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「非伝統的安全保障」によるアジアの平和構築

共通の危機・脅威に向けた国際協力は可能か

編著:山田 満
著:本多 美樹

紙版

内容紹介

国家主権の強いアジア地域で近年ますます重要性が高まる「非伝統的安全保障」。紛争、難民、開発、災害、教育、食糧、人身売買、体制移行などの多岐にわたるテーマを取り上げ、学際的アプローチを用いた地域研究を土台に、アジアの平和構築のあり方を考察する。

目次

 はじめに

第1章 アジアにおける「非伝統的安全保障」協力に基づく平和構築――イシューとアクターからみる安全保障の位相[山田満]
 はじめに
 1.「非伝統的安全保障」の適用範囲とは何か
 2.イシューからみた「非伝統的安全保障」協力
 3.アクターからみた「非伝統的安全保障」協力の取り組み
 4.NTSをめぐる各国のガバナンスとグローバル・ガバナンスとの相克
 おわりに

第2章 グローバル・ガバナンスにおける法規範遵守のためのメカニズム――国連と市民社会の連携に注目して[本多美樹]
 はじめに
 1.非伝統的安全保障領域におけるガバナンスの形成
 2.法価値規範の「唱道者(アドボケーター)」としての国連の役割
 3.東南アジアの地域主義と人権規範の遵守
 おわりに

第3章 災害リスクの軽減(DRR)におけるマルチステイクホルダー・ガバナンスの可能性――新型コロナウイルス感染症(COVID-19)影響下での人道支援(スリランカ、バングラデシュ)[桑名恵]
 はじめに
 1.DRRにおけるマルチステイクホルダー・ガナバンスの可能性と課題
 2.COVID-19影響下のマルチステイクホルダー・ガバナンスによる取り組み
 おわりに

第4章 誰かを取り残している持続可能な開発目標――インドネシアからの問いかけ[堀江正伸]
 はじめに――非伝統安全保障とSDGsの関係
 1.SDGsの生い立ちと日本の動向
 2.インドネシアにおけるSDGsの進捗
 3.SDGsとインドネシアの「田舎」
 おわりに

第5章 難民問題をめぐるASEANの地域ガバナンス――ロヒンギャ難民危機への新たな関与を事例に[宮下大夢]
 はじめに
 1.本研究の枠組み
 2.ロヒンギャ難民危機
 3.ロヒンギャ難民危機におけるASEANの関与
 おわりに

第6章 紛争後社会の移行期正義――「民主主義大国」インドネシアの取り組みと限界[阿部和美]
 はじめに
 1.「正義」か「平和」か
 2.インドネシアの移行期正義
 3.「民主主義大国」インドネシアの限界
 おわりに

第7章 反人身売買対策に探るアジア的視点――ジェンダーとの関係性に注目して[島﨑裕子]
 はじめに
 1.人身売買とは
 2.反人身売買に対する取り組み
 3.ジェンダーから捉える対策
 おわりに

第8章 インクルーシブ教育の現状と課題――ミャンマーの視覚障害のある子どもの教育を事例に[利根川佳子]
 はじめに
 1.障害のある子どもに対するインクルーシブ教育
 2.ミャンマーにおける障害のある子どもに対する教育
 3.ヤンゴン市における視覚障害のある子どもの中等教育
おわりに――まとめと考察

第9章 食糧安全保障の相克――食糧の安定供給と人間の安全保障のジレンマ[佐藤滋之]
 はじめに
 1.非伝統的安全保障としての食糧
 2.アジア諸国での経済的格差と食糧安全保障
 3.食糧安全保障と農地争奪
 4.食糧安全保障と人間の安全保障のトレード・オフの克服
 おわりに

第10章 中国の非伝統的安全保障――認識の変容と政策への影響[劉弘毅]
 はじめに
 1.本研究の研究枠組み
 2.中国の非伝統的安全保障政策と認識の変容
 3.2000年代前半の中国の非伝統的安全保障
 4.習近平政権下(2012年~2020年)の非伝統的安全保障の変容
 おわりに

 あとがき

著者略歴

編著:山田 満
早稲田大学社会科学総合学術院教授。米国オハイオ大学大学院修了(MA)。東京都立大学大学院社会科学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。2000年に神戸大学にて博士号(政治学)取得。東ティモール国立大学客員研究員、埼玉大学教養学部教授、東洋英和女学院大学大学院教授などを経て、2009年4月より現職。同大学地域・地域間研究機構アジア・ヒューマン・コミュニティー(AHC)研究所長。日本東ティモール協会副会長など多くの国際ボランティア活動に従事。2020年5月より、ベトナム国家大学ハノイ校日越大学学部日本学プログラム共同ディレクターを兼務。専門は、国際関係論、国際協力論、平和構築論、東南アジア政治論。
〔主な著書・論文〕
『「一帯一路」時代のASEAN――中国傾斜のなかで分裂・分断に向かうのか』(共編著、明石書店、2020年)
『新しい国際協力論[改訂版]』(編著、明石書店、2018年)
『難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて』(共編著、明石書店、2017年)
『東南アジアの紛争予防と「人間の安全保障」――武力紛争、…
著:本多 美樹
法政大学法学部教授。成蹊大学卒業後、英字紙The Japan Times記者を経て、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了。博士(学術)。早稲田大学社会科学総合学術院准教授を経て、2017年4月より現職。専門は、国際関係論、国際機構論、国連研究。
〔主な著書・論文〕
「ベトナム和平と国連――国連事務総長ウ・タントの役割を中心に」(山田満/苅込俊二編著『アジアダイナミズムとベトナムの経済発展』文眞堂、2020年、268-282頁)
「国連による『スマート・サンクション』と金融制裁――効果の追求と副次的影響の回避を模索して」(吉村祥子編著『国連の金融制裁――法と実務』東信堂、2018年、70-86頁)
「安全保障概念の多義化と国連安保理決議」(『アジア太平洋討究』第31号、2018年、121-138頁)
『国連による経済制裁と人道的諸問題――「スマート・サンクション」の模索』(国際書院、2013年)
‘“ Smart sanctions’ by the UN and financial sanctions…

ISBN:9784750352466
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:260ページ
価格:3600円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS