はじめに
第Ⅰ部 ベルギー前史
1 ローマ帝国の支配下で――カエサルの征服と「属州ベルギカ」
2 フランク王国――言語境界線の起源
3 中世――分裂の時
4 ブルゴーニュ時代――分裂から統一へ
5 神聖ローマ帝国とハプスブルクの時代――ドイツ支配の時代へ
[コラム1]宗教改革
6 オランダとの決別――八十年戦争
7 啓蒙君主時代――スペイン=ハプスブルクの支配からオーストリア=ハプスブルクの支配へ
8 フランス革命とその余波――ブラバント革命の勃発と失敗
9 ウィーン会議とオランダによる併合――ナポレオン時代の遺産
10 ベルギー独立――フランス語エリートの勝利
第Ⅱ部 近代国家の建設
11 独立時の国際関係――険悪だった初期のオランダとベルギー
12 近代国家の建設――小国の形の模索
13 奇妙な新国家――共和制を目指した立憲君主制国家
[コラム2]明治初期の監獄とベルギー
14 相対的な安定期――統一同盟(ユニオニスム)の変化
15 学校戦争――自由主義政党とカトリック政党のせめぎあい
16 産業の発展と社会構造の変化――労働者階級の組織化
17 初期のフランデレン運動――フランス語の圧倒的優位のなかで
18 個人所有の植民地――レオポルド二世の植民地統治
[コラム3]渋沢栄一とベルギー
19 ジェルラシ南極探検隊――初の国際的南極探検隊
20 産業化と都市開発――経済大国になった小国
21 緊張高まるヨーロッパのなかで――世界大戦前のベルギー外交
22 普通選挙制の導入――カトリックを守るための普通選挙導入?
23 第一次世界大戦――分割統治の結果
24 戦間期のベルギー――分裂と試練の時
25 ドイツ語圏の誕生――将来のベルギーの課題?
26 ベルギー=ルクセンブルク経済同盟――占領下拡大主義の挫折
27 地域言語政策――進む改革、残る遺恨
28 第二次世界大戦――戦後諸問題の発端
第Ⅲ部 戦後のベルギー
29 戦後復興期の対立――ベルギーのデモクラシーが再出発するまで
30 国王問題――レオポルド三世からボードゥアン一世へ
31 連立時代の到来――三大政党による政治の確立と新規参入
32 戦後のベルギー外交――西側への復帰とNATO・欧州統合
33 学校戦争、再び――政治対立の制度化
[コラム4]多極共存型民主主義――妥協の政治
34 植民地の独立――コンゴ動乱と国際的非難
35 フランス語エリートの凋落――反一括法ストライキとその影響
36 ルーヴェン・カトリック大学紛争――中央集権的統治制度の限界
37 分権化改革(1) 一九七〇年憲法改正――グランドデザインなき国家改革
38 分権化改革(2) 一九八〇年憲法改正――何のための国家改革か
39 分権化改革(3) 一九八八年憲法改正――実質的な連邦制へ
40 分権化改革(4) 一九九三年憲法改正――連邦国家の誕生
[コラム5]ベルギーにおける言語と社会――言語問題の社会的起源
41 「ベルギー人道法」が提起したもの――普遍的管轄権と裁判権免除
42 デュトルー事件の余波――国家改革のひずみ?
43 歴史的政権交代――フェルホフスタットの登場
44 「模範的国家」へ――フェルホフスタットの改革と帰結
45 ポピュリズムの時代――ベルギーのデモクラシーはどこへゆくのか
[コラム6]テラス席の姿
第Ⅳ部 テロとベルギー
46 分裂危機――「分割」改革の苦悩
47 二〇一六年三月二二日――テロとその後
48 ベルギーの治安政策――自治の伝統の帰結?
49 イスラーム過激派の進出――なぜブリュッセルが「テロの巣窟」となったのか
50 分極化していくベルギー――それでもベルギーはベルギーであり続ける
[コラム7]パンデミックとベルギー
あとがき
ベルギーの歴史をもっと知るためのブックガイド
参考文献
主要年表