日本語を学ぶ子どもたちを育む「鈴鹿モデル」
多文化共生をめざす鈴鹿市+早稲田大学協働プロジェクト
編著:川上 郁雄
内容紹介
戦後から一貫して同和教育、人権教育を推進し、そして90年代から増加する外国籍住民への多文化共生教育を計画していた鈴鹿市と「JSLバンドスケール」を開発した早稲田大学との日本語教育の協働プロジェクト12年の軌跡。「人権教育」「日本語教育」「多文化共生教育」を基本に、子どもたちの「日本語力」と「学力」を育む実践をどのように展開したのかを明らかにする。
目次
発刊に寄せて[中道公子]
はじめに
第1部 「鈴鹿モデル」とは、何か
1 鈴鹿市は、どのような教育を目指しているのか
1-1 鈴鹿市の概況
1-2 鈴鹿の教育の底流――人権教育の歩み
1-3 「鈴鹿市人権教育基本方針」
1-4 鈴鹿市における外国籍人口の動向
1-5 外国人集住都市としての発展
1-6 教育委員会の方針(1999~2008年)――多文化共生教育
1-7 まとめ
2 「鈴鹿モデル」の構築(2008~2013年)
2-1 早稲田大学との協定
2-2 教育長のリーダーシップ
2-3 「鈴鹿モデル」の発展
2-4 「日本語教育コーディネーター」の役割
2-5 実践と連携
2-6 「協定」第2期(2011~2013年度)
2-7 「鈴鹿市教育振興基本計画」
2-8 まとめ
3 「鈴鹿モデル」の発展(2014~2019年)
3-1 「協定」第3期(2014~2016年度)
3-2 「協定」第3期の実践
3-3 「協定」第4期(2017~2019年度)
3-4 財政から見た「鈴鹿モデル」――予算はいくら必要なのか
3-5 「特別の教育課程」への対応
3-6 高校進学の状況
3-7 まとめ
第2部 「鈴鹿モデル」は、どのように構築されたのか――「JSLバンドスケール」「日本語教育コーディネーター」「プロジェクト会議」に関する10人の証言
1 学力をつけることは、人権教育で一番大事なこと――教育委員会の立場から①[西繁]
2 日本語教育を、人権教育の一環として位置づけることが大切――教育委員会の立場から②[篠原政也]
3 「共に生き、共に学ぶ」こと――同和教育を出発点にした教員の立場から[臼杵伸子・江藤健一・平田真一]
4 楽しい実践、子どもが元気になっていく実践は、先生たちも嬉しい――日本語教育コーディネーターの立場から①[中川智子]
5 連携、それはみんなの意識が変わることから生まれる――日本語教育コーディネーターの立場から②植村恭子・杉谷直美
6 連携して、子どもたちの進路保障を――日本語教育コーディネーターの立場から③[市川泰]
7 JSLバンドスケールを活用した実践と支援体制は欠かせない――日本語教育コーディネーターの立場から④[吉川恵]
第3部 鈴鹿の実践
実践① 進んで学習に取り組む児童の育成――国際教室の取り組み[大西依子]
実践② 「自分」への気づきの中で成長する子ども――イスラムの文化・習慣の中で生きる6年児童への支援[園田みゆき]
実践③ 思考力・表現力を育てる――在籍学級への学びをつなげるために[吉川恵]
実践④ 未来に向かって――仲間とともに考える[中川智子]
実践⑤ 多文化共生教育の取り組み[大山久美]
実践⑥ 学校全体で取り組む多文化共生教育[植村恭子]
実践⑦ ネットワーク会議、夏季研修講座、そして多文化共生教育実践EXPO
実践⑧ 「日本語教育ガイドライン」
第4部 ことばの力と学力
1 「JSLバンドスケール」の考え方と実践
2 「JSLバンドスケール」の見立てと「学力調査」の結果
3 JSL児童生徒と「学力調査」
4 これから鈴鹿でどのような実践を行い、どのような力を育成するのか
参考文献・関連資料
あとがき