日本の読者の皆様へ[姜淳媛]
監修者序文 姜淳媛『北アイルランド統合教育学校紀行――分断を越えて』の情熱と意義[藤原孝章]
謝辞 分断を越えて[姜淳媛]
プロローグ
1 なぜ、北アイルランドか?
2 植民地の歴史から分断の深みへ
3 分離主義的暴力から平和と和解へ
4 宗派分離主義[Sectarianism]を超えるための統合教育運動
5 統合教育原則の誓約書(Statement of Principle)
第Ⅰ部 平和を願う統合教育の風
第1章 統合教育の新芽、ラガン(Lagan)統合中等学校で芽吹く
1 ラガン校に触れる
2 ラガン校の誕生と発展
3 平和と和解のための保護者主導の学校
4 超教派のキリスト教精神を奨励するラガン校
5 校長のリーダーシップ
6 教育課程の独自性
7 生徒指導
8 問題行動の扱い
9 ラガン校に通って来て
第2章 ACTの力強い努力の結晶、フォージ(Forge)統合初等学校
1 フォージ校に対するときめき
2 フォージ校の保護者たち
3 絶えず協議と共感で物事を決めてゆく校長のリーダーシップ
4 地域社会に基盤を置く教育課程
5 多文化的環境に適応する統合教育課程
6 フォージ校の余韻
第3章 ラガン校の旧敷地から新しく始まったロホ・ビュー(Lough View)統合初等学校
1 児童の権利に基づいた統合教育としての方向性を打ち立てる
2 オーケストラのハーモニーを醸し出す校長のリーダーシップ
3 自由主義の風土、統合初等学校の余韻
第Ⅱ部 劣悪な地域で芽生えた民衆的統合教育
第4章 進歩的な開かれた教育の可能性、ヘイゼルウッド(Hazelwood)統合中等学校
1 貧困と暴力のなかで統合教育を始める
2 進歩的教育をめざす包容的リーダーシップ
3 開かれた教育課程
4 なぜ、ヘイゼルウッド校なのか?
第5章 貧しい子どもたちの天国、ヘイゼルウッド(Hazelwood)統合初等学校
1 ノースベルファストで誕生した統合初等学校
2 地域と密着せよというパトリシア・マータ(Patricia Murtagh)校長
3 民衆的統合教育課程
4 孫を入学させたいヘイゼルウッド校
第Ⅲ部 最初の地方統合学校が注目を集める
第6章 小さくてかわいい希望の空間、オールチルドレンズ(All Children's)統合初等学校
1 アン・カー(Anne Carr)から聞くオールチルドレンズ統合初等学校の誕生物語
2 のっぽの校長ジョン・ビーティ(John Beatie)
3 子どもたちを幸せにする教育課程
4 小さな村の学校 オールチルドレンズ校を懐かしむ
第7章 統合教育精神を守り競争力を養うシムナ(Shimna)統合中等学校
1 統合学校の設立要求が激増する
2 ケビン・ラム(Kevin Lambe)の統合教育論
3 シムナ(Shimna)校は何が違うのか?
4 粘りのケビンと別れて
第Ⅳ部 テロの痛みを踏み越えて創った統合教育
第8章 暴力から平和へ、エニスキレン(Enniskillen)統合初等学校
1 死と嘆きのなかで誕生した生命と平和の学校
2 楽観的な未来社会を展望するアデル・カー(Adele Kerr)校長
3 ブリッジを受け継ぐ子どもたち
第9章 今日を悩み、明日を切り拓いてゆくエルン(Erne)統合中等学校
1 エルン川を学校の名に
2 校長のリーダーシップの変化――トム・ノーブル(Tom Noble)からジミー・ジャクソンウェア(Jimmy Jackson-Ware)へ
3 統合教育の哲学か、学力の伸長か?
第Ⅴ部 平凡な地域市民たちの熱望を集めた統合学校
第10章 コンテナ教室でも幸せなオーマー(Omagh)統合初等学校
1 普通の人たちが団結して創ったオーマー統合初等学校
2 設立期保護者だった校長と熱血校長
3 アントニー校長の25周年記念スピーチを考える
第11章 地域教育を主導する名門学校、ドラムラー(Drumragh)統合中等学校
1 困難な過程を乗り越えてそびえたつ地域の自慢のドラムラー校
2 英国紳士、ナイジェル・フリス(Nigel Frith)校長の統合教育課程
3 二兎を追うドラムラー校の教育課程
4 オーマー統合学校キャンパスを考えながら
第Ⅵ部 血の日曜日(Bloody Sunday)の都市での統合学校群
第12章 バーべキューパーティから始まった学校創り、オークグロウブ(Oakgrove)統合初等学校
1 「デリーこそ統合学校がなくっちゃね」
2 アン・マリー(Anne Murray)校長の信頼を基盤とするリーダーシップ
3 平和的教育課程が達成される
4 愛が統合学校を生んだ
第13章 地域の統合学校体系を完成したオークグロウブ(Oakgrove)統合中等学校
1 「統合中等学校の設立は延ばすことができない」
2 奉仕・包容・歓待のリーダーシップ
3 生徒の声が最も重要な統合中等学校
4 なぜ、オークグロウブ校なのか?
エピローグ
1 共有学校も見回りながら
2 統合か共有か、あるいは、混合か?
3 北アイルランドは私たちに何を伝えているのか?
参考文献
訳者あとがき
付録1 北アイルランド年表(1967‐2009年)
付録2 共有学校とACT
付録3 北アイルランド統合学校の現況