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疫病の世界史(下)

消耗病・植民地・グローバリゼーション

著:フランク・M・スノーデン
訳:桃井 緑美子
訳:塩原 通緒

紙版

内容紹介

疫病との闘いに終わりはない。それは社会の分断線に入り込み、政治的な優先順位を露わにし、偏見や差別を助長し続ける。下巻では結核やエイズなど現代の疫病における文化・社会との接点を探り、コロナ禍のロンバルディアから未来に向けた英知をつかみ出す。

目次

第14章 「消耗病」――ロマン主義時代の結核
 病因
 症状と段階
 消耗病についての医学理論
 消耗病と階級とジェンダー
 消耗病と人種
 ロマン主義
 消耗病による社会への影響
 長患い

第15章 「伝染病」――非ロマン主義の時代の結核
 接触伝染説
 結核との闘い
 療養所(サナトリウム)
 診療所(ディスペンサリー)
 予防所(プリベントリウム)
 健康教育――衛生意識
 「闘い」の評価
 戦後の時代と抗生物質
 結核の新たな緊急事態

第16章 ペスト第三のパンデミック――香港とボンベイ
 細菌説と瘴気(ミアズマ)とペスト
 ボンベイの壊滅
 イギリスの植民地ペスト対策
 市民の抵抗と暴動
 ペスト対策の方向転換
 世界が学んだこと

第17章 マラリアとサルデーニャ――歴史の利用と誤用
 マラリア原虫と、その生活環
 症状
 伝播
 サルデーニャ島の世界的な重要性
 マラリアと、その同義語とされたサルデーニャ
 最初のマラリア撲滅運動――DDT以前
 第二次世界大戦後の危機
 第二次マラリア撲滅運動――ERLAASとDDT
 その他の根絶要因
 まとめ

第18章 ポリオと根絶問題
 ポリオという病気
 現代ポリオ
 新たな科学的理解――希望から失望へ
 カッター事件
 世界的な根絶に向けての取り組み
 二〇〇三年から二〇〇九年までの挫折

第19章 HIV/エイズ――序論と南アフリカの事例
 エイズの起源
 HIVと人体
 感染経路
 治療と予防
 南アフリカでのパンデミック

第20章 HIV/エイズ――アメリカの経験
 アメリカでの起源
 最初に認められた症例
 生物医学技術
 初期の検査と命名
 スティグマ
 伝播
 「怒れる神の復讐」とエイズ教育
 複合流行
 まとめ

第21章 新興感染症と再興感染症
 不遜の時代
 警鐘
 もっと危険な時代
 デング熱とコレラの教訓
 院内感染と薬剤耐性

第22章 二一世紀のためのリハーサル――SARSとエボラ
 再武装
 重症急性呼吸器症候群――SARS
 エボラとの闘い
 まとめ

終章 COVID-19の震源地――ロンバルディアの二〇二〇年一月から五月まで
 グローバリゼーション
 人口統計
 大気汚染
 パンデミックのはじまり
 初期の公衆衛生対策
 危機
 全国的なロックダウン

 訳者あとがき

 註
 参考文献
 事項索引
 人名索引

著者略歴

著:フランク・M・スノーデン
イェール大学歴史・医学史名誉教授。1975年にオックスフォード大学で博士号を取得。専門はイタリア史、ヨーロッパ社会・政治史、医学史。著書にThe Fascist Revolution in Tuscany, 1919-1922 (1989)、Naples in the Time of Cholera, 1884-1911 (1995) など。とくに2006年の著作The Conquest of Malaria: Italy, 1900-1962 は高い評価を得て、イェール大学マクミラン国際地域研究センターからグスタフ・ラニス賞を、アメリカ歴史学会からヘレン&ハワード・R・マッラーロ賞を、アメリカ医学史学会からウェルチ・メダルを贈られた。
訳:桃井 緑美子
翻訳家。外資系企業勤務を経て、翻訳業に従事。訳書にヴァンダービルト『ハマりたがる脳』(早川書房)、フェリス『スターゲイザー』(みすず書房)、フェイガン『歴史を変えた気候大変動』(共訳、河出書房新社)、フランクリン『子犬に脳を盗まれた!』(青土社)、トウェンギ、キャンベル『自己愛過剰社会』(河出書房新社)ほか多数。
訳:塩原 通緒
翻訳家。立教大学文学部英米文学科卒業。訳書にピンカー『暴力の人類史』(共訳、青土社)、リーバーマン『人体600万年史』(早川書房)、シャイデル『暴力と不平等の人類史』(共訳、東洋経済新報社)、クリスタキス『ブループリント』(共訳、ニューズピックス)ほか多数。

ISBN:9784750352688
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:456ページ
価格:3000円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MJ