現代モンゴルの牧畜経済
なぜ遊牧は持続しているのか
著:辛嶋 博善
紙版
内容紹介
本書はモンゴル国の牧畜社会を対象に、文化人類学的視点からその動態を調査、分析した。牧畜が遅れた生業と認識され、定住化は牧畜の衰退と受け取られていることに疑問を挙げ、堅実なフィールドワークと調査データに基づき牧畜の持続の答えの一つを提示した。
目次
はじめに
第1章 モンゴルにおける都市化と遊牧
1 問題の所在
2 本書の目的
3 調査の方法:ある牧畜世帯との出会い
4 調査地概要
第Ⅰ部 遊牧の一年――キャンプの移動・家畜飼育・担い手
第2章 冬営地
1 冬営地への移動と集団の分裂
2 ヒツジ・ヤギ群の分割
3 冬営地における放牧
4 家畜の屠畜と肉の貯蔵
第3章 春営地
1 春営地への移動
2 出産に伴うヒツジ・ヤギ群の分割とその管理
3 カシミヤの採毛
第4章 夏営地
1 夏営地への移動
2 2つ目の夏営地への移動
3 3つ目の夏営地への移動
4 馬乳酒づくりのための搾乳
5 ヒツジの毛刈り
6 干草の準備
第5章 秋営地
1 秋営地への移動
2 ウシの搾乳と口枷
3 ヒツジ、ヤギの去勢と種付け
第Ⅱ部 変わりつつある遊牧
第6章 生産物の流通とその変化
1 生産物の売買と市場
2 肉を売りに行く道のりとその経験
3 新たな取引場所としての草原
4 道路の整備と流通のさらなる変化
第7章 担い手の集団の変化――都市への移住、牧夫の独立、広域的な協業
1 都市への移住と家畜の管理
2 成人する少年牧夫
3 集団内における軋轢
4 居住単位の極小化
5 少年牧夫たちの結婚と広域的協業集団の出現
第8章 牧畜が維持されるメカニズム
おわりに
参考文献
索引