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職場・学校で活かす現場グラフィー

ダイバーシティ時代の可能性をひらくために

編著:清水 展
編著:小國 和子

紙版

内容紹介

職場や学校で「多様な地域住民」との間に生じる課題解決に、他者理解と自己省察を行うための技法であるエスノグラフィーはどのように活用できるのか。対象に接近し、できることに向き合い、実行してみた、人類学者たちの様々な事例をダイバーシティ包摂への警鐘とあわせて詳解する。

目次

 まえがき――この本を手に取ってくださったあなたへ

序論 なぜ、いま、ダイバーシティなのか[清水展]

第Ⅰ部 気づく――現場への接近

1 はじまりはテイクノーツから[内藤順子]
2 戦略的「現場主義」を貫くために[西﨑伸子]
3 被災の記憶ある場所での学生フィールドワーク[飯嶋秀治]
 コラム 現場主義の災害時外国人支援より――東日本大震災時の経験から[土井佳彦]

第Ⅱ部 臨む――いま地域でできること

4 まちづくりにダイブする――「プロトタイプ」をつくる方法としての現場グラフィー[早川公]
5 ジンルイガクのトリセツ――世界農業遺産が生まれる現場から[内藤直樹]
6 思いをつなぎ、人をつなげる文化遺産――地域遺産の可能性[俵木悟]
7 つながりをデザインする――コードのズレを生かし新しいモードを生成するまちづくり[森正美]
 コラム 実践者と研究者が協働する「メタ現場」の展開――行政職員の裁量性への期待[平野隆之]

第Ⅲ部 仕掛ける――「ふつう」を解くには

8 リモート・フィールドワークのススメ――外国人技能実習生受入れ現場から[小國和子]
9 ミッション型活動がつなぐ「当事者」とアライ――LGBT活動の実践を省察しながら[砂川秀樹]
10 実務が変わる、人生観が変わる[堀江正伸]
 コラム 「射真」という新概念[広瀬浩二郎]

補論 ダイバーシティ、その一歩先へ――多様性を語りうるのはだれか[亀井伸孝]

 あとがき――「束ね」のない連帯を想起する[小國和子]

 さくいん
 執筆者一覧

著者略歴

編著:清水 展
 1951年に横須賀市長浦町の引き揚げ者寮で生まれ育つ。第11回日本文化人類学会賞(2016)や第107回日本学士院賞(2017)を受賞。社会学博士。1977年に始めたフィリピン西ルソン・ピナトゥボ山麓に暮らす先住民アエタ(アジア系ネグリート)のカキリガン・グループとの調査・研究・交遊や、1997年に始めた北ルソン山地先住民イフガオのハパオ村と近隣の村々での住民主導の植林運動の同伴調査を現在に至るまで続けている。その経験から「応答する人類学」や「巻き込まれてゆくフィールドワーク」を提唱している。
 主な著作に『噴火のこだま』(九州大学出版会2003)、『草の根グローバリゼーション』(京都大学出版会 2013)、「巻き込まれ、応答してゆく人類学」(『文化人類学』81巻3号、2017)、「外部思考=感覚器官としての異文化・フィールドワーク」(『東洋文化』100号、2020)、「中村哲――字義どおりのフィールド=ワーカー」清水展・飯嶋秀治(編)『自前の思想』(京都大学学術出版会 2020)など。
編著:小國 和子
 文化人類学を学び、インドネシアやカンボジアの農村部で現地の農業や生活向上を目的とする政府開発援助事業に従事。その後、専業農家を営む家族と共に北陸の福井県に生活基盤を置きつつ、愛知県にある日本福祉大学に勤務(現職)。社会人向け通信制大学院でフィールドワーク論を教える中で、「ちょっと手をのばせば使える」エスノグラフィー実践について理解を深めてきた。近年は、国内外で中山間地域振興の担い手となるグローバルかつローカルで多様なアクターの可能性から学ぶ日々である。主な編著作に『村落開発支援は誰のためか』(明石書店 2003)、『支援のフィールドワーク』(世界思想社 2011)ほか。

ISBN:9784750351445
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:272ページ
価格:2500円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年03月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC