はじめに
序章 キャッチアップか、新しい挑戦か
1 韓国福祉国家のいま
2 韓国福祉国家はいかに捉えられているか
3 本書の問い、視点、課題
第1章 「福祉国家化なき時代」の条件――20世紀の韓国
1 問題の提起
2 輸出指向型工業化による高度経済成長
(1)不可欠な条件としての「安価な労働力」
(2)「権威主義的開発国家」の所産?
3 「技術・技能節約的発展」の成功とその帰結
(1)重化学工業化のなかの「安価な労働力」の確保
(2)民主化以降における「安価な労働力」の維持
4 20世紀の韓国は「例外的ケース」か
(1)「福祉国家化なき時代」の条件
(2)21世紀の韓国へ
第2章 アジア通貨危機における福祉国家化――20世紀から21世紀へ
1 問題の提起
2 アジア通貨危機の状況
(1)大量失業・貧困問題の発生
(2)「最善の福祉は経済成長、最善のセーフティネットは家族」の時代の終焉
3 韓国の福祉国家化
(1)応急措置としての「総合失業対策」
(2)「社会保障長期発展計画」による社会保障制度の体系的整備
4 福祉国家化とそれ以降
(1)「福祉後進国」からの脱却
(2)福祉国家化以降を捉える
第3章 足踏みする社会保障制度と新しい挑戦──「準普遍主義」と「補完型給付」の可能性
1 問題の提起
2 足踏みする社会保障制度
(1)20年間つづく「福祉国家の初期段階」
(2)日本の経験、韓国の経験
3 「フォーディズムなき福祉国家」としての韓国
(1)フォーディズムと福祉国家
(2)社会保障制度の「フォーディズム的拡大」の困難
(3)新しい挑戦としての「準普遍主義」と「補完型給付」
4 新しい挑戦の普遍的意味
(1)後発福祉国家としての韓国
(2)韓国の経験、アジアの経験
第4章 韓国型完全雇用政策の展開――社会的企業への期待
1 問題の提起
2 中長期計画にもとづく雇用保障政策の登場
(1)脱工業化時代の雇用保障政策
(2)「雇用創出総合対策」の内容と特徴
3 「社会的企業」から「社会的経済企業」へ
(1)「社会的雇用」事業から「社会的企業育成法」の制定まで
(2)社会的企業の展開
(3)「社会的経済」への期待
4 韓国型完全雇用政策の特徴と展望
(1)先進国の完全雇用政策、韓国の完全雇用政策
(2)後発福祉国家にみる「21世紀型完全雇用政策」
第5章 社会的投資戦略の韓国的文脈――所得保障とサービス保障のせめぎ合い
1 問題の提起
2 福祉国家から社会的投資戦略へ
(1)社会的投資戦略が登場するまで
(2)政権交代と社会的投資戦略の持続
3 ヨーロッパの社会的投資戦略、韓国の社会的投資戦略
(1)社会的リスクのあらわれ方
(2)社会的投資戦略をめぐる論争
(3)「5大所得保障政策」の展開
4 韓国にみる社会的投資戦略の限界と課題
(1)後発福祉国家と社会的投資戦略
(2)「雇用」と「家族」を前提としない所得保障制度へ
第6章 広がるベーシックインカム導入論――「破壊的イノベーション」は起きるか
1 問題の提起
2 ベーシックインカム導入論の広がり
(1)社会保障制度の行き詰まり
(2)コロナ禍で活性化したベーシックインカム導入論
3 社会保障の機能強化vs.ベーシックインカムの導入
(1)リペア戦略か、チェンジ戦略か
(2)「コスト優位」からみて
(3)「導入ハードル」からみて
4 ベーシックインカムの可能性と展望
(1)後発福祉国家の「破壊的イノベーション」
(2)資本主義とベーシックインカム
終章 キャッチアップを超えて
1 韓国福祉国家の「脱キャッチアップ」的挑戦
2 「福祉国家的でないもの」の広がり
3 韓国から「世界」をみる
参考文献
初出一覧
あとがき
索引