はしがき
頭字語・略語一覧
フランスの学校系統図
第1部 高等教育の現状と課題
第1章 民主化されないフランス高等教育の大衆化にみる課題――21世紀の高等教育改革はどこに向かうのか[園山大祐]
はじめに
第1節 フランスの高等教育制度
第2節 フランスの高等教育の特徴――20世紀末の第二次拡大路線を支えるもの
第3節 大衆化が生み出す大学教育の課題
おわりに
第2章 「出来の良い」生徒とは?――どのように大学で学士号を手にするのか[セドリック・ユグレ(田川千尋 訳)]
はじめに
第1節 大学における内部選抜――先行研究および経験的要素
第2節 大学に入学する3つの方式――学士号を取得する方法は2つだが、成功するのは1つだけ?
おわりに
第3章 高等教育における技術バカロレア・職業バカロレア取得者[フェレス・ベルジス(秋葉みなみ 訳)]
はじめに
第1節 バカロレアの種類に応じて異なる進路とプロフィール
第2節 技術バカロレア・職業バカロレア取得者の社会関係資本と学校資本
第3節 高等教育の要求に対する学習習慣の適応度の差
第4節 より困難な統合、処遇格差の感情
第5節 保有バカロレアと高等教育の課程に応じた学業成功の差異
おわりに
第4章 大学での中途退学と学生の職業参入[ジャン=リュック・プリモン(渡辺一敏 訳)]
はじめに
第1節 大学第一課程での中退
第2節 高等教育学位を持たない技術バカロレア取得者のプロレタリア化
おわりに
第2部 新自由主義的な改革と選抜制度
第5章 高校から高等教育への進路選択システム――高大の接続支援と公平性に関する考察[田川千尋]
はじめに
第1節 高大の接続における問題
第2節 高等教育機関への出願の仕組み――APBからParcoursupへ
第3節 学生の進路と成功に関する法(ORE法)の目指すものとParcoursup
第4節 ORE法およびParcoursupへの評価
おわりに
第6章 高等教育の現代における分析と改革のいくつかの矛盾に関する検討――保守的改良主義[ロミュアルド・ボダン/ソフィ・オランジュ(田川千尋 訳)]
はじめに
第1節 失敗と闘うのか、それとも不平等を制度化するのか?
第2節 選抜は解決方法か?
第3節 進路の柔軟性の効果
第4節 ヒストリーなき学生たち
第7章 高等教育におけるバカロレア取得者の選抜ツールの役割――アルゴリズムによる志願者振り分けの新しいガバナンス[レイラ・フルイユ/クレマン・パン/アニエス・ヴァン=ザンタン(秋葉みなみ 訳)]
はじめに
第1節 APB、あるいは戦略国家による志願者振り分け管理――全国的アルゴリズムの出現
第2節 Parcoursup、あるいは志願者振り分けの不完全な地方分権――プラットフォーム国家の「データ」による管理強化
おわりに
第8章 フランスの高等教育政策とヨーロッパ統合――EUとボローニャ・プロセスを通じた政策展開[小畑理香]
はじめに
第1節 ボローニャ・プロセスとLMD制導入
第2節 U-マルチランクと高等教育・研究機関連携
第3節 ヨーロッパ大学による国境を越えた連携推進
おわりに
第3部 大学と階層移動
第9章 高等教育の世界と学生の戦略[ベルナール・コンヴェール(秋葉みなみ 訳)]
はじめに
第1節 高等教育への進学――2つの「マーケット」
第2節 選び取る進路と「選択の余地がない」進路
第3節 社会階層的および性差的な性向の影響
第4節 上昇、下降、変更
第5節 進路の分岐点にある多義性を持つ学問分野――数学の例
第6節 3年次
第7節 5年後…
第8節 形態学的な変化――性向の不変性
第10章 成功と社会的下降――学生の将来観[セシル・ヴァン=ド=ヴェルド(渡辺一敏 訳)]
はじめに
第1節 学業により社会的地位を維持する
第2節 より良い将来を信じる…
第3節 上昇する
第4節 …そして、今どこにいるかに左右される
第5節 楽観性は女子よりも男子で強い?
第6節 学業にもかかわらず社会的に下降する
おわりに
第11章 学生の進路に関する社会学的再考――セグメンテーションと職業化の間で[ヴァレリー・エルリシュ/エリーズ・ヴェルレイ(渡辺一敏 訳)]
はじめに
第1節 教育供給と学生の進路の多様化
第2節 インフレーションの論理
おわりに
第4部 グランゼコールという選択
第12章 エリート形成過程におけるフランス語の重要性――グランゼコール準備級における教育実践から[山﨑晶子]
問題の所在と本章の目的
第1節 グランゼコールについて
第2節 プレパについて
第3節 理系グランゼコール入学試験におけるフランス語
第4節 プレパ教師へのインタビュー調査の概要
第5節 プレパにおけるフランス語の教育実践
第6節 エリート形成に向けたフランス語教育の役割
第13章 グランゼコール準備級の学生募集――選抜・選考・予見[ミュリエル・ダルモン(秋葉みなみ 訳)]
はじめに
第1節 独特な選抜作業
第2節 選考する、ふるい落とす――「単純な機械」と「認知機械」
第3節 まじめさと従順さ
第4節 「まじめ」だが「がり勉」ではない
おわりに
第14章 理系貴族――グランゼコール準備級における学校の判断と志望の「自然化」[マリアンヌ・ブランシャール/ソフィ・オランジュ/アルノー・ピエレル(渡辺一敏 訳)]
はじめに
第1節 高校とは性質の違うグランゼコール準備級における学業の優秀さ
第2節 科学的精神――天性重視のイデオロギーの変化形
第3節 直観――持つ者と持たざる者
第4節 上位集団に入るかどうか――教員による判断の差異化
第5節 主観的な希望から客観的な進学先へ
おわりに
付録1 第5共和政(1959年)以降の大統領・首相・教育大臣(任期)一覧
付録2 高等教育関連法ほか
付録3 関連法令等解説(年号順)
付録4 用語解説(50音順)
付録5 人名索引(50音順)
あとがき
編著者・訳者・執筆者プロフィール