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山本作兵衛と世界遺産のまち 筑豊・田川万華鏡

日本初の世界記憶遺産登録を掘り下げる

著:森山 沾一

紙版

内容紹介

2011年、日本初の世界記憶遺産(世界の記憶)に認定された、福岡県田川市の炭坑絵師・山本作兵衛コレクション。本書は、申請運動を中心的に担った著者が、その経緯およびその後の地域活性化の活動について検証し、まとめたものである。

目次

 刊行によせて[田中直樹/イアン・ニアリー、穴井宰子]
 はじめに

第1部 世界記憶遺産(世界の記憶)と山本作兵衛コレクション

第1章 世界記憶遺産とは
 第1節 ユネスコ世界記憶遺産の歴史
 (1)世界記憶遺産の定義
 (2)世界記憶遺産の歴史
 第2節 現在のユネスコ世界記憶遺産とは
 (1)「世界の記憶」への登録申請
 (2)「世界記憶遺産」登録推薦書類のユネスコ評価
 第3節 日本の世界記憶遺産

第2章 作兵衛コレクションの登録経過
 第1節 山本作兵衛夫妻・解体される終の棲家と地方再生事業申請
 (1)本当の知識人だった山本作兵衛
 (2)内閣府経済産業省採択「世界遺産をめざす旧産炭地・田川再生事業」――山紫水明・修験道・世界遺産の地、田川はさらに良くなれるはず
 (3)保養滞在型エコツーリズムの実践
 第2節 田川市・福岡県立大学の遺産登録活動の検証
 (1)田川市による登録に至る経緯報告(概略)
 (2)福岡県立大学による「日記・資料等の世界記憶遺産正式登録までの経過」報告(概略)
 (3)山本作兵衛世界記憶遺産化活動の開始日(2009〔平成21〕年10月22日東京プリンスホテルでのシンポジウム)記録
 第3節 明治日本の産業革命世界遺産登録活動と世界記憶遺産
 (1)世界文化遺産登録・田川の市民活動
 (2)ユネスコ登録発表時の田川での動き
 (3)福岡県立大学保管『日記・手帳』と世界記憶遺産登録への貢献

第3章 作兵衛コレクション登録の反響とその後
 第1節 世界記憶遺産登録前後――なぜ、世界記憶遺産なのか
 (1)地の底を労働し、本当の知識人だった山本作兵衛
 (2)福岡県立大学での取り組みとこれからの展望
 第2節 石炭関係者では知られていた作兵衛記録画と日記
 (1)日本初世界記憶遺産達成の経過と価値
 (2)山本作兵衛さんの日記を〈読む〉――闇を光とした日本初世界記憶遺産
 第3節 日本初登録の反響・筑豊が湧き上がる
 (1)日本初ユネスコ世界記憶遺産(Memory of the World)登録への軌跡:田川から世界への発信実現の道筋
 (2)登録2年目の県立大学と〈読む〉会、そして市民のユネスコ訪問

第2部 山本作兵衛を尊敬・発掘・発信した先達たち

第1章 永末十四雄・雅子の貢献
 第1節 永末十四雄――先達の眼力
 (1)永末十四雄は山本作兵衛にどう寄り添ったか――作兵衛記録画の選択と保存を中心に
 (2)永末十四雄著作目録(編著 単行本のみ)
 第2節 秀村選三・田中直樹の協働
 (1)永末十四雄・輝ける闇・光を掘り続けた先達――永末文庫(田川市立図書館内)の豊饒性
 (2)永末十四雄への推薦書(秀村選三執筆)

第2章 上野英信・晴子の貢献
 第1節 上野英信――先達の眼力
 (1)日本初世界記憶遺産登録は何をもたらすのか――ああインターナショナル我らがもの
 (2)追悼・上野英信――私(たち)の青春回路・1970年前後
 (3)上野英信の著作目録(単著 初版のみ)
 第2節 上野英信と通底する光と闇、そして闇が光
 (1)部落史と作兵衛記録画(原口頴雄執筆)
 (2)西村健『ヤマの疾かぜ風』(徳間書店、2013年)を推薦する――解説・筑豊の光と闇、そして闇の光・かがやき

