中で、アメリカのアジア系とはどのような人々を指し、コミュニティの実態はどうなっているのか。アメリカにいるアジア系の歴史と現在をひもとく画期的書籍!
目次
はじめに
地図1 アメリカ合衆国地図
地図2 最大アジア系エスニック集団
地図3 アジア系が州人口に占める割合
図表1 アジア系州別人口分布
図表2 州別アジア系人口
Ⅰ ヒストリー/ストーリー
第1章 アジア系とは(1)――裁判と移民法にみる「アジア系」の境界(小田悠生)
第2章 アジア系とは(2)――センサスにおける分類の変遷(菅〈七戸〉美弥)
第3章 アジア系とは(3)――アメリカにおけるアジア系という共通アイデンティティ(佐原彩子)
第4章 日系(1)――19世紀末から20世紀前半を他の移民集団と比較して(一政〈野村〉史織)
第5章 日系(2)――強制収容とリドレス(竹沢泰子)
第6章 日系(3)――メキシコ人との集団間関係史(徳永悠)
第7章 日系(4)――20世紀後半の「新一世」(佃陽子)
第8章 日系(5)――グアムにおける「日系(日本)人」とはどういう存在か(池上大祐)
第9章 沖縄系――沖縄系移民のヒストリーと母の沈黙についてのストーリー(新田万里江)
第10章 コリア系――太平洋の2つの帝国のはざまで(李里花)
第11章 日系とコリア系の「写真結婚」――個人の夢から集団の使命へ(田中景)
第12章 中国系(1)――1965年以前の移民史(園田節子)
第13章 中国系(2)――1965年以降の移民史(吉田晋也)
第14章 フィリピン系――アメリカ植民地主義の歴史と人びとの今(北田依利)
第15章 ベトナム系――戦争難民からエスニック・マイノリティへ(佐原彩子)
第16章 モン系――国を持たずクランと共に生きるモン(吉川太惠子)
第17章 インド系――IT、医療、階層、宗教、ジェンダー:多様な経験と変遷(野沢恵美子)
第18章 中東系――「白人」じゃない私たち(佐藤まな)
第19章 アジア系クィア――二重のマイノリティ化に直面する人びと(兼子歩)
第20章 アジア系とミックスレース――その歴史と現在(菅〈七戸〉美弥)
第21章 アジア系とインターマリッジ――境界を越える結婚、つくる結婚(南川文里)
Ⅱ ライフ/カルチャー
第22章 アジア系と排除の歴史――黄禍論を中心に(廣部泉)
第23章 アジア系とブラック・ライヴズ・マター運動――人種的階層性への加担とマイノリティ共闘への試み(和泉真澄)
第24章 アジア系とインターセクショナリティ――多様性だけで終わらせず、権力構造を見抜くには(エダハルキ)
第25章 アジア系の連帯――黒人とアジア系の歴史的なつながり(松坂裕晃)
第26章 アジア系と社会運動――ウィスコンシン大学における学生団体を事例に(柳川大貴)
第27章 アジア系アメリカ研究――大学カリキュラムの確立とその発展(佐原彩子)
第28章 アジア系とアファーマティブ・アクション――「犠牲者」と「成功者」のはざまで(南川文里)
第29章 アジア系と経済界――「頭脳流出」と経済覇権の行方(下斗米秀之)
第30章 アジア系と政治――増加し、民族的に多様化するアジア系の政治家たち(武田興欣)
第31章 アジア系と教育――「モデルマイノリティ」の光と影(南川文里)
第32章 アジア系と音楽――エスニック伝統と多様性のなかでの創造・実践・消費(吉原真里)
第33章 アジア系とラップ――「こえるこえ」(FUNI)
第34章 アジア系とアート――戦略としてのカテゴリー(江崎聡子)
第35章 アジア系と演劇――統合的アイデンティティ探求からトランスボーダー化へ(山本秀行)/216
第36章 アジア系と文学――その多義性とトランスナショナルな転向をめぐって(牧野理英)
第37章 アジア系とコメディアン――ステレオタイプとの闘いとその逆利用(和泉真澄)
第38章 アジア系とフード――アジアの祖国の食べ物がアメリカ料理になるまで(今井祥子)
第39章 日系と博物館――過去の不正義を語り継ぐ民主主義の守り手(佃陽子)
第40章 中国系と歴史博物館――コミュニティ史の発信(園田節子)
第41章 アジア系と宗教――多宗教化の進展するアメリカ社会(高橋典史)
第42章 アジア系と墓――墓が語る移民のヒストリー(平川亨)
Ⅲ ナショナル/トランスナショナル
第43章 アメリカと故郷を往来する言葉の文化――中国系移民の「家族の夢」を支えて(田中景)
第44章 アジア系の反帝国主義――アメリカとアジアをつなぐ革命の思想(松坂裕晃)
第45章 「慰安婦」メモリアルでつながるアメリカとアジア――日本軍性暴力問題を考え、行動するアメリカ市民たち(河庚希)
第46章 アジア系セトラーコロニアリズム――その系譜と論点(新田万里江)
第47章 アジア系アメリカ人の民族的な帰還――祖先の地で揺れ動く帰属意識(津田岳雪/吉田のえる訳)
第48章 アジア系のルーツを探す旅と観光――遺伝子検査とIT/DXが紡ぎ出すルーツ・ツーリズムの世界(河上幸子)
第49章 辿れないルーツ――「国際養子縁組」のアジア系(キー・ビョングン/吉田のえる訳)
第50章 越境する教育――「新移民」の教育(山田亜紀)
第51章 ハワイ文化の越境と変容――福島県いわき市におけるフラの再構築(目黒志帆美)
第52章 越境する映像世界――南半球と北半球をつなぐアジア系ディアスポラ(クニガミ・アンドレ・ケイジ/吉田のえる訳)
第53章 トランスナショナルとアジア系――同じアジア系でも、出身国によって違うあり方(武田興欣)
おわりに
アジア系アメリカをもっと知るためのブックガイド
ISBN:9784750358345
。出版社:明石書店
。判型:4-6
。ページ数:356ページ
。価格:2000円(本体)
。発行年月日:2024年10月
。発売日:2024年10月17日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KC。