『和解学叢書』刊行に寄せて[浅野豊美・梅森直之・劉傑・波多野澄雄・外村大・土屋礼子]
はしがき[梅森直之]
第Ⅰ部 和解と記憶
第1章 記憶の器としての〈私〉、歴史の器としての〈国家〉を超えて――和解学のための詩学とマイクロポリティクスへ[野尻英一]
はじめに
1 PHANTASY 現代日本という幻想空間
2 WITHDRAWING ひきこもりの国、日本
3 ELEMENT 記憶の生まれる場
4 MY PRECIOUS MEMORIES 私のアイデンティティの根拠としての記憶
5 COLLECTIVE MEMORIES 集合的記憶たち
6 THE DEBATE ON THE HISTORICAL SUBJECT 歴史主体論争
7 THE LIMIT OF CRITIQUE 批評の限界
8 POETICS AND MICRO-POLITICS FOR RECONCILIATION STUDIES 和解学のための詩学とマイクロポリティクス
おわりに――アジアの方へ TOWARD A CONCLUSION, TOWARD ASIA
第2章 和解学の教育手法――キャンパス・アジアENGAGEの教育実践からの考察[小山淑子]
はじめに
1 キャンパス・アジアENGAGEの教育手法アプローチ――アンドラゴジーと省察的実践
2 授業実践例
3 考察――キャンパス・アジアENGAGEの教育手法が和解学に示唆すること
おわりに
第Ⅱ部 和解と正義
第3章 和解の困難さについて――南アフリカから東南アジアへ、彷徨う移行期正義との関連で[土佐弘之]
はじめに
1 承認の政治における紛争と和解
2 正義なき和解?――南アフリカTRCモデルにおける理想と現実の間のギャップ
3 ミニマムからマキシマムな和解へ?――「物象化の政治」という深いクレバス
4 否認の政治――加害者側のアイデンティティ・ポリティクス
おわりに 矯正的正義の実現、そして許しを経て多元的共存へ
第4章 「想像の共同体」の和解をめぐる忘却と諦観――歴史の他者化と争点の伏流化[上杉勇司]
はじめに 東アジア発の和解学とは――本稿の射程
1 和解に対する紛争解決学のアプローチ
2 戦後処理――彗星の核
3 「想像の共同体」間の和解――彗星の尾
4 忘却と諦観の和解学――思うて詮なきことは思わず
5 和解の核と尾の総合
おわりに
第5章 動態的プロセスとしての和解――過去の不正への対応[齋藤純一]
はじめに
1 動態的プロセスとしての和解
2 和解と匡正的正義/分配的正義
3 和解と現在の不正の問い直し
おわりに
第Ⅲ部 和解と歴史
第6章 東アジアにおける歴史と正義――東アジアの歴史生産における似て非なるハビトゥス[澤井啓一]
はじめに
1 「正史」という歴史プラクティス
2 東アジアにおける「正史」の広がり
3 東アジアにおける「正義」の変化
4 「正義」を記述する歴史プラクティス
5 「正義」を記述するプラクティスの展開
おわりに
第7章 歴史認識と非認知的和解――戦後日韓関係に関する一解釈[小倉紀蔵]
1 歴史と尊厳
2 歴史記述の暴力性
3 非認知的和解・歴史記述・尊厳
4 歴史を生きる人間とは
第Ⅳ部 事例としての日韓関係
第8章 被害者意識の克服――未来志向の謝罪と相互的な非支配[郭峻赫]
はじめに
1 「謝罪疲れ」としての日本の被害者意識
2 相互的な非支配と歴史の和解
3 反恥のポリティクス
4 現実主義のポリティクス
5 相互的な非支配
6 相互的な非支配に基づく未来志向的な謝罪
結論
第9章 日韓関係に絡みつく感情を解きほぐすために――ある日本人外交官の問いを手がかりとして[小林聡明]
はじめに――未来を切り開いていくための実践にむけて
1 須之部提言の源流
2 駐韓大使としての最後の報告・提言(一九八〇年)
おわりに――日韓関係の未来図
第10章 「神なき」アジアにおける「神ある」和解の試み――戦後日韓キリスト教会間の「和解」運動再考[松谷基和]
1 日韓の教会関係の現在
2 戦後日本の教会と「戦争責任」
3 日本の教会における戦争責任問題
4 国際的ネットワークを通じた「和解」への促し
5 植民地支配に対する責任の自覚
6 米国のクリスチャンの介在の意味
7 日本の教会の日韓条約反対論
8 国交正常化後の日韓の教会交流
9 韓国教会との橋渡し
10 「対立」を回避した「和解」
11 結びに代えて
編者あとがき[梅森直之]