第3部 田川・筑豊活性化への取り組み

第1章 福岡県立大学からの田川活性化活動
 第1節 県立大学と共に歩む会と筑豊市民大学の設立
 (1)県立大学と共に歩む会への期待
 (2)筑豊市民大学への招待――闇こそ光/絶望は希望
 第2節 癒学の郷・花と緑のまち田川・41提言――熱と光の長期活性化プラン
 (1)田川はさらにもっと良くなれるはず
 (2)田川郡福智町まちづくり・活性化への提言――福智町行財政改革推進委員会の座長としてまとめた提言書
 第3節 産・官・民・学協働による地方再生事業の採択・活動
 (1)地方の元気再生事業申請書――2008(平成20)年5月15日(最終決定)
 (2)2年目プロジェクトの成果と今後の発展――田川はさらに良くなれるはず

第2章 田川広域観光協会の設立と田川まるごと博物館・DMO申請
 第1節 田川地域活性化協議会
 第2節 田川広域観光協会と豊富な資源の発掘――総会活動報告書、まるごと博物館の活動
 (1)平成26年度補正予算「地域イノベーション協創プログラム事業(地域資源活用ネットワーク形成支援事業)」申請提案書
 第3節 福岡・北九州・アジアの奥座敷――DMO申請など
 (1)『地域資源を活用した観光地魅力創造事業』申請書

第3章 DMO事業採択による田川活性化(5年間)と第10回アジア都市景観賞受賞
 第1節 DMO事業採択による田川活性化の実績――国土交通省九州初の候補法人認定
 第2節 第10回アジア都市景観賞はなぜ受賞できたか――申請書と受賞理由
 (1)申請書のプレゼンテーション資料
 (2)第10回2019年アジア都市景観賞(Asian Townscape Awards)を受賞しての挨拶――自然・歴史・文化を活かす田川エコツーリズム・旧産炭地活性化プロジェクト受賞の挨拶
 第3節 田川活性化への希望――今でも良い田川をさらに良く
 (1)一般社団法人田川広域観光協会による地域活性化事業の自己評価(2016〔平成28〕年5月)
 (2)(社)田川広域観光協会・DMOによる田川活性化事業等による成果と課題

おわりに――山本作兵衛や田川・筑豊活性化は近代の行き詰まりを超える核芯

著者略歴

著:森山 沾一
1946(昭和21)年7月15日、中国瀋陽市生まれ。生後百日目で父母とコロ島より博多港へ引揚。大分県日田市で18歳まで育つ。日田高校から九州大学・大学院。50歳で博士学位(教育学・九州大学)取得。
熊本商科大学(現熊本学園大学)教養部講師、佐賀大学教育学部助教授、福岡県立大学人間社会学部・大学院教授を経て2016(平成28)年3月退職。
学生時代はセツルメント活動や全共闘運動に関与し、38歳から研究者の道を自覚的に歩み始める。福岡県立大学では学生部長・学部長・副学長など歴任。(公社)福岡県人権研究所理事長(20年間)も務めた。
現在、田川市石炭・歴史博物館館長、(社)田川広域観光協会副理事長、たがわまるごと博物館館長、福岡県立大学名誉教授、福岡県日中友好協会会長・全国理事などで活動。
主な著書
『社会「同和」教育の地域的形成に関する研究』(明石書店、1995年)、『ボランティア・ネットワーキング』(共編著、東洋館出版社、1997年)、『社会教育における人権教育の研究――部落解放実践が人間解放に向け切り拓いた地平』(福村出版、…

ISBN:9784750352145
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:196ページ
価格:2000円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年06月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:THFS