序章 現代アルジェリアの再審
課題設定
アルジェリア概史
本書の構成
第1章 アルジェリア戦争における政治外交交渉の意義――アルジェリア戦争の時代(1958-1962年)
第1節 アルジェリア戦争と政治交渉――アルジェリア臨時共和国政府GPRAの活動を中心にして
GPRAとは何か
「アルジェリア問題」の国際化と国連総会討議
FLN/GPRAと人道的諸問題――ジュネーヴ諸条約適用問題をめぐって
「エヴィアン交渉」とフランス=アルジェリア関係の再編成
「エヴィアン交渉」をめぐる政治力学
第2節 「エヴィアン交渉」とアルジェリア独立の政治力学――「国民国家」の成立
エヴィアン交渉の歴史的経緯と問題点(第一次エヴィアン会談(一九六一年五月二〇日~六月一六日)
リュグラン会談(一九六一年七月二〇~二八日)
ルースでの秘密会談(一九六二年二月一一~一九日)
第二次エヴィアン会談(一九六二年三月七~一八日))
エヴィアン合意と「トリポリ綱領」
「植民地責任」とのかかわりで
第2章 「開発主義国家」から「新自由主義国家」への転回(1962-1990年代初頭)
第1節 「開発主義国家」の成立――ベン・ベッラ政権からブーメディエン政権へ
憲法制定議会の招集
軍・テクノクラート支配の構造
「開発主義」の論理――重工業化政策と石油レント・システムの採用
農村から都市への人の移動と社会変動
一九七六年《国民憲章》制定討議と国民の「同意の調達」
第2節 シャドリ政権下の新経済政策――新自由主義政策としての「経済の自由化」
初・中期シャドリ政権の新経済政策(一九七九~八七年)――システムの危機とその社会的・経済的帰結
後期シャドリ政権下の経済改革(一九八〇年代末~一九九〇年代初頭)
第3章 イスラーム主義運動の胎動と政治体制の転換(1988-1990年代初頭)
第1節 一九八八年一〇月暴動
第2節 イスラーム主義運動FISの言説分析
第3節 シャドリ政権下の「民主化」
《一九八九年体制》とは何であったか
一九九〇年情報法と出版規制問題
憲法院(le Conseil Constitutionnel)の制度的特徴
憲法院の判例形成
第4節 一九八四年アルジェリア家族法論争
家族法制定をめぐる対抗運動
イスラーム運動・家族法・ジェンダー
*補論 二〇〇五年家族法改正によせて
第4章 政治支配体制の変容とイスラミスト活動規制政策――「民主化」から「内戦」へ(1988-1992年)
第1節 モスク規制強化政策とモスクの政治利用禁止問題――規制政策の第一局面
イスラミストによるモスク規制批判の視点
第2節 戒厳令体制の法構造とイスラミスト活動規制の新段階――規制政策の第二局面
戒厳令布告前後の状況とFIS指導層の大量逮捕
戒厳令体制の法構造と諸特徴――治安・警察権限の軍への集中体制
戒厳令体制下のイスラミスト規制の特徴
第3節 HCE=緊急事態体制とFIS解体政策の展開――規制政策の第三局面
HCE=緊急事態体制の構造
FISの非合法化とHCEの諸特徴
対話の組織化と軍の直接的政治介入
イスラミストの武装テロ集団化
反テロ行為デクレ・ロワと特別裁判所の再設置
第5章 新自由主義的グローバル化の展開と抵抗――「新自由主義国家」の展開の時代(1990-2022年)
第1節 ブーテフリカ政権における政治的・経済的「安定性」
内戦期アルジェリア経済――グローバル資本主義への段階的統合
「平和と国民和解憲章」(二〇〇五年)の意味するもの――ブーテフリカ政権は「内戦」をいかに総括したか
報告書『マグレブにおける安定性――ヨーロッパにとっての至上命題』から見たアルジェリア
第2節 二一世紀アルジェリアの支配構造と民衆運動
「内戦」と政治体制の再確立
ブーテフリカ政権の成立
ブーテフリカ政権の変容
《アラブの春》に対面するアルジェリア――その「政治的組織的予備力」(グラムシ)
ブーテフリカ政権の最終展開
軍部の政治介入
不介入の論理
民衆の平和的異議申し立て運動ヒラクと政治構造の再編――体制転換なき異議申し立て運動の行方
アルジェリア市民革命の行方――結論
*補論 民衆運動ヒラクと市民社会
第6章 国際関係の変動とアルジェリアの未来――国際関係の変容の時代(1980-2022年)
第1節 ヨーロッパの地中海政策とマグレブ/アルジェリア
「アラブ・マグレブ連合」からヨーロッパの地中海政策へ
政治・民主主義から見たヨーロッパの地中海政策とアルジェリア/マグレブ
欧州地中海パートナーシップ(UPM)とマグレブ交流の現実
EUとアルジェリア
第2節 サヘル紛争への国際関係論的アプローチ
マリ紛争の歴史的文脈
フランスのサヘル地域への軍事介入と《G5サヘル》
地域連合《G5サヘル》の結成と運営上の諸問題
アルジェリアの隣国政策と安全保障政策・理論の転換
アルジェリアを取り巻くサハラ砂漠の「砂の壁」が意味するもの
終章 「新しい独立」に向けて
まとめに
アルジェリア戦争における政治交渉の意義、あるいはGPRAの存在理由
「開発主義国家」の成立から「新自由主義国家」への転回
イスラーム主義運動FISの特質と政治支配体制の転換
新自由主義国家アルジェリアの安定性と内戦の総括
二一世紀政治支配構造と民衆の平和的異議申し立て活動ヒラク
グローバル化とリージョナリズムの可能性
おわりに
初出一覧
図表タイトル一覧
参考文献一覧
索引
Table des matières