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清末中国の法制近代化と日本人顧問

松岡義正と民事関係法の編纂をめぐって

著:熊 達雲

紙版

内容紹介

法制近代化が急務であった清末中国は、人材育成と法案起草のため日本人顧問を招聘した。これまで注目度が低かった松岡義正に焦点を当て、彼が中国初の民事訴訟法の起草に果たした役割とその後の中国の法学教育に与えた影響を膨大な史料を照合し明らかにした労作。

目次

 まえがき

第一章 修訂法律館と京師法律学堂の成立
 はじめに
 第一節 修訂法律館の創立経緯
 第二節 修訂法律館の業務内容と組織構造
 第三節 京師法律学堂の創立経緯
 第四節 京師法律学堂の在り方
 おわりに

第二章 日本人教習、法律顧問の招聘経緯――梅謙次郎、岡田朝太郎、小河滋次郎、志田鉀太郎を中心に
 はじめに
 第一節 日本人教習、法律顧問招聘の提起
 第二節 梅謙次郎招聘の失敗
 第三節 岡田朝太郎の招聘経緯
 第四節 小河滋次郎の招聘経緯
 第五節 志田鉀太郎の招聘経緯
 おわりに

第三章 松岡義正の招聘について
 はじめに
 第一節 松岡義正招聘の提起
 第二節 梅謙次郎による松岡義正の推薦
 第三節 沈家本が松岡義正の招聘を受け入れた理由
 おわりに

第四章 京師法律学堂における日本人教習の教育活動
 はじめに
 第一節 講義の内容とテキスト
 第二節 講義の様子
 第三節 学生の成績と進路
 第四節 京師法律学堂に対する評価
 おわりに

第五章 京師法律学堂における民事関係法学の教育と松岡義正
 はじめに
 第一節 『民法総則』に関する講義について
 第二節 物権法の講義について
 第三節 債権法の講義について
 第四節 民事訴訟法の講義について
 第五節 破産法の講義について
 第六節 中国における民事関係法の教育に対する松岡の貢献
 おわりに

第六章 「大清民事訴訟律草案」の編纂と松岡義正
 はじめに
 第一節 「大清民事訴訟律草案」が参考にした外国法はドイツ法かそれとも日本法か
 第二節 「大清民事訴訟律草案」の条文の八五パーセントは「日本民事訴訟法改正案」からの翻訳
 第三節 修訂法律館およびその職員たちと「大清民事訴訟律草案」との関係
 第四節 松岡義正こそ「大清民事訴訟律草案」の原案起草の担当者
 第五節 松岡義正の役割に対する評価
 おわりに

第七章 日本人顧問の中国における滞在期間、待遇と評価
 はじめに
 第一節 日本人顧問の中国における滞在期間
 第二節 日本人顧問の待遇について
 第三節 日本人顧問に対する評価
 おわりに

 あとがき
 主要参考文献
 巻末資料・京師法律学堂第一期生名簿
 索引

著者略歴

著:熊 達雲
山梨学院大学大学院社会科学研究科、同大学法学部特任教授、同大学孔子学院院長、国際共同研究センターセンター長。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程修了、博士(政治学)。主な著書に、『近代中国官民の日本視察』(成文堂、1998年)、『法制度からみる現代中国の統治機構――その支配の実態と課題』(明石書店、2014年)、『現代中国政治概論――そのダイナミズムと内包する課題』(共編、明石書店、2015年)、『アジア共同体の構築――実践と課題』(編著、日本僑報社、2021年)などがある。

ISBN:9784750356334
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:352ページ
価格:5400円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LAZ