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帝国のヴェール

人種・ジェンダー・ポストコロニアリズムから解く世界

編著:荒木 和華子
編著:福本 圭介

紙版

内容紹介

「帝国」は人種、ジェンダーにおける見えない障壁、ヴェールを土台にして自らを構成している。例えば黒人に貼りつく孤立や苦しみが、白人の側からは不可視のままになっているように。ヴェールに隠された人間の叫びに応答するための、ラディカルな幕開けの書。

目次

 まえがき[編者]

序文 人種資本主義(レイシャル・キャピタリズム)序説――BLM運動が投げかけた世界史的問い[貴堂嘉之]

Ⅰ 帝国としてのアメリカにおける人種とジェンダーの交錯

第1章 帝国建設において人種とジェンダーはどのように関係しているのか――アメリカ帝国主義についての省察[ルイーズ・M・ニューマン(荒木和華子訳)]

Column 1 「真の女性らしさ」イデオロギーとアボリショニストによる解放民援助活動[荒木和華子]

第2章 一九世紀アメリカにおけるフリー・ラヴ思想――ロマンティック・ラヴの理想と結婚制度[箕輪理美]

第3章 黒人女性が経験した人種差別の交差性――ファニー・ルウ・ヘイマーのスピーチを通して[西﨑緑]

第4章 ポストコロニアルからポストヒューマンへ――人種、ジェンダー、種の交差[丸山雄生]

Column 2 イヌとヒトの不穏な関係から考える人種と植民地主義[丸山雄生]

Ⅱ ポストコロニアリズムの時代におけるジェンダー・セクシュアリティをめぐる運動と批評

第5章 クィア理論入門――鍵概念の定義[ニシャン・シャハニ(土屋匠平・荒木和華子訳)]

Column 3 ままならない身体、ままならない情動――ジュディス・バトラーの「パフォーマティヴィティ」と「プレカリティ」[五十嵐舞]

第6章 都市での安全――インドにおけるゲイ向け観光と世界化のポリティクス[ニシャン・シャハニ(箕輪理美訳)]

第7章 FGM廃絶をめぐる歴史プロセスと新たなアプローチの可能性――『母たちの村』とナイース・レンゲテによる「男制」への着目[荒木和華子・土屋匠平]

Ⅲ 東アジアにおける帝国とポストコロニアリズム

第8章 東アジアにおける「帝国」の構造とサバルタン・ステイト――韓国と台湾を中心に[陳柏宇]

Column 4 ポストコロニアル研究の可能性――歴史学からの解説[渡辺賢一郎]

第9章 朝鮮人新聞の歴史からたどる日本と朝鮮の「結びつき」――一九世紀後半から二〇世紀中葉に至るコロニアルな関係、その内実と展開[小林聡明]

第10章 法と人権――「治安維持法」から「国家保安法」へ[権寧俊]

第11章 「裏日本」脱却のヴィジョン――自立共生を目指す新潟の動きをもとに[小谷一明]

Column 5 脱「裏日本」の夢を「環日本海」に見た[櫛谷圭司]

第12章 基地引き取り運動とは何か?――無意識の植民地主義からの脱却を目指す草の根の応答[福本圭介]
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Column 6 私たちが「困難な歴史」とともに生きていくために[川尻剛士]

 あとがき[編者]

 事項索引
 人名索引

著者略歴

編著:荒木 和華子
新潟県立大学国際地域学部准教授。主要著作に、Theorizing Gender and Race in Historical Contexts: Invisibilities, Transboundary Imagination, and Post-Colonial Futures beyond ‘the Veil’(編著、国際地域研究学会、2020 年)、「19世紀末における「黒人問題」のパナシーア――米国と南アフリカの白人主義に抗う「非政治的な」戦略と準拠軸としてのワシントン型黒人・アフリカ人教育」(『19世紀学研究』第12号、2020年)、「解放民教育「実験」と他者形成――北軍占領地南部でのアボリショニストによる奴隷解放」(『歴史評論』特集企画「「他者教育」に見るアメリカ」2009年3月号)など。
編著:福本 圭介
新潟県立大学国際地域学部准教授。主要著作に、「吐き気を生きること――大岡昇平の『野火』における戦争神経症」(『平和研究』第51号、2019年)、「非暴力直接行動を再導入する――ガンディーと私たちの未完の脱植民地化」(『国際地域研究論集』第5号、2014年)、「非暴力の力とは何か――ガンディーのサッティヤーグラハから考える」(細井保編著『20世紀の思想経験』法政大学出版局、2013年)など。

ISBN:9784750352954
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:388ページ
価格:3000円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF