『和解学叢書』刊行に寄せて[浅野豊美・梅森直之・劉傑・波多野澄雄・外村大・土屋礼子]
はしがき――歴史問題と市民の活動が作り出す和解[外村大]
第Ⅰ部 冷戦構造のなかの「戦後処理」の活動
第1章 在日朝鮮人帰国協力会と〝日朝友好親善〟活動――「在日朝鮮人帰国協力日本国民使節」の朝鮮民主主義人民共和国訪問(一九六〇年三月)を中心に[宮本正明]
はじめに
1 在日朝鮮人帰国協力会の結成と組織整備
2 在日朝鮮人の存在をめぐる当時の〝歴史認識〟
3 帰国協力会関係者による朝鮮民主主義人民共和国訪問
4 日本での情報伝達
おわりに
第2章 樺太旧住民の戦後市民運動――戦災・引揚げ・抑留・残留・帰国[中山大将]
はじめに
1 樺太引揚者
2 サハリン残留日本人
3 サハリン残留朝鮮人
4 先住民族
さいごに
第3章 台湾人元日本兵の戦後補償請求運動(一九七五~一九九二年)の検討[松田ヒロ子]
はじめに
1 問題の背景
2 台湾人元日本軍人・軍属とその遺族に対する補償の問題化
3 台湾独立運動と戦後補償問題
4 戦友会と戦後補償問題
5 裁判闘争を支えた人びと
6 弔慰金の支給へ
7 考察
おわりに
第Ⅱ部 マイノリティの問題提起とマジョリティの応答
第4章 日本の先住民族問題における和解にむけて――アイヌ遺骨地域返還運動を事例として[坂田美奈子]
はじめに
1 先住民族・移住植民地・遺骨返還問題
2 アイヌ遺骨返還問題――海馬沢博~北海道ウタリ協会
3 アイヌ遺骨の地域返還運動と政策決定プロセス
4 歴史問題の和解という観点から
おわりに
第5章 在日コリアンをめぐる歴史問題と和解――「民族差別と闘う連絡協議会」の運動と「在日旧植民地出身者に関する戦後補償及び人権保障法草案」の検討[加藤恵美]
はじめに
1 補償・人権法草案の提起までの民闘連運動
2 補償・人権法草案提起後の民闘連運動
3 民闘連運動の分裂
おわりに
第Ⅲ部 東アジアの民主化後の新たな展開と未解決の課題
第6章 「現実的理想主義者」と二・二八事件をめぐる和解の試み――林宗義・蘇南洲の役割に着目して[菅野敦志]
はじめに
1 林宗義と蘇南洲――「二二八受難者家族団契」から「二二八関懐聯合会」へ
2 〈二二八平安運動〉の提唱――蘇南洲の思想と行動
3 「ソフト・エンカウンタリング」――対話で組み入る蘇南洲の戦術
4 〈設身處地、感同身受〉――相手の立場に寄り添い、相手の気持ちをこの身で受け止める
5 「現実的な理想主義者」になる――林宗義から蘇南洲が学んだ和解への道
おわりに
第7章 済州四・三と市民運動――ローカルな和解実践[伊地知紀子]
はじめに
1 ローカルな和解実践としての市民運動
2 済州四・三と朝鮮半島
3 済州四・三と日本
4 韓国における済州四・三運動
5 日本における済州四・三運動
6 大阪の済州四・三運動
おわりに――済州四・三における和解
第Ⅳ部 国境を越えた問題解決の試みと国家の論理の障壁
第8章 フィリピン「慰安婦」運動の軌跡――その初期に注目して[岡田泰平]
はじめに
1 初期フィリピン「慰安婦」運動とフィリピン政府
2 フィリピン「慰安婦」運動の国際展開と運動の重層性
3 ケアとフィリピン人元「慰安婦」
4 マリア・ロサ・ヘンソン――語る権利、貧困、「慰安婦」経験の歴史化
おわりに――フィリピン・韓国のそれぞれの「慰安婦」運動
第9章 中国残留日本人孤児にみる歴史問題の和解と市民運動[浅野慎一]
はじめに――歴史問題としての中国残留日本人孤児
1 第一期(一九七二~一九八〇年)――残留孤児の捜索、肉親の再会
2 第二期(一九八一~二〇〇〇年)――官民一体の支援とその陥穽
3 第三期(二〇〇一年以降)――国家賠償訴訟とその後
おわりに――総括と考察