はしがき[三浦綾希子]
序章 マイノリティから日本社会を問う[呉永鎬]
第1節 日本のマイノリティ・スタディーズへ
第2節 国民国家のノイズとしてのマイノリティ
第3節 方法としての支援――非対称性・地域性・公共性
第4節 始まり、続き、終わるマイノリティ支援
コラム1 マイノリティとして生きる――三〇代在日朝鮮人男性研究者としての私の経験[呉永鎬]
第Ⅰ部 支援の開始局面
第1章 農村で立ちあがる母子の生存保障――福島県白沢村青年団の軌跡から[坪田光平・宮地さつき]
第1節 戦後農村におけるマイノリティの生存保障
第2節 一九六〇年代の福島県――構造変動と農村蔑視
第3節 母親運動をめぐる排除の政治力学
第4節 福島県白沢村における農村母子の生存保障
第5節 母子の生存保障はどう立ちあがったのか
第2章 外国人住民に向けた日本語支援の実現――秋田の女性たちによる政策提言活動から[坪田光平]
第1節 見えにくい外国人住民の支援ニーズ
第2節 バックラッシュはどう克服できるのか
第3節 秋田で隆盛した女性ボランティア団体
第4節 政策提言を通した公的支援の制度化
第5節 経験されるジレンマと打開に向けた戦略
第6節 社会的包摂としてのマイノリティ支援
コラム2 「誰」から「何」へ――性的マイノリティ支援制度の課題と発展可能性[神谷悠一]
第Ⅱ部 支援の継続局面
第3章 外国人学校に通う子どもたちの健康と命――京都朝鮮学校における学校保健活動の取り組み[呉永鎬]
第1節 制度保障される/されない子どもたちの生存権
第2節 朝鮮学校における学校保健活動の略史
第3節 日本人支援者との協働による保健室の開設
第4節 問い直し更新されていく「当たり前」
第5節 自助努力の限界
第6節 「公」が担うべき公共性
第4章 制度の隙間を縫うボランティアの支援――新宿区における外国人支援活動[三浦綾希子]
第1節 ボランティアに依存する外国人支援
第2節 「公」が担う支援
第3節 制度化された支援を問う
第4節 制度の間隙を縫う――独自事業の展開
第5節 ボランティア支援ゆえの困難
第6節 媒介者としてのボランティアが果たす役割
コラム3 過渡期の専門職を生きる――スクールソーシャルワーク実践の現場から[宮地さつき]
コラム4 制度の交差点に立たされるとき――発達障害児に関わる学童保育指導員の語りから[保坂克洋]
第5章 終わりの見えない支援――特別支援教育におけるマイノリティをめぐるジレンマ[二羽泰子]
第1節 「障害児」とは誰のことか
第2節 特別支援教育による平等な学びへの期待
第3節 教育で今何が起きているのか
第4節 拡大し続ける支援
第5節 クリティカル・ペダゴジーとしての解放教育が問いかけるもの
第Ⅲ部 支援の終了局面
第6章 終わりを迎えた支援制度――京都市の同和地区における隣保事業[中川理季]
第1節 マイノリティ支援制度を継続的に機能させるために
第2節 隣保事業が要請する「顔の見える関係」
第3節 二〇〇八年の京都市長選挙――廃止への転換点
第4節 第三者機関による不十分なデータにもとづく検討
第5節 同和対策事業をめぐる行政と運動体間のジレンマ
第6節 制度化だけでは不十分な現実
第7章 「基地の子ども」を守るために――岩国の教師・中原ゆき子の挑戦[山口刀也]
第1節 マイノリティとしての「基地の子ども」
第2節 重層する三つのジレンマ――「婦人浄化運動」の提起とその余波
第3節 要請者から媒介者へ――反省と模索の中の連帯
第4節 政治による抑圧/抑圧のための政治
第5節 子どもを守るために境界をまたぐ――支援者の越境性
終章 葛藤のその先へ[呉永鎬]
第1節 次なる一歩を踏み出すために
第2節 支援者によって紡がれる顔の見える関係
第3節 マイノリティ支援制度の両義性
第4節 共生社会への道程
あとがき[坪田光平]